日本語字幕:ゴシック体下、岡田壮平/シネスコ・サイズ(ARRI)/ドルビーデジタル/TECHNICOLOR
(米PG-13指定)小さなテレビCM製作会社は過激な映像で日本のDVハンディーカムのCMの仕事を得た。もっと強烈なインパクトを得るため、次は雪崩と競争する女性スキーヤーを撮ることになり、スノーボーダーとワールド・カップ金メダリストらを引き連れて、オーストリアにロケに向かう。しかし、たまたま宿泊したホテルに国際指名手配の戦争犯罪人が泊まっていたことから事件に巻き込まれる。 |
のっけからスゴイ・シーンの連続で、度肝を抜かれる。エクストリーム・スポーツのオン・パレード。これで怪我人が出なかったのかと心配になるほど。印象としては、お金はそれほどかかっていないが、スゴイ技とアイディアで映画を作ったぞ的映画か。ムダにお金を掛けていないところに、かえって好感が持てる。 カヌーの激流下りや、ベースジャンプ、BMX、これでもかと過激テクニックで観客を圧倒すると、それがCM撮影だとわかる。ところが、ここで「なあんだ」とならずに逆にすごいなあと思ってしまうところがまたいい。こんなふうに撮影しているのだという驚きがあるのだ。これは、ひょっとしたらカメラマンの方がもっと凄いんじゃないかという驚き。素晴らしい。 物語としては、よくあるパターンだが、撮影隊のメンバーの中に、エキストリーム系の自由気ままなスノーボーダーと、ワールド・カップ・スキーの金メダリストがいるところがおもしろい。ルール無視で楽しく騒ぐスノーボーダーに対して、型にはめられトレーニング一筋でやってきたたたき上げのアスリート(それがまた美形)。金メダルの威光も現場では通用しない。どれだけスゴイ技をカメラの前で披露できるか、それしかないのだ。 まあ、ラストに金メダリストも枠をはみ出して……というのはできすぎのエンディングだが、結構スッキリ気持ちよく劇場を後にすることができる。 薬をやってるいかれたミュージシャンで、スノーボーターのキティには、ジャナ・パランスキーというドイツ人女優。アメリカ映画は初めてらしいが、いい。とても魅力的。またスキーの金メダリスト、クローイを演じたブリジット・ウィルソン=サンプラスという金髪美人は、どこかで見たなあと思ったらテニス・プレーヤーのピート・サンプラスの奥さんなんだとか。 カメラマンを演じていたのは「ファイナル・デスティネーション(Final Destination・2000・米)」で最初に墜落のビジョンを見て騒ぎ出す高校生を演じたデブォン・サワ。オバケ映画「キャスパー(Casper・1995・米)」にも出ていたらしい。 監督役は、どちらかというと悪役の多いルーファス・シーウェル。「ロック・ユー(A Knight's Tale・2001・米)」、「ブレス・ザ・チャイルド(Bless the Child・2000・米)」、「ダーク・シティ(Dark City・1998・米)」なんかに出ていた人で、キャラが濃いので印象に残る。 監督は、あの孫子の兵法を扱ったウェズリー・スナイプスのアクション映画「アート・オブ・ウォー(The Art of War・2000・米)」のクリスチャン・デュゲイ。やっぱり、スゴイ映画を撮ってくると思いましたよ、あんまり注目されてないけど。今は「Yakuza」のプリ・プロに入ったところらしい。絶対注目だ。少なくともボク的には。 公開2日目の初回、新宿の劇場は25分前についたらすでに開場していて、指定席無しの272席にオヤジ3人の若者が2人。その後若いカップルも来て、最終的には20人ほどに。老若比は半々くらいで、女性は5人うち1人オバサンという感じ。でも、もっとお客さんが入っていい映画だし、もっといい劇場で上映していい映画だと思うけど。かわいそう。このスゴイわざは大スクリーンで見なくては。 |