2002年11月4日(月)「国姓爺合戦」

英雄・鄭成功傳・2001・中日(日活)・1時45分

日本語字幕翻訳:手書き縦、水野衛子/ビスタ・サイズ/ドルビー


http://www.kassen.jp/

1644年、中国は明王朝が倒れ、かわって満州から勢力を伸ばした漢民族による清王朝が覇権を握った。しかし、まだ一部の勢力は抵抗を続けており、鄭一族が支配する福建省もそのひとつだった。長である鄭芝龍(ていしりゅう、トウ・チークオ)には、日本人の妻マツ(島田陽子)との間に息子があり、その名を鄭成功(ていせいこう、チウ・マンチェク)といったが、その功績により明朝皇帝から同じ姓である「朱」を賜り「国姓爺鄭成功(こくせんやていせいこう)」と名乗ることを許される。

71点

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 ちょっと意外な歴史劇。時代が明から清に変わったといっても、一瞬で支配が入れ替わってしまうはずもなく、数年に渡って抵抗勢力は残っているし、支配者側の被支配者側に対する残虐行為はたくさんあったと。そして、その追われる立場にある者たちの中に日本人がいて、血を引いた者が活躍して、当時オランダに占領されていた台湾をみごと奪回したと。そういう映画。

 予算もかなりかかっているらしいし(日本映画から見れば)、CGもふんだんに使われているし、人民解放軍が参加したモブ・シーンもあるし、爆破も数々あって、セットも衣装も豪華。ただ、細部まで細かな神経が行き渡らなかった感はある。それが惜しい。一流になれそうで、指の間からこぼれ落ちてしまったような。

 監督は中国の呉子牛(ウー・ヅーニィウ)という人で、ベルリン映画祭や中国アカデミー賞を何回か受賞している。たぶんスゴイ人なのだろうが、いかんせん作品を見たことがない。どうなんだろう。

 主演の成功を演じているのは、中国出身の香港アクション・スター(って言うか、香港の役者さんはみんな体が動くわけだけど)、チウ・マンチェクという人で、どこかで見たことがあるなと思ったら、ツイ・ハーク監督のすっごいアクション「ブレード/刀(The Blade・1995・香)」や同監督のアクション料理映画「金玉満堂/決戦!炎の料理人(金玉満堂・1995・香)」に出ていたらしい。

 女優さんもきれいで申し分ないが、みな中国の人で、これまた日本では知名度が低い。

 驚いたのは、製作総指揮でいの一番にナムコ会長の中村雅哉氏の名前が出たのには驚いた。そうか日活の社長だったんだ。そして、前売り券をよく見れば「日中国交正常化30周年記念」と「日活創立90周年記念作品」の表記がある。

 そういえば、日活は1992年にも80周年記念であのすっごい「落陽(1992・にっかつ)」というダイアン・レインが出た第二次世界大戦ものの戦争映画を撮ってボクらをあっと言わせてくれたが、90周年記念でも(映画は2001年に撮られているが)似たようなことをやっている。時代が違うがまた戦争物で、あと一歩で「落陽」の二の舞。日中合作で助かったのか。だいたい90周年記念と唄っているのに公開に1年かかっているし、都内では100〜200席程度のマイクロ・シアターでしかやっていないし。うーん……。

 公開3日目の初回、タカをくくって30分前に行ったら、銀座の劇場には誰もいない。え、日活創立90周年記念作品で!? 20分前になってそれでも7〜8人のオヤジが並んだ。15分前に開場したが、最終的に144席に20人ほどに。オバサン1人を含む女性3人、20代カップル1、中学生らしき少年1人以外はすべてオヤジ。

 もとはドルビー・デジタルでサウンド・リミックスされているらしいが、銀座はアナログ館。音質は期待できない。もし池袋の小さい劇場の大きい方の小屋にかかっていればデジタル上映かもしれない。いずれにしても、中国は吹き替えが基本のようで、島田陽子も中国語をしゃべっているようなのに、音声は口のズレがわかるほど明らかに吹き替えられている。ビデオを家庭で見るなら気にかからないかもしれないが、マイクロシアターの小さいスクリーンでも劇場上映では気になった。


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