日本語字幕:手書き書体下、岡田壮平/ビスタ・サイズ(1.66、with Panavision)/ドルビーデジタル・dts・SDDS/デラックス
(米R、英15指定)プエルトリコの海岸沿いの町で、12〜13歳の少女がレイプされて殺される事件が連続して起こった。警察は重要参考人として、地元の税務関係の敏腕弁護士ヘンリー・ハースト(ジーン・ハックマン)を任意で警察署に任意で出頭させ、警察署長のビクター・ベネゼー(モーガン・フリーマン)の地理調べを直々に受けることになる。 |
3年前の映画ということでやや心配もあったが、どうして、どうして、舞台のようなほとんど警察署内だけで話が完了してしまうという物語。よーくクレジットを見れば、製作総指揮にモーガン・フリーマンとジーン・ハックマンの名前があるではないか。つまり2人が作りたかった映画なのだこれは。2人の魅力炸裂だし。そして、彼らふたりが厳選して出ている映画は、どれも出来が良く、面白い物ばかり(そりや、お金のために出ている映画もあるだろうし、それは……)。 ちゃんと美女も登場し、それがモニカ・ベルッチ。ハックマンの若奥さんという設定で、あまりに年齢差があることから何か金目当ての結婚という臭いがプンプンするところがミソ。 さらには、金持ちの弁護士を目の敵にする若手の刑事(「ドリームキャッチャー」のトーマス・ジェーンが好演)もいて、隙さえあれば名刺の化けの皮を派がしてやろうとしているところが、またいい。全員が危ういバランスの中で平穏を装っているところがいいのだ。 モーガン・フリーマンとジーン・ハックマンの演技対決は手に汗握る。ジーン・ハックマンにいたってはもカツラを使ってまで役に打ち込んでいるし。配役も完璧と言っていいだろう。 この絶妙のストーリーは、ジョン・ウェインライト原作のミステリー「Brainwash」。公式サイトによるとすでに一度映画化されたことがあり、「レイプ殺人事件(未)(Garde a Vue・1981・仏)」でDVDが発売されているという。うーん、見てみたい。 とにかく、取り調べが進むに連れて容疑者である金持ちで弁護士の、いわばハイソな男の赤裸々な日常が明らかにされていく過程がすごい。それは覗いてみたい他人の恥ずかしいブライバシーであり、仮面の裏に潜む真実の姿でもある。それがショックだ。そして、最初自身に充ち満ちていた弁護士の姿は次第にしぼんでいき、威厳とともに人間性までもが失われていくような悲しさ。それがラストの意外なまでに悲しい結末へとつながっている。 ひょっとして何パターンかのラスト・シーンが撮影されたのではないだろうか。そしてその中から国によっては違うバージョンが公開されたのかも、と思わせるラスト。まさか、いやいいやあれしかないだろう。でも、それではあまりに……。うーん、考えさせられる。いい映画だ。後味はけっして良くないけど。 監督は「エルム街の悪夢5/ザ・トリーム・チャイルド(1989)」や「プレデター2(1991)」や「ジャッジメント・ナイト(1993)」という面白い映画を撮っているスティーヴン・ホプキンス。近作はテレビが多いようだが、ぜひとも劇場作品を撮って欲しい。 公開2日目の2回目、新宿の劇場のロビーには30分前で10人くらいの待ち。オヤジ1/3、若い男性1/3、女性1/3という感じ。入れ替えの10分前列を作らされ、15分前に中へ。 最終的に、指定席なしの300席に3割ほどの入り。あまり宣伝していない割には入っている方だろう。ちょっと古い作品だが、これはぜひ見て欲しい。 |