ビスタ・サイズ/ドルビーデジタル
徳川三代将軍家光の時代。1637年、島原で重税にあえぐ農民たちの乱が起こった。幕府が派遣した大軍によって反乱は鎮圧、女子供を問わず全員が殺害され16歳の少年だった総大将の天草四郎(窪塚洋介)も同じ運命をたどった。しかし10年後、天草四郎はクララお品(麻生久美子)とともに魔界からよみがえった。そして、家康の息子でありながら冷遇され不満を持つ紀州藩主・徳川頼信(杉本哲太)をそそのかし、徳川家に内乱を起こさせ滅亡させようとする。 |
うーん、今なんで「魔界転生」なんだろう。1981年に角川映画でジュリー(沢田研二)主演のを撮っているじゃない。いくら20年以上たっているからって、山田風太郎だけだって、まだ他にいくらでも原作があるだろうに。面白いアクション時代小説だって他にいくらでもあるだろうに。もったいないし、意味がわからない。こうしてリメイクして、しかもこの出来で……。 確かにデジタルによって技術は向上している。冒頭、しゃべっていた窪塚洋介の首がワンカットで切れ目無く、裁ち落とされ飛ぶ。不自然さは全くない。窪塚洋介も佐藤浩市も悪くない。柳生十兵衛、荒木又右衛門、宝蔵院胤舜、宮本武蔵、柳生田島守といった剣豪が戦うという設定も、アクション時代物ファンにはたまらないはず。魔界からよみがえった天草四郎は妖術を使うし、日本版スター・ウォーズかというほどの設定。なのに、なぜもっと面白くならないのか。目立っていたのは麻生久美子(「回路(2001)」)だけという感じ。かなり監督の思い入れがあるのではないだろうか。 たぶん細部がいけないのかもしれない。アバンタイトルの島原の乱合戦シーンでは、古臭い大げさな演技のパターンにはまった惨殺の描き方。本当に平山秀幸監督が撮っているのだろうか。まるでタイムスリップしたかのような演出。「学校の怪談(1995)」とか「OUT(2002)」を撮った監督とは思えない。本編に入るとそんなことはないけど。 そして、初めの方で魔界から死者をよみがえらせる寄り代として若い女を使うが、これがなぜか上半身裸で、胸を訳もなくポロンと晒しているのだ。観客サービス? いやいやスタッフが裸を撮りたかっただけじゃないの? なにしろ、あとで何人かが寄り代になるが誰も胸は出していない。 魔界から蘇った剣豪たちが死ぬとき、粉々になって骸骨がちょっと見えたところで四散して失せるが、これって「ブレイド(Blade・1998・米)」でしょう。真似はいかんなあ。オリジナルを超えていない、って言うかオリジナルは火も噴いたりしてるし。何かオリジナルな工夫がないと……。 もう一つ言えば、窪塚洋介が空中を浮遊するシーンでも、窪塚はまるで貼り付けたように2Dで移動するだけ。ずっと同じ面が向いている。ところがたとえばハリウッドの「X-MEN(X-Men・2000・米)」のマグニートはちゃんと回転しながら飛んでいる。こういう些細なディテールがリアリティにつながるのじゃないだろうか。 公開8日目の初回、30分前に着いたら銀座の劇場はまだ開いていなかった。2〜3人が入り口付近で列を作らずたむろっていた。ボクが入り口並ぶと、2〜3人が列を作った。それを無視して、まだ開場もしていないのに列を無視して入っていこうとするオヤジが。うーむ、恥を知れ、いい歳をして。 20分前になってようやく開場。ここは2Fに指定席があったと思うが、10人くらいしかいなかったのでチェックしなかった。たぶん510席全席自由。小学生から老人までいたが、やっぱり中心は中高年。時代劇はオヤジっていうことになるんだろうなあ。 最終的には40人ほどの入り。朝一はしようがないかも。でもちょっと少なすぎる気が。 劇場としてはいい劇場で、他館のプレミアム・シートが標準。カップホルダーはもちろんのこと、シートの広さも充分で、傾き具合、高さ、前後の広さも言うことなし。スクリーンがやや高めなのも見やすくて良い。 |