2003年6月21日(土)「メラニーは行く!」

SWEET HOME ALABAMA・2002・米・1時間49分

日本語字幕:手書き書体下、稲田嵯裕理/ビスタ・サイズ(1.66、with Panavision)/ドルビーデジタル・dts・SDDS/デラックス

(米R、英15指定)

http://www.movies.co.jp/melanie/index.html
(全国劇場案内もあり。入ったら音に注意)
ニューヨークの新進ファッション・デザイナー、メラニー・カーマイケル(リース・ウィザースプーン)は、新作の発表会で批評家の絶賛を浴び、さらに市長の息子アンドリュー(パトリック・デンプシー)からプロポーズされ、人生の絶頂にあった。しかし、彼女には秘密があった。7年前に別居したままになっていた夫が、田舎のアラバマに住んでいたのだ。さっそく離婚届をもってメラニーは田舎にもどるが……。

69点

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 よくある話。しかも何のどんでん返しもなく、予想通りの結末となる。だったら設定もオーソドックスな定石パターンにすればいいものを、ちょっと加えたアレンジが、余計にこの作品の足を引っ張っている。

 つまり、映画的には黄金の三角関係の、その作り方を失敗しているのだ。こういう物語の場合、お金持ちの男は外見はカッコイイが、実情は浮気していたり狡猾だったり、イヤなヤツでなければならない。一方、田舎のダサイ男は、見てくれは悪いし行いもあか抜けていないが、心がピュアでいいヤツでなければならない。そうでないと、主人公が最終的に田舎男を選んだことに関して観客の賛同を得られない。現実は別として、お金持ちを選んだらひんしゅくを買ってしまうだろう。

 ところが、設定がどちらも同等の男だと、観客は人の心をもてあそぶな、二股かけるなといった否定的なものにならざるを得ない。主人公がこんな評価をされては、こういう映画において致命的だろう。それをやっちまったと。とにかく市長の息子がナイス・ガイで、お金持ちのおぼっちゃまというだけではないのだ。観客の半分はたぶん彼がかわいそうだと思ったはず。こんな状況では、主人公はどちらの男を選ぼうとも観客から支持されない。

 つまり最初から失敗が約束されていたような脚本なのだ。なぜこんなことになったのか。作っているのは映画のプロばかりなのだから、これがわからないはずはないと思うのだが、どこで判断を誤ったんだろう。

 田舎の夫を演じるジョシュ・ルーカスがどうしても胡散臭い感じがする。いやらしいヤッピーたちを描いた「アメリカン・サイコ(American Psycho・2000・米)」や、アホばっかりの「セッション9(Session 9・2001・米)」という作品に出ているから、余計に怪しく感じてしまう。

 一方、市長の息子のナイス・ガイはバトリック・デンプシーといって、ギャング青春映画「モデスターズ/青春の群像(Mobsters・1991・米)」やホラーの「スクリーム3(Scream 3・2000・米)」で若い刑事を演じていた人。つまり、もともと印象が良い。どうも配役も逆な気がする。好意的に考えれば、パターンにはまりたくなかったということなのだろう。しかし……。

 公開8日目の初回、一番早くからやっている劇場ということで新宿のシネマ・コンプレックス系となった劇場に行ったら、不人気からか一番小さな劇場にされていた。ガーン。ショック。こんな所でお金を払って見たくない。30分前に着いたら、ロビー兼用のエレベーター・ホールには誰もいなかった。

 当然だろうなあ、と思っていると20分前に開場し、自分一人。とほほ。15分前になってやっと若いカップル、オバサン、オジサンとやってきた。そのあと来た若い女の子の二人連れなど、入って来るなり「超小さくない?」と一言。ほとんどの人が「うわ」とか言う。驚かない人がいないという感じ。悲しい劇場だ。

 最終的に、指定席なしの56席に11人。座席数から考えると多いのかも。オバサン3、オヤジ4、若い女の子3、若い男1。


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