2003年4月6日(日)「ブラック・ダイヤモンド」

CRADLE 2 THE GRAVE・2003・米・1時41分

日本語字幕:手書き下、 金丸美南子/シネスコ・サイズ/ドルビーデジタル・dts・SDDS


〈米R指定〉

http://www.warnerbros.co.jp/blackdiamond/index.html


トニー(DMX)をリーダーとする強盗グループは、依頼によってダイヤモンド取引所に侵入しダイヤモンドと黒い石を奪う。ところが台湾からこの石を追ってきた諜報員スー(ジェット・リー)、リン(マーク・ダカスコス)をボスとするギャングの一味も絡んできて、とんでもない大事件となって行く。

74点

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 香港アクションをハリウッドが撮るとこんなふうになるんだろうという感じ。物語はエスカレートし、ついには戦車まで登場する。すんごいなあ。アクションの数々を、これでもかってほど見せてくれる。アクション監督は「クローサー(夕陽天使・2002・香)」で手腕を遺憾なく発揮したコーリー・ユン。どうりで印象が「クローサー」に似ていると思った。

 キモは元麻薬売人で刑務所経験もあるカリスマ的ラッパー、DMXと、悪役でアメリカのキャリアをスタートさせた天才的中国拳法の達人、リー・リンチェイ改めジェット・リーという2人につきる。

 この2人をいかにカッコよく見せるか、それがこの監督の手腕の問われるところ。

 これに挑んだのが、ずっと撮影監督を務めてきたアンジェイ・バートコウィアクというポーランド人監督。ハリウッドの映画界は昔からポーランド系のアーティストが多い。才能に恵まれた人が多いということだろうか。「ロミオ・マスト・ダイ(Romeo must Die・2000・米)」で監督でビューし、スティーブン・セガールとDMXが競演した「DENGEKI電撃(Exit Wounds・2001・米)」など、一貫してアクションものを撮っているというファンにはありがたい人。

 以上からも明らかなように、ハリウッドも大リーグのように世界各国の才能が集まる、まさに世界の夢工場となりつつある。ここで活躍できる人は、世界中でもほんの一握りなのだ。

 とにかく度肝補抜くアクションの連続なのだが、特に冒頭の容疑者の部屋への侵入の仕方には驚かされれる。高層マンションの屋上から、ベランダの手すりを使って、1階ずつ落ちて(ジャンプして)いくのだ。もちろんワイヤーを使って撮影しそれを後からデジタルで消しているのだろうが、これはスゴイ。息をのむ。単なる貼り付け合成ではなく、人がやっているから感動する。たぶんベランダに立つだけだって怖いと思う。ボクはきっとベランダには出られないだろう。

 お笑い要員として登場するのは、強盗団の一員トミーを演じるちょっと太めの黒人俳優「ビッグ・ママス・ハウスBig Momma's House・2000・米)」のアンソニー・アンダーソンと、怪しげな武器密売屋アーチーを演じる「トゥルー・ライズ(True Lies・1994・米)」のシュワちゃんの諜報機関の相棒役、トム・アーノルド。ちなみにこの武器屋、米軍の主力戦車M1エイブラムスも調達できるスゴイヤツで、パソコンはMacを使っている。

 この2人の傑作な掛け合いが、エンド・クレジット後に始まるので、早めに席を立って見逃すなどということのないように。エイボン・レディとか、ウィノナ・ライダーをネタにした毒舌は、たぶんアドリブなんだろうなあ。いいのか、あんなに言ってしまって。内容は見てのお楽しみということで。

 アクション映画らしく、とんでもない狙撃銃も登場する。.50口径(12.7mm)のバーレット

 公開9日目の2回目、新宿の劇場は50分前に着いたらロビーにオヤジが2人。35分前になって20代の男性2人と、20代カップルが1組やってきて、それでも20分前に前回と入れ替えになる頃には50人くらいとなった。案内がないので多少の混乱はあったが、だいたい皆場内が明るくなるまでは待っていた。

 最終的には、11席×5列の指定席と11席のぴあ席をぽっかりと空けて、763席に3.5割ほどの入り。まあまあというところだろうか。下は高校生くらいから、上は例によって白髪の老人まで。男女比は6対4で男性が多く、老若比は2対8と意外にも20代を中心とした若者が多かった。DMXのおかげか?

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