日本語字幕:手書き書体下、菊地浩司/ビスタ・サイズ/ドルビーデジタル
(米R指定)麻薬捜査官のニック・テリス(ジェイソン・パトリック)は、潜入捜査中に容疑者を追跡して射撃、あやまって近くにいた妊婦を死なせてしまう。停職処分を受けたニックはしかし、優秀だったことから18か月後に呼び出されて麻薬捜査官マイケル・カルベス殺害事件の捜査に協力するように依頼される。 |
この怖さ。このリアリティ。麻薬に犯された町では、たぶん無くてはならない麻薬の潜入捜査。アンダー・カバーは捜査官の精神をすり減らし、自ら麻薬の罠にはまりこむこともある。その切なさと、任務の過酷さ。それが良く出ている。 そして事件の謎解きのおもしろさ。一体誰がマイケル・カルベス捜査官を殺害したのか。単なる麻薬取引のトラブルのように思えた事件が、捜査を進める内に意外な展開を見せていく。 トム・クルーズが編集段階でこの作品を見て、自らエグゼクティブ・プロデューサーを買って出たというだけあって、素晴らしい出来だと思う。人の心を大きく動かす力を持っている。決して楽しい映画ではないが、少しも嘘くさくないし、訴えかけてくる何かがある。 まあ、ストーリーとしては平凡で、良くある潜入捜査官もの。奥さんからは現場はやめてくれと懇願され、でも正義感のようなものからやめることができず、家庭が崩壊する。これはリアルな刑事物に付き物だ。誰が捜査官を殺したかという謎解きもあるものの、実はこれも良くある話。この監督は、その良くある話を、地に足の着いた物語として、荒廃した麻薬社会の真実の姿をリアルに描いてみせる。これがすごい。 その監督の名はジョー・カーナハン。1969年生まれというから34歳。スゴイ才能だと思う。しかし本作以前に監督したのは1本のみで、脚本も2本しかない。いずれも評価が低くIMDbで5.2点とかしか取っていない。これでなぜ本作にジェイソン・バトリックやレイ・リオッタなどの一流俳優が出てくれたのだろうか。しかも、おそらく低予算映画だと思う。派手なチェイスや銃撃戦があるわけでもない。どちらかといえば「レザボア・ドッグス」系。こぢんまりとした話ではある。 銃声が鋭く大きな音がするのも良い。とにかく銃が怖そうだ。ニック・テリスはベレッタM92FS、麻薬捜査官が殺される銃はS&W・M686の2.5インチ銃身らしきリボルバー、警察かきら盗み出された戦術銃器(?)がモスバーグSG6(字幕ではこう出るが、モスバーグ590A1のストック無しコンパクトに見えた)。 弾着効果もうまく、ショットガンだと壁に大穴が開く。これが迫力があっていい。ただラスト、ジェイソン・パトリックがガバメントらしき銃をダフル・タップで撃つ時、なぜか直前までハンマー・ダウンで、カットが変わると2発撃ち、またカットが変わって標的に寄っていくところではハンマー・ダウンとわけのわからないつなぎ方。想像力をたくましくして考えてみると、ジェイソン・パトリックがうまりタップ射撃できなかったとも考えられる。そこだけ吹き替えを使ったのでは? ちょっとガッカリ。 タイトルのNARCというのはアメリカの俗語で、NARKとも書き、連邦麻薬取締官 のこと指すのだとういう。 公開初日の2回目、銀座の劇場は2回目以降全席指定なので、90分前に着いたらロビーには誰もいない。まあ、この時間なら先着順でも誰もいないだろうけど。 30分前くらいから若いカップルが1組、オヤジ1人、とぽつぽつ人が集まりだした。2つの劇場が一緒になっているので、混乱のないようにちゃんと案内があった。前回が終了し、清掃が済んで20分前まくらいに入場。15分前でおよそ25人ほどの入り。ほとんどは40〜50代のオヤジ。オバサンが2〜3人。若い男性は6〜7人だった。 ぎりぎりになって若いカップルと若い女性が少し増えた。トム・クルーズのおかげかも。最終的にはカップホルダー付きのゆったり183席(古い劇場だと250席くらい取るかも)に5割の入り。これは宣伝が少ない割にはいいのではないだろうか。ただ、出来の良さから、もっとお客さんが入っても良いと思うけど。 |