日本語字幕:写植下、 戸田奈津子/ビスタ・サイズ(with Panavision)/ドルビーデジタル・dts・SDDS
ジェームズ・トン(ジャッキー・チェン)はタクシー運転手の腕を認められて、謎の億万長者クラーク・デヴリン(ジェイソン・アイザック)の運転手となった。しかし実はクラークは秘密組織CSAのエージェントで、ハイテクの粋をこらしたタキシードを着て、超人的な活躍で数々の困難な事件を解決していたのだ。そして、そのクラークが重傷を負ったことから、ジェームズはタキシードを身にまとってクラークの代わりを務めることになる。
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ジャッキー・チェンが昔から手がけてきたコミカルなアクション。それにハリウッドらしくお金をかけてスケール・アップし、まるでほら吹き男爵ミュンハウゼンの冒険物語的に奇天烈なお話を作り上げたと、そういう感じ。これを笑って楽しめるか、ふざけていて荒唐無稽だと批判的になるか、これも意見の分かれる映画だろうなあ。ボクはまあまあ笑えた。ジャッキーの魅力は少なかった気がするが、ジェニファー・ラブ・ヒューイットの魅力は炸裂放題。めちゃめちゃキュートだったので、まあいいんじゃないだろうか。 感じとしては、こういったSF的な設定というのは、1960年代前半のアメリカのTV番組に多かったような気がするが、たぶん、それよりは007なんだろう。主人公の名前はジミー・トンで、中国系アメリカ人だが、フルネームはジェームズ・トン、スペルはJames Tong。一方、本家007はジェームズ・ボンド、James Bond。これは狙っているよなあ。曲もなんとなく007のテーマに似ているし。途中から乗る車はBMWで、「ワールド・ノット・イナフ(The World is not enough・1999・米/英)」のZ8だし。それに何より、ボンドといえばタキシードでしょ。ちなみにこのタキシード、手がけたのはジョルジオ・アルマーニで、ジェニファー・ラブ・ヒューイットのドレスはジョルジオ・アルマーニとエンポリオ・アルマーニなのだとか。銃はベレッタM92FSステンレス(アイノックス)、H&H USP、SIGザウエルP230、M4カービンなど最新式のものばかり。 監督はケヴィン・ドノバンというTV・CM出身の人。本作が劇場デビュー作品なのだとか。その世界では有名で、受賞も数多くあるという。そんなCMの1つがドリームワークスの目にとまり、本作への大抜擢につながったらしい。 映画の醍醐味というものの一つは、たぶんとんでもないホラ話を、説得力を持ってあたかもホントのことであるかのように見せることだろう。ウソだと疑いつつも、少なくとも映画を見ている間はそのウソに気持ちよくだまされる。これなのではないだろうか。 手品でも、頭っから疑ってかかって、ネタを見抜いてやろうなんてしていると、ちっとも楽しめないのと同じで、こんな荒唐無稽な話があるか、なんて見始めたら映画は楽しめない。そして、作る側はどんな話でも作る限りは、観客に信じ込ませるように努力しなければならない。それがある種の緊張感を生んで、映画はどんどん面白いものになっていく。これが映画の醍醐味だと思うなあ。 冒頭のタイトル後のクレジットの見せ方は、なかなか格好良かった。センスが良い。ただ、調べてみてもタイトル・デザイナーの名前はクレジットされていない。うーん、ちょっと気になる。 本編終了後のエンド・クレジットには、ジャッキー・チェン映画お約束のNG集あり。これがまたなかなか笑わせてくれる。ハンドバッグを蹴り上げて、片手でつかみ取るはずが、バンドバッグを履いちゃったり。ジェニファー・ラブ・ヒューイットが後頭部しか写っていないときにヘンな顔をしてジャッキー・チェンを笑わしたり、とってもいい雰囲気。終わったからといって、すぐに席を立たないように。 公開初日の初回、銀座の劇場は55分前に着いたら大混乱。近くの劇場でやっている「青の炎」がちょうど終わったところで、あやや(松浦亜弥)の舞台あいさつがあったらしく追っかけがあふれている。しかも悪いことに、「タキシード」上映館で「青の炎」プログラムを販売したため、その列と「タキシード」を待つ列がクロスしてわかりゃしない。 しかも、どうやらモーニング・ショーとして「タキシード」上映前に「青の炎」を1回上映しているらしい。これは混乱するわな。 どうにか「青の炎」の人が消えてみると、15人くらいの人。ところが入場システムがまた変更されていて、それが混乱に追い打ちをかけていた。まず、いままであった窓口(ボックスオフィス)では、当日券などを販売しなくなった。当日券は、前売り券の人と同じ列に並んで、入場時に当時券と前売り券を分ける方式に。つまり列は2倍分の人が並んでいたのだ。 15人は小学生から大学生くらいが中心。ジャッキーはやっぱり若者に人気がある。わずかにオヤジ3人とオバサ3人がちらほら。45分前には30人ほどになった。 30分前に開場したが、まだモーニング・ショーが上映中で場内には入れず。廊下で並んで待つことに。20分前になったら、ようやく場内に入れた。 10分前で、612席に4.5割ほどの入り。中高年男性と、女性が増えたような印象。最終的には、7.5割ほどの客席が埋まった。さすがジャッキーの人気は幅広く高い。男女比は6対4でやや男性の方が多い。 プラス1,300円が必要なプレミアム・シート6席×4列には誰も座らないだろうと思ったら、お金はあるところにはあるようで、なんと7〜8人が座っていた。お金持ち〜!! |