2003年4月6日(日)「クローサー」

夕陽天使(So Close)・2002・香・1時51分

日本語字幕:手書きタテ、 岡田綾平/シネスコ・サイズ/ドルビーデジタル



http://www.spe.co.jp/movie/worldcinema/
(全国劇場案内もあり、タイムテーブルはなし)

リン(スー・チー)とクワン(ヴィッキー・チャオ)の姉妹は、父が残してくれた監視衛星を使ったパノラマ・システムを駆使して殺人を請け負う、組織に属さない殺し屋。依頼によって、麻薬で儲けた金でアジア最大のネット会社を設立した社長を射殺する。事件を担当することになった新人刑事のコン(カレン・モク)は、何者かが事件当時の監視カメラ映像を消したことに気づき、やがて姉妹を疑い始める。

76点

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 くわーっ、面白い。やっぱり香港映画ってすごい。3人の美女の魅力も炸裂、これでもかのハードなアクションもたっぷり堪能させてくれる。すごいなあ。こういう映画が作れるなんて。単純に感動。特に前半、観客を楽しませよう、女の子たちのカッコよさセクシーさに酔わせようという意気込みがガンガン伝わってくる。

 女3人ってことはもやっぱりこれ「チャリ・エン」ってこと? 原題も天使(エンジェル)って入っているし。そうだよね。

 かつて「帝都物語」という映画で、主演女優がアクション・シーンを拒否したためにしょぼいクライマックスになってしまったということがあったそうだが、香港の女優さんはホントよくやる。いわば体での演技、表現であり、アクションやドラマを区別していない。どちらも同じ役者の仕事と捉えている節がある。

 ジャッキー・チェンによって見いだされて「ゴージャス(Geogeous・1999・香)」でブレイク。ついには世界デピューとなった「トランスポーター(The Transporterf・2002・米/仏)」でヒロインをゲットした台湾美人のスー・チーが、ちょっとわざとらしい狙いすぎの演技もあるものの、とにかくカッコいい。もともとその才能があったのではないかと思わせる激しいアクション・バトルも厭わずチャレンジ。清々しささえ漂う。セクシー・サービス・ショットもあるし。ホット・パンツがドキンさせてくれる。

 妹を演じる中国美人のヴィッキー・チャオも、すばらしい。日本式のチャンバラまで見せてくれる。彼女は「少林サッカー(・2001・香)」でブスな女の子を演じていた人で、ホントはこんなにきれいだったんだということか。彼女も倉田保昭を相手に危険ギリギリに見える殺陣を果敢にしかけていた。この思い切りが気持ちいい。ここまでやってくれたら文句ないでしょ。

 そして、追う女刑事役の香港美人のカレン・モクがまた良いのだ。3人の中でいちばん細く、可憐な感じさえがするのに、2人を相手に一歩も引けを取らない過激アクション。これが女優魂だ。かわいい役だけじゃ演技の幅が広がらない。イメージもいつか固定して、もう歳をとったら出る幕が無くなってしまう。イギリスに留学経験があり、5カ国語が話せるという才女で、線が細い印象があったので、ボクはてっきりアクション向きではない女優さんだと思っていたが、まったくの間違いだった。この作品で一気にファンになってしまった。カレン・モクいい。

 香港の女優さんたちがホントにいろんな役を演じられるのには、こういうチャレンジ精神があるからだろう。彼女たちは常に成長し続ける。今後3人とも目が離せない。きっと延びてくるだろう。

 あるいは、監督が一番楽しんで作ったに違いない。そんな感じもビシバシ伝わってくる。撮影現場もはつらつとして活気にあふれていたことだろう。その監督&アクション監督は「トランス・ポーター」で共同監督を務めたコーリー・ユン。ジェット・リーとのコンビ作品が多い人で、あの傑作「蜀山奇傳/天空の剣(蜀山: 新蜀山剣侠 ・1983・香)」の武術指導をやり、「D&D/完全黙秘(MY FATHER IS A HERO ・1995・香)」 を監督、ついにはハリウッドに進出し、「リーサル・ウェポン4(Lethal Weapon・1998・米)」「ロミオ・マスト・ダイ(Romeo must Die・2000・米)」「ザ・ワン(The One・2001・香)」「キス・オブ・ザ・ドラゴン(Kiss of the Dragon・2001・米)」などのそうそうたるメジャー作品のアクション・シーンを担当している。間違いなく才能がある。

 劇中、効果的に使われている曲は、カーペンターズの「遙かなる影(Close to You)」、主題歌は歌手でもあるカレン・モク。いい、カレン・モク。歌もうまい。

 公開9日目の初回、新宿の劇場では日曜の朝一は1,000円均一という嬉しくないサービスがあって、なかなか混んでいた。割引をやるなら最終回にやって欲しい。朝一の回は座れることが多く、苦労して早めに来ているというのに、安いから混みあってしまう。やめてくれお願いだから。

 それで、寝坊して20分前に着いたらすでに開場済み。新宿の209席の劇場は5.5割ほどの入り。男女比は8対2で圧倒的に男が多い。老若比は3対2というところか。

 最終的には9割ほどの入り。スクリーンの見え具合や音響的にはちょっとつらい劇場なので、人数が増えるほど観賞には辛くなってくる。うーん。

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