ビスタ・サイズ/ドルビー
売れない女手品師、山田奈緒子(仲間由紀恵)は、糸節村の青年団団長と名乗る男(山下真司)と連れの副団長の女(芳本美代子)の要請によって、電波も届かないど田舎の小さな村へ神様の役をやるためにやってくる。一方、超常現象の研究で知られる日本科技大の上田教授(阿部寛)も、徳川埋蔵金の謎を追って糸節村へ向かっていた。やがて村では神と名乗る4人によって、本物の神を探す競技が行われようとしていた。 |
期待しすぎたかもしれない。あれれ、という感じ。TV版のほうがおもしろくないか。特にTRICK 2の幽霊ネタ「六つ墓村」とかの方が怖かった気がするが。 映画にしてはスケールが小さく、ラストの山火事のCG以外はまるでTV番組のよう。 配役にしても、TVが深夜枠にもかかわらず、結構豪華だったから映画の方が見劣りするくらい。舞台も例によって田舎の山奥だし、TVだって4回連続とかで1話だから、つなげば2時間で映画1本分だし。どこが映画と違うのか、いやいやTVと違うのか。 TVの時からの傾向であるのだが、神だの超能力者だのと名乗る輩が、それを証明するのにいつもトランプとかテーブル・マジックの小さなスケールのトリックしか使わないのが気になる。どうして超能力者がトランプを取り出して、こから一枚引いてください、なんて言うのか。空中浮遊するとか、ビブーティを出すとか、体を消すとかイリュージョン系で奇跡を行えばいいのに。 想像だが、おそらくあとで種明かしをしなければならないから、種明かしをしても差し支えないテーブル・マジックに限定したということか。でも、マスクマジシャンとかがTVでばらしをやっているんだから。せめて映画版の方くらいは派手なトリックにして欲しかった。超能力らしい超常現象を。トランプじゃあなあ……。 会話は相変わらずおもしろい。阿部寛はほかの番組で眉間にしわを寄せているよりずっとのぴのびしているし、こういう味が似合っていると思う。この路線で行けばいいのに。仲間由紀恵にしても、いまどきのちょっと乱暴な口利きが不自然なようでいて、自然で、またマンガのようでいい。2人の掛け合いはまるで漫才そのもの。阿部がボケれば仲間がつっこむという構造だ。 が、それだけではやっぱりTVサイズ。ああ、もったいない。落ち武者が出てくるエピソードを膨らませてくれた方がよかったような気がするけど。 冒頭、エリートが高級料亭に集まって、自分が持っている名詞でゲームをするのは、「アメリカン・サイコ(American Psycho・2000・米)」にそっくり。まさかパクリ? 公開初日の初回、新宿の劇場は35分前に付いたらちょうど開場したところ。中にはすでに50人ほどの人が。なんと判で押したように同年代ばかり。すなわち、大学生だ。高校生も少しいたかもしれないが、ほとんどが18歳から24、25歳といったところ。男女はほぼ半々。誰か入り口で年齢制限をしているんじゃないかと思うほど観客層が狭い。おそらく深夜番組をよく見ていた視聴者が18歳から24、25歳だったということなのだろう。これがゴールデン・タイムに放送されていた番組だったら、中高生が多かったことだろう。 幼稚園生をつれたファミリーが1家族、オヤジ数人。15分前には指定席なしの586席の4.5割が埋まり、最終的には7割ほどが埋まった。ただ、スクリーン中央が丸くピンボケだったのは何なんだろうか。気になってしかたがなかった。 |