2003年1月26日(日)「フィアー・ドット・コム」

FEARDOTCOM・2002・英独ルクセンブルグ・1時41分

日本語字幕:手書き下、東野 聡/ビスタ・サイズ(Arri)/ドルビーデジタル


http://www.feardotcom.jp/
(音に注意、全国劇場案内もあり)

恐怖の形相で、目から出血して死亡するという死亡事故が続いて発生した。エボラ出血熱などの手伝染病の危険もあることから、保健省の女性捜査官テリー(ナターシャ・マケルホーン)と刑事のマイク(スティーブン・ドーフ)が事件解明に当たることになる。そして志望者全員の共通項を探るうち、全員が「フィアードットコム」というインターネット・サイトを見たあと、48時間で死に至ってることが判明する。

72点

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   なかなか怖い。怖いけれど生理的に怖いというか、とんでもない変態を見るようで怖いという、怖さ。日本の心理的にぞそぞぞーっと怖いのとはちょっと質が違う。話としては日本のホラー「回路」と「リング」を足して2で割った感じ。ただし、白い少女はどう考えても「世にも怪奇な物語(Tre Passi Nel Delirio・1968・仏伊)」の最終話、もっとも怖かったテレンス・スタンプ主演、フェデリコ・フェリーニ監督の「悪魔の首飾り(Toby Dammit)」だろう。しかもどっちの少女が怖かったといえば「世にも……」になるかなあ。昔の思い出は美化されるというのを考慮したとしても。

 はっきり言って。エロとサドという変態が立ちすぎていて、背後にある霊とか心理的な怖さが薄れてしまっている。これらはよほど注意して使わないと。せっかく怖がらせる場面でも、若い女性の胸が露出していたら、男の視線(関心)は胸にいってしまう。深作欣二監督の「忠臣蔵外伝 四谷怪談(1994・松竹)」では、高岡早紀の胸が出たとたん映画の雰囲気が変わってしまった。

 作品全体の印象がB級なわりには、有名な役者さん達が出ているのには驚かされる。まず最初の犠牲者となって変死するのが、あの性格俳優のドイツ人俳優ウド・キアー。死にっぷりも尋常じゃない感じが出ていて、素晴らしい。ただ、ちょっとウド・キアーに見えないところが惜しいといえば惜しいか。

 主役の女性捜査官を助ける刑事が、ウド・キアーと「ブレイド(Blade・1998・米)」で競演しているアメリカ人のスティーブン・ドーフ。女性捜査官は最近チェン・カイコー監督のエロティック・サスペンス「キリング・ミー・ソフトリー(Killing Me Softly・2002・米)」にも出ていたイギリス人女優ナターシャ・マケルホーン。

 変態的な犯人を演じているのが、これまた本人とはわかりにくいが、あの傑作サスペンス・アクション「クライング・ゲーム(The Crying Game・1992・英)」でテロリストを演じたアイルランド人スティーブン・レイ。

 まったく贅沢なほどの陣容で、しかも国際色にあふれている。が、このウィリアム・マローン監督、この前の作品が「TATARIタタリ(House on Haunted Hill・1999・米)」だからなあ。怖くないホラー映画。うーん。どうなんだろう。もちろん本作の方が怖さはもうちょっとあるけど。

 公開2日目の2回目、50分前に着いたらロビーには誰も待っていなかった。35分前になって若いカップルが1組。30分前のなったらやや若めの男性など現れて、4〜5人に。最終的には指定席無しの300席に40人くらいの入り。男女比は6対4で意外にも男性の方が多く、老若比は7対3で圧倒的にオジサン優勢。「世にも怪奇な物語」の白い少女ファンということか。


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