2003年3月29日(土)「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」

CATCH ME IF YOU CAN・2002・米・2時21分

日本語字幕:写植下、 戸田奈津子/ビスタ・サイズ(with Panavision)/ドルビーデジタル・dts・SDDS


〈米PG-13指定〉

http://www.uipjapan.com/catchthem/jump002.html
(要FLASH)

1963年、町の名士だった父フランク・W・アバグネイル(クリストファー・ウォーケン)が脱税疑惑で事業に失敗し、両親は離婚。どちらかを選ぶことができない1人息子のフランク・W・アバグネイルJr(レオナルド・ディカプリオ)は16歳で家を出て、一人で生きていく決心をする。まず収入を得るため、当時社会的信用度の非常に高かったパンナムのパイロットに化け、偽造した小切手を換金することを思いつく。

69点

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 うーん、こぢんまりとしたホーム・コメディ系。わざわざ大劇場で公開するメリットはあるのだろうか。なぜスピルバーグ監督が作ったのかよくわからないが、ビデオでも十分な作品だという感じがした。

 タイプとしては「ニュートン・ボーイズ(The Newton Boys・1998・米)」と同じ。実話をベースとした、ピカレスク古き良き時代物といったところ。

 タイトルにソウル・バス風というか1950年代後半から1960年代前半風というか、ヒッチコック「北北西に進路を取れ(North by Northwest・1959・米)」風のアニメーションを持ってきて(デザインはアグネス・デイガスという人)、まずその世界観を描いてみせる。これは素晴らしい。それにスピルバーグがヒッチコックを尊敬しているのは「激突!(Duel・1972・米)」や「JAWS/ジョーズ(Jaws・1975・米)」などからも読み取れる。

 1960年代に少年時代を過ごし、その時代に大いなる郷愁を抱いていることも「バック・トゥ・ザ・フューチャー(Back to the Future・1985・米)」(スピルバーグ・プロデュース)でタイム・トラベルした先が1955年だったし、「トワイライト・ゾーン(Twilight Zone The Movie・1983・米)」が1960年代前半のテレビ・ドラマであることから明らか。

 さらに言えば、スピルバーグ監督は007の大ファンだろう。「インディ・ジョーンズ」シリーズは007の翻案だし、「3」(インディー・ジョーンズ/最後の聖戦・1989・米)ではついに主人公の父としてショーン・コネリーを登場させてしまった。

 そしてついに、本作で映画そのもの、「007/ゴールド・フィンガー(Goldfinger・1964・英)」の一部分を取り込んでしまった。

 つまり、スピルバーグにとっては描きたい世界がたっぷりあったのだろうが、はたして観客から見たときどうだったのか。劇場の大きなスクリーンで、スピルバーグの監督で、見てみたいものだったのか。

 1950年代〜1960年代前半の理想的な平和の世界。「名犬ラッシー(1954〜1962)」「パパはなんでも知っている(1958)」「うちのママは世界一(1958〜1966)」一連の「ルーシーもの(1951〜1974)」とか「奥様は魔女(1964〜1972)」「かわいい魔女ジニー(1966〜1970)」とか。

 しかし、それらが現実かい離したものであることは「カラー・オブ・ハート(Pleasantville・1998・米)」でよく描かれていた。本作でも、主人公の家庭は崩壊してしまうが、主人公は出会う相手の家庭に理想を見たりしている。理想の家庭が、主人公のひとつの憧れであり、夢なのだ。つまりそれはスピルバークの理想なのだろう。

 公開8日目の初回、新宿の劇場は45分前で0人。ええっ、2週目ともなるとスピルバーグ&レオさまでも神通力は及ばない? 35分前になってやっと5人。中年カップルが2組。

 それでも25分前になったら20人ほどになった。男女は半々。年齢的には20代後半以上。中高年が多い。1960年代を懐かしむ年齢ということか。20分前に開場して、15分前になった頃から観客が増え出した。若いカップルもポツポツ見かける。

 指定席は12席×5列。ぴあ席なし。初回のみ全席自由。10分前で1,044席に80人ほど。男女比はちょっと変わって、3.5対6.5で女性の方が多くなった。やっぱりレオさまファンが増えたってことか。最終的には100人ほどに。やっぱりミニ・シアター向きの作品なんじゃないかなあ。

 帰るとき、出口でサッポロの「丸福茶」を配っていた。おっ、ラッキー。ちょっとうれしいかも。

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