日本語字幕:手書き下、林 完治/ビスタ・サイズ(with Panavision)/ドルビーデジタル・dts・SDDS
第二次世界大戦中の1943年、米国潜水艦「タイガー・シャーク」号は身元不明の3名の漂流者を救助する。男と、負傷した男、女の3人だった。女人禁制の潜水艦に女性が乗り込んできたことから、迷信を信じる乗組員たちは嫌悪感をあらわにする。そして、それから不気味な事件が頻発する。
|
俳優たちの説得力のある演技と、斬新で重厚なカメラワークによって、B級になるのをまぬがれたという感じの作品。一言で言えばサスペンス・ホラーということになろうか。心理的に描こうとしたためハデさはないが、じわーっと怖がらせてくれる。 もちろんホラーばかりでなく、事件の真相を探る推理ものの要素、潜水艦という密閉空間ドラマの要素、潜水艦と駆逐艦(戦艦)の戦いという第二次世界大戦ものの要素、男の働く世界と女の対立……などをうまくミックスして、一流のエンターティンメントに仕上げたと。あやうくB級になってしまうところだったけれど。 ホラーものとしてはちょっと、いきなりバァーンという音とともに突然現れる日本のお化け屋敷的おどしが多いとは思う。これは本来のホラーではない。これは単に驚かせているだけ。怖いのではなく、ビックリということで、意味が違う。いいのは、超常現象的な映像を非常に控えめに入れ、それが精神的なものか、実際に起こったことなのかあやふやにしていること。場合によっては見落としかねないほど一瞬だったり、微妙だったりする。一瞬たりとも目を離さず、集中して見ていないといけない。 監督はデビッド・トゥーヒー。手がけた脚本の方が多いが、監督でもこれまでにホラーSFハード・アクションの「ピッチ・ブラック(Pitch Back・2000・米)」、宇宙人襲来アクションの「アライバル(The Arrival・1996・米)」「グランド・ツアー(Grand Tour : Disaster in Time・1992・米)」といったSF系のホラー・アクションものが多い人。本作では一転して第二次世界大戦ものを題材に選んでいるが。過去の作品はどれもおもしろい。もしこれが第二次世界大戦ものではなく、SFホラーだったら、さらに良くなっていたのではないかという気はする。デビッド・トゥーヒー監督にはSFがよく似合う。 ただ、感覚でいうと、後になるほど役者の演技に頼ったものが多くなっている気はする。誰でもそうなのだろうか。芝居を重視するようになるんだろうか。名匠ヒッチコックはまったく反対のことをいっていたような……。 製作総指揮と共同脚本に、ダーレン・アロノフスキー。「π〈パイ〉(PI・1997・米)」とか麻薬家庭崩壊物語「レクイエム・フォー・ドリーム(Requiem For a Dream・2000・米)」の監督だ。 公開2日目の初回、銀座の劇場は30分前に着いたらすでに開場済み。場内には15人ほどの人。ほとんどは中高年。ちょっと若い女性。普通ホラーは若い女性が多いんだけど……。潜水艦映画として広告していたから、軍事ものと思われてしまったのか。まあ確かに軍事ものであることには違いないんだけど、実際はサスペンス・ホラーなんだから……。 最終的に612席に3.5割ほど。意外に少なかった。ボクはデビッド・トゥーヒー作品はどれもOKなんだけどなあ。 ここも指定席はなくなり、フット・バー付きのゆったり座席(映画館のビジネス・クラスか!! でも東映の標準のシートだが)6席×4列がと導入された。ただ。誰も座らなかった。日本人の感覚からすると、これは恥ずかしいのではないだろか。通常のシートの6列に4列がおさめられ、横に10席並んでいたところに6席という贅沢さ。ここならスクリーンが見えないということもないだろう。 |