2003年2月02日(日)「トランスポーター」

LE TRANSPORTER・2002・仏/米・1時34分

日本語字幕:写植下、石田泰子/シネスコ・サイズ(Tecnovision)/ドルビーデジタル


〈仏U指定、米PG-13指定〉

http://www.transporter.jp/
(音に注意、全国劇場案内もあり)

表向きは引退して元米軍軍人、実は運び屋のフランク(ジェイスン・ステイサム)は、人身売買を手がける組織の依頼物を運んだことから、その組織から命を狙われる羽目に。仕返しのため組織に乗り込んだフランクは、脱出の際、捕らわれていた謎の女ライ(スー・チー)を助けることになるが……。

76点

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   もっとB級かと思ったら、どうして、どうしておもしろい。いわゆるコミカル・アクションで、最後まで飽きさせず一気に見せる。ストーリー展開にも無理なところや強引なところがなく、だんだん運び屋フランクや、謎のライを好きになってしまう。とても1時間半ほどの上映時間だと思えないほど充実している。

 作品としては、リュック・ベッソンのプロデュース・アクション・シリーズの1つということになるのだが、ここ最近、彼自身が脚本も手掛けたアクションものの中ではかなりいい部類にはいるのではないだろうか。主人公と同じで、余計なことはしゃべらない、語るよりは行動で示す、というようなところがハッキリしていて小気味いい。まあ、もともとリュック・ベッソンがそういう傾向なわけだが。

 アメリカでの評価は芳しくなく、IMDbで5.8。あの「WASABI(WASABI・2001・仏)」でさえ6.2なのに。ボクは「WASABI」以上だと思うけどなあ。

 まあ、言ってしまえば「レオン(Leon・1994・仏)」と同系統の話であって、主人公が殺し屋から運び屋になっただけ。ナタリー「スター・ウォーズ」ポートマンが、スー「ゴージャス」チーになって、アクションが香港風味になったと。でも、監督が変われば、出来上がりも変わってくる。「レオン」を超えたかどうかは別として、いいできだと思う。

 監督は2人がクレジットされていて、1人はこれが劇場映画デビューとなるレイ・レテリエ。リュック・ベッソンが監督した「ジャンヌ・ダルク(Jeanne D'Arc・1999・仏米)」でサードの助監督をやっていた人らしい。その後、ベッソンが手掛けたTVCFなどにも参加して認められたと公式ホームページにあった。

 もう1人はコーリー・ユン。香港出身のアクション監督で、「リーサル・ウェポン4(Lethal Weapon 4・1998・米)」や「ロミオ・マスト・ダイ(Romeo must Die・2000・米)」「キス・オブ・ザ・ドラゴン(Kiss of The Dragon・2001・仏米)」「ザ・ワン(The One・2001・米)」などのアクション監督を務めている。ジェット・リーとの仕事が多いようだが、「キス……」でリュック・ベッソンに認められたらしい。近日公開の女3人アクション(香港版チャーリー?)「クローサー」でも監督を務めているから、ますます期待が募る。スー・チーも出てるし。

 主演のいまひとつパッとしない(失礼、派手さがない?)ジェイソン・ステイサムは、どこかで見たと思ったら「ロック、ストック &トゥー・スモーキング・バレルズ(Lock, Stock & Two Smoking Barrels・1998・英)」や「ザ・ワン」にも出ていた人。ちょっと頭頂部が薄くなりかけているが、なんかいい人そうな感じがいい。

 ほとんどのアジア人の悪役を請け負っているようなのはリック・ヤンという人。それほど悪役が多いわけでもないのだが、イメージは悪役の方が強い。チョー・ユンファのアメリカ進出作「NYPD 15分署(The Corruptor・1999・米)」でもそうだった。なんだかお人形さんのようなメイクで、頭髪も浮いていてヅラっぽいし。だんだん異様な雰囲気になってきた。

 ポスターなどに使われている銃を構えた写真は、M92とS&Wオートどちらもオモチャのようだが、本編ではちゃんと実銃ベースのステージ・ガンのM92を使っている。刺客として送り込まれてくるギャングたちは米軍のM16やシュテアーのAUGSIG SG550といったアサルト・ライフルで武装していて、曳光弾(トレーサー)を数発ごとに折り込んで、バリバリ、フル・オートでぶっ放す。ものすごい弾数だ。

 公開2日目の2回目、10分前についたらちょうど入れ替えするところで、ロビーには40人ほどの行列。男女比は7対3で男性が多く、老若比は意外なことに7対3と高年齢の人が多かった。435席中、指定は9席×2列と10列×2列で、ぴあ席が6。最終的にはそれらを空けて、2.5割ほどの入り。「ドッカーン」のTVCFじゃ、見に来ないだろうなあ。なかなかカッコいいのに。


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