2002年12月14日(土)「シャーロット・グレイ」

CHARLOTTE GRAY・2001・英豪独・2時01分

日本語字幕翻訳:手書き下、戸田奈津子/ビスタ・サイズ/ドルビーデジタル・dts・SDDS

〈英15指定、独12指定〉

http://www.uipjapan.com/charlotte/index.htm

1943年、ロンドンへ向かう列車の中で看護婦のシャーロット・グレイ(ケイト・ブランシェット)は役人というリチャード・カナリー(ジェームズ・フリート)と乗り合わせ、出版記念パーティに誘われる。友達とそのパーティーに出かけてみると、軍がフランス語の堪能な女性を探しているという。そして、そこで知り合ったパイロットのピーターと恋に落ちる。その後、ピーターは南フランスに出撃し、シャーロットはピーターと会えるかもしれないと、自分のフランス語をいかし、髪を染め、ドミニクと名を変え、英軍の通信員となって南フランスに派遣される道を選ぶ。

70点

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 うーん、長い、眠い……本当にちょっと寝た。それにこの構成。お金を取る商業映画として、成立するのかというぎりぎりのラインかもしれない。何もハリウッド式の作り方がベストだと言うつもりはないが、あまりにも構成が冗長すぎる。前半、フランスへ渡ったあたりから、単調でツライ。しかも各エピソードが単発でアンサンブルを奏でず、印象にも残らない。せっかくいい話なのに……。

 とは言っても、あのエンディングで良かったかどうかには異論もあると思う。ボクはあまり納得できなかった。これが実話ならそれもしようがないが、そうではないのだからもっといろんな設定が話し合えたはず。とてもイギリス映画(オーストラリアとドイツの合作)とは思えない。それに冒頭、主人公が乗っている列車が、なんと「ハリポタ2(Harry Potter and The Chamber of Secrets・2002・米)」の冒頭に出てくる列車。ハリーとロンが空飛ぶ車で追いかけたあれ。しかもアングルまでそっくり。たぶんあの場所ではカメラ位置が限られるのだろう。だから。どうしても悲劇よりは「ハリポタ」の冒険談が浮かんできて、ワクワクしてしまった。もちろんこちらのほうが先に撮影しているのだが……。

 そして、「K-19(K-19 The Widowmaker・2002・米)」と同様に強引な言語仕様。メインはフランスが舞台になり、そこにイギリスからフランス語が堪能なために選ばれた連絡員のシャーロットが派遣されていくのだから、言葉はフランス語のはず。しかしのっけから最後まで、堂々と英語でしゃべっている。まわりのフランス人もなんのてらいもなく全員英語。どういうこと?

 間違いなく、ケイト・ブランシェットは素晴らしい演技をしていると思う。それと、映画全体の構成が良いかどうかは別問題。主人公が戦時中の看護婦だったという点で、例の「パール・ハーバー(Pearl Harbor・2001・米)」のケイト・ベッキンセールの娼婦的看護婦とダブる。結果的にシャーロット・グレイも2人の男を渡り歩くことになってしまう。そしてたぶん主人公のシャーロットと違って、観客はフランスのレジスタンスの男を好きになれない。ここが最大の問題点かもしれない。

 公開初日の2回目。銀座の226席の劇場は、50分前でロビーに10人ほどの客。オバサン1人、オジサン5人、20代〜30代の男性4人といった感じ。その後、20代〜30代の女性が増えて男女はほぼ半々に。

 15分前入れ替えになって、入ったときは226席の4.5割ほどの入り。ちなみに指定席はスタジアム形式で傾斜がつけられていたとしても、見にくい場所が存在する。中央より後方の席だ。ここには最上列から3列下がった位置の左右一列、9席×2(左右)の指定席も含まれる。

 つまり上の方の席は見下ろす形になるので、前の席の人の頭が邪魔になるのだ。中央から下の席は見上げる形になるからそれがない。音響効果だけを考えたら、いまの指定席で良いのだろうが、スクリーンの見え具合を考えるとここが指定席で良いはずがない。実際、ここに座った人(上映が始まってから、ちゃっかり座った人も何人かいた)が、ほとんど左右にずれたり、背筋を伸ばしたり、苦労していた。真ん中あたりの席を指定席にすべきじゃないかなあ。

 最終的に226席の9割が埋まった。これは驚き。この出来の映画でこの入りとは。指定席にも本当にお金を払った人7人、後で入ってきて座っちゃった人3〜4人。


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