日本語字幕翻訳:手書き下、根本理恵/ビスタ・サイズ/ドルビーデジタル
ある時代のある場所、火山108年、高校生のキム・ギョンス(チャン・ヒョク)は、教師が投げたハクボクを超能力で投げ返して教師に怪我を負わせ、8回目の退学を言い渡される。いろいろ探しまわった挙げ句、入学できる学校は一風かわった「火山高」しかなかった。初めての登校日、無情組と称する不良グループから因縁を付けられ、また超能力を使いそうになるが、卒業証書が欲しいキム・ギョンスは超能力を封じていたため殴り倒されてしまう。
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いやあ、これも評価は二分されることだろう。面白い人にはオモシロイ。でも駄目だと思う人にはまったくダメかも。ボク的にはOK。面白かった。笑える。つまりアクション・コメディ。ノリは香港映画。コンセプトは西部劇(黒澤明の時代劇を参考にしたもの)で、味付けは「ドラゴンボール」、という感じ。ここまで割り切ればOKでしょ。
若者が多かった渋谷の劇場では、ほとんど笑い声が起きなかった。冷めているのか、乗り切れなかったのか。 ワイヤー・アクションを駆使した日本の漫画的超絶技を繰り出しての戦いは、本当に素晴らしい。驚嘆の連続。まるで香港映画全盛期の頃のよう。そして、こういう映画も作れるところに今の韓国映画界の勢いが感じられる。剣道部の美少女は日本刀を持っていて、なおかつちゃんと絵になった日本的な立ち回りを演じて見せてくれるし。フェンシング的な変な殺陣ではないところに好感が持てる。 もちろんCGも使いまくり。「ドラゴンボール」のカメハメハのような(ポーズがそっくり!!)衝撃波攻撃や、シャワーの水滴が空中で止まり、主人公のまわりに集まってくるさまなど、日本の技術を超えているのでは、って感じ。 それにしても、韓国映画を見るといつも思うのだが、韓国の学校は日本のそれにそっくり。校舎も、授業風景も、制服も、すべてそう。言葉が日本語でもそのまま馴染む感じがする。だから日本語吹き替え版を作ったのだろう。 そして、こういう映画を見ていると、映画の持つ力というのをつくづく感じさせられる。いままで、近いようで遠い国だった韓国が身近に感じられてくるのだ。隣の国なのに、いままではほとんど何も知らなかった国。海外旅行で行っても、上っ面の売店の店員さんの顔しか見えなかった。ところが、こうして人々の生活、日常、遊び、怒り、考え方、恋、悩み……そういったものを具体的に見せられると、とても親近感を覚える。同じように喜び、同じように悲しみ、同じように笑うんだなあと。 だからハリウッドがどんどん映画を作って世界中に配給するということは、アメリカのことを世界中に親近感を持たせる役に立っているのだ。日本も、どんどん映画を作って世界に輸出しなきゃ。 役者もいい俳優が揃っている。主役を演じるチャン・ヒョクなど、ものすごい二枚目なのに、ギャグの中で笑うととんでもない間抜け面(失礼!)になっちゃうし、勝手にライバル心を燃やす不良グループのボスを演じるキム・スロだって、かなり強面なのにギャグになるととたんに漫画のように変な顔になってしまう。 校長も、教頭も、一筋縄ではいかないくせ者だが、後半登場する不良学生を懲らしめる「学園の掃除人」こと超能力教師五人集もすごい個性の役者ばかり。中でも女性英語教師が美人でOK。こんなに可憐で美しいのに、ガンガン動けて激しいアクションを演じられるのだから、韓国の役者は層も厚いことがよくわかる。 ちなみにこの映画の製作費は48億ウォン、日本円で約5億円というところだろうか。それから、日本向けに日本語のテロップというか、画面が挿入されるのは余計なお世話という感じがした。できるだけオリジナルの雰囲気で楽しみたい。こういうことをするなら、DVD発売の時に選択できるようにして入れればいいのだ。ガンガン入れられていたロックもひょっとして日本リリース版のみ? なんかいやな感じ。 公開2日目の2回目、字幕版の1回目、50分前でボク1人。あれれと思っていたら、それでも30分前には30人くらいに。ほとんどは10代で。下は中学生くらいから、上は初老の人まで幅広いが、中心はほとんどハイティーンから大学生層。男女比はやや女の子が多く、4対6といったところか。入れ替えは15分前。 指定席があり、しかし9席×2列は最後まで1人も座らなかったが、最終的に374席の4割ほどが埋まった。中高年は10人ほど。男は1人で来るパターンが多く、女の子は2人で遅れてくるパターンが多い。カップルも遅れてくる。なるほど。 |