日本語字幕:手書き書体下、栗原とみ子/ビスタ・サイズ(with Panavision)/ドルビーデジタル・dts
(米R指定)1999年コソボ紛争に米陸軍とともに派遣された特殊部隊員のアーロン・ハラム(ベネチオ・デル・トロ)は、セルビア軍の指揮官を単身侵入してナイフで殺害、シルバー・スターを受勲した。2003年、アーロンはアメリカ、オレゴン州の森にいた。そして高性能スコープを付けたハンターをナイフで惨殺する。捜査を始めたFBIは、殺害方法から特殊部隊にナイフの格闘術を教えていたL.T.(トミー・リー・ジョーンズ)に捜査の協力を依頼する。 |
男同士の1対1の闘い、しかもかつての教官と教え子の対決、はおもしろい。しかし、教え子のデル・トロがこんな殺人マシーンになった過程というか、理由が不鮮明。男の対決を描きたいがために作った映画なのだろうが、短編ならまだしも、長編だとやっぱりハッキリした理由がないと物語にのめり込めない。どうも客観的に見てしまう。 たぶん、冒頭描かれるコソボ紛争の市街戦での殺戮の悲惨さに人間性を失ってしまったといいたいのだろうが、どうも肝心のそのシーンに迫力がない。女子供を片っ端から銃殺していく場面も、アップがないため感情が伝わってこない。ナイフなどで殺すと残虐な感じがするが、銃で距離も離れていると(しかも夜で暗いし)あまり怖くない。残虐な感じがしない。しかもアバン・タイトルだから短いし。 冒頭のシーンで襲われるハンターが持っていライフルは、セフティのはずし方がレミントンのM700風だったが、デル・トロが腹を立てるフェアじゃない大型スコープは、たぶん軍用のサーマル・スコープではないだろうか。通常赤外線を利用して温度差で暗闇や煙の中での視野を確保する。ジャングルで使えば、木の葉の陰などで判別しにくいターゲットも、温度差で発見することができるという優れものだ。 いずれにしても、これってどう見ても「ランボー」だよね。マシーンのようになってしまったかつての部下を、上司が説得に出張ってくる。自然の中に逃げ込むし、滝みたいなところでナイフを使うし。そのナイフもL.T.が教えたとおりの形で、とてもデザインされたナイフだし。これは最初は完全なナイフの形で、あとで鉄板や石から作るところまで見せてくれる。まさにサバイバル、同じところを狙っているとしか思えない。ナイフのテクニカル・アドバイザーはラファエル・カヤナンという人と、トーマス・キーアーという人。2人とも8月公開予定のジョージ・クルーニー監督作品「コンフェッション(Confessions of a Dangerous Mind ・2002・米)」で主役のサム・ロックウェルのトレーナーを務めている。また殺陣はヒロ・コダというアメリカ生まれの日系のスタントマン。「ブレイドII(Blade II・2002・米)」などを手がけた人。うまいわけだ。 L.T.は銃は嫌いだといってナイフしか使わないが、ナイフの方がずっと残酷に見え、暴力的だ。捜査を主導するのはF.B.I.だから、犯行が州をまたいでいたのかもしれない。捜査の責任者は女性捜査官でコニー・ニールセン(「閉ざされた森」でも担当捜査官役)が演じている。彼女はグロックを使っているが、実に撃ち方がうまい。かなり腕の良いトレーナーが付いているのだろう。他にH&KのUSPを使っている者もいた。SWATは定番のMP5サブマシンガン、M4カービンなどを使っている。さすがにいずれも今の設定だ。この辺は同じトミー・リー・ジョーンズが出た「追跡者(U.S. Marshals ・1998・米)」の雰囲気かもしれない。 公開2日目の初回、前売り券を忘れて取りにもどったら、20分前になってしまった。しかしまだ開場しておらず、新宿の劇場には23人の待ち列。やはりほとんどは中高年で、オバサンがわずかに3人。15分前にようやく開場し、11席×3列の指定席と11席のぴあ席もすべて自由。 最終的には763席に3〜3.5割の入り。なぜか「ぴあ」にあったタイムテーブルより5分遅れて開演した。 |