シネスコ・サイズ(HD撮影)/dts
空き地の目立っていたお台場も開発が進み、あちこちに新しいビルが建ち、たくさんの観光客が訪れる人気スポットとなっていた。そこを管轄する湾岸署は道案内から迷子、交通整理などでてんてこ舞いの毎日。そんなある日、猟奇殺人事件が発生し、捜査本部が湾岸署に設置されることになり、警視庁から初の女性管理官として室井(柳葉敏郎)を従えた沖田(真矢みき)が派遣されてくる。 |
すごい。何がすごいって、たぶん誰の期待も裏切らないことがスゴイ。TVシリーズはもちろんのこと、大ヒットした劇場第1作も非常にたくさんの人たちが見ているわけで、おそらくその1人1人にそれぞれのイメージの「踊る……」が出来上がっているはず。しかも5年も経っていると、各人の中でそれらは美化され、もっと大作、大傑作に昇華してしまっているわけで、「2」を作るスタッフはそれらすべてに応えなければならないわけだ。 通常そんなことはできるはずがないが、「2」ではその不可能に挑戦してほぼ観客全員を満足させる結果を出した。満点ではなくても、これ以上は無いという出来なのではないだろうか。2時間18分はさすがに長目だが、まったく飽きさせない。お約束を全部とりこみ、ちゃんと1つの話としてまとめ、しかもおもしろいなんて、奇跡に近いことなんではないだろうか。 前回でおなじみの同時進行多重事件。ただ、今回はメインの事件はさすがにツッコミを入れられる出来。ストーリーの説得力やつじつまは二の次になってしまっていたようだ。みんなの希望を取り入れるとこうなってしまうのだろう。もちろん天才的脚本だとは思うけれど。 ちょっと気になったのは、色の浅いシーンが全体に多かったこと。色がのっているシーンもあったが少ない印象。これは日本映画の最近の傾向なのか。さらにパンしているときピンボケというかブレる感じがちょっと気になった。ハリウッドでもこういうことがあるので、日本映画にまでうるさくいえるはずもないが。HD撮影とクレジットされていたが、そのせいなのだろうか。 ちなみに、前作に引き続き重要な人物が撃たれるのだが、ビッグショットの納富さんによれば、そこで使われている銃は旧ソ連のピストル、マカロフだそうだ。画面からはわかりにくいがわざわざ特注で作ったらしい。弾着効果も完璧。至近距離の発砲で身体を貫通する表現を胸と背中の弾着で表現している。微妙な時間のズレ、血糊の量と飛ぶ方向によって存在しない弾丸があたかも貫通しているかのように見せている。さすがはビッグショット。 ギャグもほとんど滑らず、気持ちよく笑わせてくれる。特におかしかったのは、劇中登場するカップ麺“湾岸署ラーメン”と“湾岸署せんべい”と“湾岸署まんじゅう”が上映が終わってロビーに出たらそこで売っていたこと。みんな笑っていた。ウケ狙いでボクも買おうかと思ったが、このご時世、無駄遣いはいけないと自制した。 日本の特殊部隊SATがなかなか効果的で、日本製ハンヴィーやヘリまで登場したのには驚かされた。しかし一番驚いたのは、パソコンおたくのような嫌らしい青年が小泉孝太郎だったということ。見ていて全くわからなかった。意外だが演技がうまい。深夜のインタビュー(対談)番組ではすっかり好青年だが、まったく正反対の役を見事に演じきっている。 そして女性管理官を演じた真矢みき、いいです。タカビーな感じがよく出ていてうまい。命令口調もグッド。ただ設定としては作りすぎかも。これじゃあまりにステレオタイプ。女性蔑視になっていない? 公開初日は舞台あいさつがあるというので混雑を避けて2日目、朝8時20分からというモーニング・ショーのような初回にいった。銀座の劇場は7時半で30人くらいの行列。若い人と中高年が半々という感じ。 45分前に開場し、場内へ。ここは2回目以降、全席指定となる劇場だが、初回のみ中央付近のプレミアム・シート17席×2列も含め全席自由。余裕のある人は朝に来て、見たい回の座席券を買って(通常料金、または前売り券と交換して)おくといい。 観客層は、下は小学生くらいから、上はオヤジ世代まで幅広い。ファミリーで来ているところもチラホラ。中心は20代と中高年。それぞれ半々くらい。男女比は3.5対6.5で女性の方が多かった。30分前くらいから10代も増えだした。最終的には10代が1/3くらいいっただろうか。 朝早いというのに、654席の8.5割ほどが埋まってしまった。すばらしい。何やら大ヒットの予感。 |