日本語字幕:手書き下、 金丸美南子/ビスタ・サイズ/ドルビーデジタル(もとはドルビーEX6.1)
マン・ウォン(アンジェリカ・リー)は2歳の時に失明したが、20歳でようやく角膜の提供を受けることができることになり、手術を受けた。最初はなかなか光に慣れなかったが、やがてものが見えるようになり、そして普通の人には見えないものまでが見えるようになってしまう。
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怖い。彼氏に思い切り抱きつくにも最適の映画。「呪怨」なみに怖い、特に前半。そして感動する。これが映画だよなあ。1時間39分の間、想像もできない世界をリアルに体験させてくれる。 ちゃんとストーリーがあり、納得ゆく答えが用意されている。そして中盤から映画はホラーという様相を変え、謎解きのサスペンスへと転調する。もちろん奇をてらったものではなく、正面からこつこつと小さなエピソードを積み上げて正攻法でもの物語を説得力を持って描いていく。さすがは「レイン」の監督。 主演の、盲目の女性を演じるアンジェリカ・リーが、可憐な魅力で、美しくていい。やっぱり恐怖を体験するのは美人でなくては。 冒頭、「さまよう魂たち(The Frightners・1996・米)」のイメージのように、白い壁の向こうから手がまさぐる。ひょっとしてパン兄弟監督は、ファンなのだろうか。いや、ファンに違いない。おそらく目の不自由な人が触って確かめるイメージなのだろうがそれが「さまよう……」のおかげもあって、怖い。そして、キャストとスタッフのクレジットが点字風に出て、モーフしてアルファベットになる。実に凝ったデザイン。ここからちょっと仕掛けがあって上映トラブルかと思ってしまった。ドキンとさせられ、「目をそらすな」というメッセージが。うまい導入だ。ちょっと音で脅かすところはあるけれど。 脚本がよくできていて、数々の伏線が張られ、それが後半どんどん生きてくる。映画最初に「目をそらすな」と出るが、またにそのとおり(この冒頭の演出もかなり怖い。ただ、ちょっと音脅かし系ではあるが、ちゃんとストーリー展開があるので許せる)。 合成というかSFXも非常にレベルが高い。本当に霊がいるかのような実在感(なんという矛盾した表現)。おぼろな感じと、ハッキリ見える部分との微妙なバランスが絶妙だ。そして自分たちで編集までやっているというだけあって、見せ方(編集)が完璧。見えているようで、ハッキリ確認することは出来ず、かといってフラストレーションがたまるほど見えないわけではない。凄い才能だと思う。これこそお金を払って見る価値がある。ただ、“死神”らしき幽体の全身タイツはどうなんだろう。日本人的にはちょっと笑いを誘ってしまうが。 自分の部屋が見たことのない部屋に変わっていく感じも、実にいいのだ。トム・クルーズが映画化権を取得したというだけのことはある。 もちろん中盤から謎解きへと転調してからも、怖い。そしてラストには感動が用意されている。これだけ盛りだくさんなのも、破綻させてないから、実にいい感じ。なんでこういう人が邦画界にも出てこないのだろう。 ただ、最後の最後はどうだろう。安直なハッピーエンドにはしたくなかったんだろうけど、ちょっとせつないなあ。きっとトム・クルーズはハーピーエンドにしちゃうんじゃないかなあ。 これこそ映画らしい映画。お金を払ってみる映画だ。そう断言してしまおう。香港もタイもすごい。これからはきっとアジアがハリウッドに大きな影響を与えて行くに違いない。がんばれアジア、がんばれニッポン。 公開8日目、初回。40分前に着いたら、まだビルの入り口が開いていなかった。まったく雨で風もあって寒いっていうのに。それでも5〜6人が待っていた。みな、しようがないので軒の下に集まっている。せめて中に入れてくれればいいのに、ガードマンが立っていて、鍵も掛かっている。 次第に人が集まり始め、ようやく10時、30分前になってビルの入り口の鍵が解かれ。中へ。この時点で15人くらいの人。エレベーターで8階に上がると、チケットを買う人はカウンターへ、前売り券を持っている人はすぐ入場。 ほとんどは20代で、男性。若い女性が3〜5人、オヤジも3〜5人。インターネット予約席が5席あったが、結局3人しか来なかった模様。 最少年齢はたぶん中学生で4人。15分前で30人ほど。最終的には6割ほどのレイン入り。あの「レイン」の監督作品なのに……。でも2週目だからいいほうか。 |