日本語字幕:手書き書体下、林 完治/シネスコ・サイズ(in Panavision)/ドルビー・dts/デラックス
(米PG-13、英12A指定)アメリカ、ボストン、心臓にペースメーカーを入れた人々が同時に心臓麻痺でなくなった。ロンドンでは大量の鳩たちが、突然コントロールを失ったかのように建物や彫像にぶつかり死亡するという事態が発生。地球に帰還中のスペース・シャトルも自動誘導装置が異常を来し、市街地に着陸するという異常事態になった。シカゴ大のジョシュ・キーズ(アーロン・エッカート)は磁気異常という共通項に気づき、調査の結果、地球の核、コアが回転を止めようとしていることが判明する。 |
「アルマゲドン(Armageddon・1998・米)」と非常に似た感じの映画。しかし雰囲気だけで最後まで持っていく「アル……」とちがって、荒唐無稽な物語をどうにか科学的な話にしようとがんばっている。そして、思いっきりハリウッド的なおとぎ話を、感動の話にまとめている。これを「アル……」と同じと見るか、がんばっていると見るかで評価は違うだろう。IMDbでは5.4と評価が低く、同類と見たということのようだ。ボクは面白かった。「アル……」はダメだったけれど。 むちゃを承知で一言でいえば、地底版「ミクロの決死圏(Fantastic Voyage・1966・米)」というところだろうか。メンバーの中にスパイがいるわけではないが、話の雰囲気は「ミクロ……」にそっくり。「アル……」はあまり好きな映画ではないので、あれに似ているとは言いたくない。言うと「アル……」を認めてしまうことになる。本作はもっと面白いと思う。 もちろん矛盾点やら、甘い点はたくさんある。しかし、こういう話を成立させるためには多少のごまかしはしようがない。問題なのは、その矛盾点を映画を見ているときにリアル・タイムで気づかせてしまうかどうかということだ。見ているときには気づかなくて、後で考えたらあのシーンはおかしいよなあっていうのが、この手の映画では理想だろう。結局、こういう映画を見に来る人は、どこかで気持ちよくだまして欲しいわけだ。それができるかどうか。 実際、科学的には地球のコアは停止することがあるのだそうだ。そういう意味では結構リアルな設定になっている。だからコアが停止したとしたら起こる磁気異常による怪異現象は、かなり正確に(ただし映画的に大げさに)描かれているらしい。それを丹念に紡いでいるので、だんだん気分が盛り上がってくる。気分が盛り上がってくれば、多少のウソは許せる。地中へ潜るための技術は、たぶん映画でしかありえないものだろうけれど、これも小さいウソから徐々に大きくしていくことによって信じられるようにもっていっている。こういうのを一切無視してしまう「アル……」はだからダメなのだと思う。 このファンタジーにリアリティを与えたのは、ジョン・アミエル監督。もともとはイギリスの人で、キアヌー・リーブスの「ラジオタウンで恋をして(Tune in Tomorrow...・1990・米)」でハリウッド・デビューを飾り、あまりアメリカでの評価は高くないようだが、ボクはわりと好きな西部劇「ジャック・サマースビー(Sommersby・1993・米仏)」や、かなり怖かったスリラー「コピーキャット(Copycat・1995・米)」、アクション犯罪劇「エントラップメント(Entrapment・1999・米英独)」を次々ヒットさせた実力派。日本ではそこそこの評価なのにどうしてアメリカでは評価が低いのだろう。それはともかく、いずれも違うジャンル。似たような作品を撮っていないことがすごい。 公開2日目の初回、新宿の大劇場は40分前で前売りの列に20人、当日の列に10人という感じ。「マトリックス」の影響で多くはないだろうという予想通りの混み具合。男女比は6対4でやや男の方が多い。老若比はほぼ半々。若い人たちに受ける俳優さんが出ているわけではないのに、意外な結果。 初回は全席自由で、12席×5列の指定席も座ってOK。空いていたとは行っても1,044席の4.5割は埋まったので、どうして、どうして。もっと混んでも良いと思う。ぴあ席はなかったが、まあ当然か。 |