2002年12月22日(日)「スパイダーパニック!」

EIGHT LEGGED FREAKS・2002・米・1時39分

日本語字幕翻訳:手書き下、岡田壮平/シネスコ・サイズ(マスク)/ドルビーデジタル・dts・SDDS

〈米PG-13指定〉

http://eightleggedfreaks.warnerbros.com/

アメリカ、アリゾナの片田舎の町。そこを幹線道路が走っており、産業廃棄物を積んだトラックが走っていた。しかし一匹のウサギが道路に出てきたことから急ブレーキを踏み、1本のドラム缶が転落して、近くの池に落ちてしまった。漏れ出した廃液は池の水に溶け込み、生物を巨大化させてしまった。それを知らない近所のクモ・コレクターがクモの餌に池の生物を与えたため、クモたちが巨大化をはじめてしまった。やがて様々な種類のクモが食料を得るため町の住人を襲いはじめる。

72点

1つ前へ一覧へ次へ
   1950〜60年代によく作られていた怪物や宇宙人が人類を襲うパターンのパニック・ムービー。それを現代の技術で作るとどうなるかという見本のような映画がこれ。たいていは放射能で巨大化したが、もちろん「ゴジラ(Godzilla:The King of Monsters・1954・日)」もそう。

 そう思ってみると、当時でさえもちょっとチャチに感じたモンスターが、いきなりデジタル技術でリアルになるだけで、結構、見られるものになるという事実。内容は超B級でも、CGがリアルになるだけで、かなりおもしろいから不思議だ。というくらい、このデジタルSFXは超一級ですごい。しかも気持ち悪いし、動きもリアルで速い。ここがミソ。バイクで全速で逃げても、ジャンプしながら追いかけてきてたちまち追い付いてしまう。そのうえ何百とウヨウヨ出てくるのだ。

 と、いうことは、どこかで聞いたような……。そう、たとえば町のみんなにあらゆる武器を手に協力して戦うあたりは「トレマーズ(Tremors・1989・米)」で、ウヨウヨ出てくるところは「スターシップ・トゥルーパーズ(Starship Troopers・1997・米)」そのまま、町がパニックに陥るところはヒッチ・コックの「鳥(The Birds・1963・米て)」で、もとネタは「世紀の怪物/タランチュラの襲撃(Tarantula!・01955・米)」だろうか。劇中、この映画か、巨大雲に襲われるモノクロ映画をテレビでやっているが。

 それらの映画の良いところを全部集めて、ちょっと味付けするとこのスーパーB級アクション・コメディ・ホラーができあがる。つまりは、それらパニック映画へのオマージュともとれる。

 ここで気付けば、製作総指揮がローランド・エメリッヒ、プロデューサーがディーン・デヴリンという「スペースノア(Das Arche Noah Prinzip・1983・独)」「インディペンデンス・デイ(Independence Day・1996・米)」「ゴジラ(Godzilla・1998・米)」「パトリオット(The Patriot・2000・米)」の名コンビ。「スペース・ノア」は処女作なので違うが、いずれもわんさか出てくるのが1つの特徴。なるほどそういうことか。

 監督であるニュージーランド生まれのエロリー・エルカイェムも、本作前にゴキブリのごまんと登場する「ブラッダ(未)(They Nest・2000・米)」というパニック映画を撮っていて、これが高く評価されたことから本作へと話が進んだらしい。おそらくかなりの実力派と見た。今後が楽しみだ。覚えておこう。

 ヒロインを演じる美人はカリ・ウーラーといい、「スティーブン・キング/痩せゆく男(Thinner・1996・米)」で事件のきっかけとなる美人ジプシー・ダンサーを演じていた人。ほかにも「アナコンダ(Anaconda・1997・米)」や「ブロンドの甘い罠(Beyond Desire・1997・米)」「フェニックス(Phoenix・1998・米)」でとにかく光っていた。いずれもフェロモン出まくり。それが、さすがに35歳になった本作では、少し控えめになったかなと。

 公開8日目の初回、銀座の3つある小劇場のうち最も小さい小屋には35分前でも誰もいなかった(うう、最悪。この劇場だったか……)。20分前に開場したときでもボクひとりは辛かった。それでも2〜3分したらオヤジが4人、若いカップルが1組入ってきた。

 とにかく小さい劇場なので、自分の前の席に人が座ったらスクリーンは下1/3くらいが見えなくなる。字幕はスクリーン下に出るから、微妙な駆け引きをしながら席を決定しなければならない。トイレに行って来ると、その間に前に座られることもあり、注意が必要だ(しかし、映画を見るのになぜそこまで気を遣わなければならないのか?)。こういうときのポイントは、センターを避けること。みな中央に座りたがるが、中央だと頭をちょっとズラしたくらいではスクリーンはちゃんと見えない。2〜3列左右にはずした席を選ぶこと。前に人が座っても、席を移動せずに対処が可能だ。

 最終的には81席に20人ほどの入り。下は小学生から、上は白髪の老人まで。ただし7割はオヤジ。女性は若い人が1人。

 それにしても、いつものことながらピンボケには腹が立った。シネスコのちょうど中央部分が丸くピンボケになっていた。予告編の時はあっていたから、シネスコ・サイズに切り替えてレンズが変わるから、こちらのレンズのピントが合っていなかったということだろう。35mmの映写技師はたしか資格が必要だったはず。そういう人がこれでいいのかなあ。お金を取るんだから。

 プログラムは1部500円。


1つ前へ一覧へ次へ