2003年2月02日(日)「ストーカー」

ONE HOUR PHOTO・2002・米・1時38分

日本語字幕:写植下、古田由紀子/ビスタ・サイズ(Panavision)/ドルビー


〈米R指定〉

http://www.foxjapan.com/movies/nowshowing/index.html
(音に注意、全国劇場案内もあり)

大型店サブ・マートのDPEコーナー担当のサイ(ロビン・ウィリアムス)は、自動現像機のカラーバランスがちょっと狂ってもサービスマンを呼ぶほど写真に愛情と誇りを持っていた。そして、一人暮らしの彼は、よく利用してくれるヨーキン一家に家族の理想を見ていた。やがてそれがエスカレートし、ヨーキン家の生活にまで関わろうとするが……。

75点

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   怖い。これはじわりと怖い。しかも相手は善意でやっている。こんなことになったら、一体どうすればいいのか。

 想像していたのは、ロビン・ウィリアムスが病的なサイコで、一家を危険に陥れるのだろうというもの。そして、それはほとんど違っていた。一見。異常に見えるロビン・ウィリアムスは善意の人であり、実際にはノーマルに見えるヨーキン一家(夫婦)の方がおかしいという構図。

 そのバランスが微妙なところで崩れる。大型のハンティング・ナイフまで手にしてしまうが、本人は本気で使うつもりなどなく、ちょっと懲らしめてやろうという程度にすぎない。しかし、観客は最後までそれがわからず、悲惨な結末を予想してしまう。かなりえげつない表現もあるし。ショッキングな絵もある。

 ミス・ガイダンスというか、ヒッチコックのように、観客はいい意味で裏切られ続ける。事件のラストから始まる物語は悲惨な事件を想像させるが、まずは人のいい男が描かれる。とても犯罪など犯すようには見えない。ところが、これは見かけだけで、自宅は酷いことになっている。次第に異常な性格が明らかになり、とんでもないヤツだと信じるに至ると、ラストで意外な展開を見ることになる。犯罪は犯罪だが、そんなに悪いヤツじゃないじゃないかと、またここで思わされるのだ。

 そうか、この怖さ、ミス・ガイダンス……ヒッチコックか。マーク・ロマネク監督は、敬愛する監督はスタンリー・キューブリックだと言っているらしいが。

 主人公が行動を起こすきっかけとなるテレビで流れている映画は、モノクロの「地球の静止する日(The Day The Earth Stood Still・1951・米 )」。テレビでしか見たことがないが、おもしろい作品。

 ロビン・ウィリアムズは「インソムニア(Insomnia・2002・米)」についでまた悪役だが、どうしたんだろ。悪役に目覚めてしまったのか。髪を染めているところに不気味さが出ている。さすが役者。

 この映画もまた冒頭の文字の見せ方がカッコいいなと思っていたら、イマジナリー・フォースのデザイン。やっぱりね。写真をイメージして、スライドのように出てきてキラッと光る。センスがいい。

 2日目の初回、銀座の劇場に50分前についたら、3館共通のボックス・オフィスなので30人ほどの行列。寒い日で、40分前に開場となった。

 劇場はかなり全席の人の頭が気になるところで、スクリーンが見にくい。最近はほとんど字幕が下に出るので、読みにくくていけない。こんな席で指定席に座って意味があるのかかなり疑問。

 最終的に後ろ寄りの指定10席×2列を含む226席に8.5割ほどの入り。予想に反して男女比は最初、男性の方が多かったが後に半々となり、老若比は4対6であとになって若くなった。女性はほとんど若い女性ばかり。


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