2003年3月8日(土)「007 ダイ・アナザー・デイ」

DIE ANOTHER DAY・2002・英/米・2時13分

日本語字幕:手書き下、戸田奈津子/シネスコ・サイズ(レンズ、in Panavision)/ドルビーデジタル・dts・SDDS


〈英12A指定、米PG-13指定〉

http://www.foxjapan.com/movies/dieanotherday/
(全国の劇場案内〈タイムテーブルなし〉もあり)

007(ピアース・ブロスナン)は違法な武器の密売事件を追って北朝鮮での諜報活動中、首謀者を倒したものの軍に拘束され、14か月投獄され拷問を受けることになる。ところがある日、捕虜交換で突然解放。しかし。これが新たな事件の始まりだった。もどったボンドは諜報活動に不適格と判断され、00ライセンスを取り上げられるが……。

77点

1つ前へ一覧へ次へ
 すごい。これだけ期待の大きい映画を作るのは大変だろうに、おそらくはすべての観客の期待を裏切らず、横綱相撲を見せてくれる。2時間13分の長丁場をまたっくダレさせることなく、はらはらどきどきのまま、一気に最後まで見せてしまう。まさにパワーの炸裂。圧倒的な力わざ。さまざまな危機場面のアイディアもてんこ盛り。過去の作品群に対するリスペクトも忘れないなど、奇跡のような映画だ。ただし、心に残るものがあるかというと、それは……

 とにかく、ボンド映画だ。間違いない。今回も、ちょっと私怨のために動くところはあるが、結局は世界のために戦うのがボンドなのだ。ただし、アメリカ資本が入ってから、テロリストや世界の警察、さすがにイランはでなかったが北朝鮮とか、アメリカがらみのネタが多くなった気はする。

 見捨てられ、裏切られて感情で動くところは、さすがに観客にもそれが伝わってきて、いままでのボンド映画と違うかなと思わせたものの、任務で動くようになるとそのパッションが消えてしまう。そのほうがクールで格好いいのだが、見終わった後に心に残るものがない。スパイの悲しさが、出かかっていたのに、ちょっと残念な気がしないでもない。

 しかし、冒険に次ぐ冒険。アクションに次ぐアクション。まったく2時間飽きさせない。スクリーンの中のボンドたちが危機をくぐり抜けてホッとため息をつくと、観客までもが一緒にホッとため息をつく映画はそうそうない。すごい。

  今回は主題歌を歌うマドンナが出ているというので注意して見ていたら、なんとあそこで出てきたか。これは見てのお楽しみとして、演技は「レジー賞」でワーストにあがるほど悪くはないと思う。英語がわかるわけではないので、感覚的なものだが、演技は自然だったような気がする。ただ、あまり好かれるキャラではなかったと思う。なんか気取っているというか。それで損をしたかも。もともと映画もたくさん出ている女優でもあるわけだし。

 毎回楽しみの秘密兵器もたっぷり出てくる。これもネタあかしはしないでおくとして、後半のクライマックスでボンド・カー対、敵のザオ・カーの戦いはすごかった。車でミサイルの撃ち合いだもんなあ。これはやっぱり劇場で見とかなきゃでしょ。

 ラスト、アントノフ輸送機の司令室の壁に日本の地図があるのにはゾッとした。やっぱり世界中の誰もがそう思っているのだろう。やられるのなら、日本が最初だと。

 とにかくかっこいいシーン、ショットの連続。ピアスナン・ボンドの細かい所作のひとつひとつが、ことごとく決まっていて格好いいのだ。スーツも、もちろんタキシードも格好いい。すてき。「トリプルX(XXX・2002・米)」のザンダーではこうはいかないでしょ。敵を怒らせるジョークは言えても。

 新しい“Q”の部屋には、「007は二度死ぬ(You Only Live Twice・1967・英)」のリトル・ネリーとか「007/サンダーボール作戦(Thunderball・1965・英)」のジェット・パックとか昔の秘密兵器がさりげなく飾られている。見落とさないように。DVDで発売されたら、じっくりチェックしてみようっと。

 公開初日、初回70分前に着いたのに、新宿の劇場はすでに50人ほどの人。60分前で70人ほどになり、55分前でたぶん100人を超してしまった。よかった、007はまだヒーローなんだ。45分前に開場になった時点で、1,288席の3割が埋まってしまった。ひょっとして「ロード……」よりいいかも。そうか、公開劇場数が圧倒的に違うんだ。まっ、いいか。初回のみ全席自由で、10席×6列×2(左右)と10席×1列×2(左右)ぴあ席も自由。

 下は中学生から、上はかなり高齢の老人まで、さすがにファン層が広い。しかも今回は敵が何かと話題の「北朝鮮」だし。

 20分前で6〜7割の座席が埋まった。

 当初は女性が1/3ほどしかいなかったが、次第に増えてきて、最終的には6対4ほどに。女性だけという客は少なく、ほとんどはカップル。メインは例によって中年というかオジサンだが、結構老人も目立つ。65歳以上は1,000円だからか。白髪が多い。

 ミラノのようなよい劇場で、階段形式になっていても、スクリーンを見下ろす位置では、前の席に座高の高い人が座るとつらい。疲れるが前よりの席にするか、座高の低そうな人の後ろに座るしかない。スクリーンが高ければこういう問題はないのだが。

 場内にはボンドのサントラがかかり、気分を盛り上げてくれる。そしてやがてドアが閉まり、曲が止まり、チャイムが鳴って場内アナウンスが流れ、暗くなると……。

 最終的に1,288席に9〜9.5割の入り。前の方にまだ空いている席があったが、立って見ている人も数人いた。久しぶりに立ち見の人を見た気がする。


1つ前へ一覧へ次へ