日本語字幕:ゴシック体下/ビスタ・サイズ(Panavision)/ドルビーデジタル
昭和6年(1931)上海、ドイツ生まれのロシア人リヒャルト・ゾルゲ(イアン・グレン)はジャーナリストと名乗り、ソ連のために情報収集を行っていた。朝日新聞社の尾崎秀実(本木雅弘)は共通の友人の紹介で、知り合うことになる。やがて日本軍部の情報を尾崎はゾルゲに教えるようになる。やがて尾崎は日本へもどり、ゾルゲも日本に派遣されることになり、東京で再会するが……。 |
うーん、つらい。何しろ長い。途中ちょっと気を失った。ゾルゲのスパイとしての半生を描きたかったということなのかもしれないが、焦点がぼけてなんだかなあと。ゾルゲを描いているようで、途中何度もふらふらとし、歴史上の史実を描くことに重点が移ってしまっている。 しかも3時間2分という長丁場。これが飽きる。寝不足のボクは何度か気を失いかけた。 そしてワン・パターンの構成。話が変わるとき一旦、場所の説明カットが入って、そこで起こっていることが始まる。このエスタブリッシュ・ショットの内容もまたワン・パターン。ほとんどその国の名所旧跡などで、しかもCGのいかにも絵という感じのショットだから、だんだん鼻についてくる。いきなり額をくっつけて相談している男たちが出て、字幕でドイツ・ベルリンとか出ても何も問題はないし、かえってわざとらしくなくていいと思うのだが。 さらにわざとらしいのが、主役級の役者さんたちだけ念入りなメイクがされていて、どうらんのせいなのかイアン・グレン、本木雅弘、葉月里緒菜など顔が全くのつや消し状態で、白く浮いている。これはなんなんただろう。確かに顔がテカっていては困るが、つや消しではリアリティがない。芝居を見ているわけじゃないんだから。 旧日本軍の武器で三八式歩兵銃は当然として、十一年式軽機関銃、九二式(または三年式、未確認)重機関銃まで出てくるのには驚いたが、運んだり狙ったりしているだけで、一切発火はなし。撃つ時になるといかにも作り物の銃口だけがアップになり、花火もろバレの勢いのない電気着火というのはどうなんだろう。ここまでの大作でお金を掛けて、軍の表現が子供だましのレベルではバランスがあまりに悪いのでは。 戦車というか装甲車も1両は動くものが登場しているが、はたしてあの奇妙な形はなにを作ろうとしていたのか、詳しい人の解説を聞いてみたい。まさか「ムルデカ17805」の張りぼてシャーマン風より酷いということはないと思うが……。 公開15日目の2回目、上映直前に入ったら新宿の劇場は意外なほど客席が埋まっていた。えっ、これが3週目に突入した映画? そんなに面白いの3時間以上なのに? と思いつつ席を探す。 指定席無しの586席は7.5割ほどの入り。ほとんど中高年で、若い人がパラパラ。まっ、当然か。男女比は夫婦連れが多いのでほぼ半々くらい。ボクには合わなかったが、中高年には面白い映画なのかもしれない。 それにしても、日本人と中国人は母国語で話しているのに、どうしてドイツ人もロシア人も英語で話すの? ドイツ大使館内なんか全員がドイツ人なのに英語で話しているんだもんなあ。どうせ字幕を出すんだから、ドイツ語、ロシア語でいいはずなのに……。すっかり興ざめした。 |