日本語字幕:手書き書体下、古田由紀子/シネスコ・サイズ(レンズ、in Panavision)/ドルビーデジタル・dts
(米PG13指定)シアトルのテレビ局KQMOのリポーター、レイニー(アンジェリーナ・ジョリー)は、ブロンドと毎日のジムで鍛えているナイス・ボディを武器に、全国ネットへの進出を夢見ていた。そんなある日、全国ネットへの進出するならニューヨークのテレビ局にいたカメラマンのピート(エドワード・バーンズ)と組めと命じられる。そして町の予言者ジャック(トニー・シャローブ)の取材に行ったとき、レイニーは「来週の木曜に死ぬ」と宣告されてしまう。 |
もっとお気軽なラブ・コメディかと思っていたら、芯のしっかりしたドラマだった。映画は「毎日が最後の日だと思って、今日を生きよう」と主張する。まさにその通りで、それができていない観客の心にグサッときてショッキングでもある。ボクはちょっとすぐには席を立てなかった。 もし地方で活動しているあなたに、全国ネットで活躍できるチャンスがやって来たら、愛する人を取るかチャンスに賭けるか。とても難しい問題だと思う。誰にでもチャンスは回ってくるが、それに気づかない人が多いのだと昔は言った。しかし2002年のこの映画は、名声など一時的なもので、愛こそが永遠のものだという。愛を今手放せば二度と手にすることはできなくなると。 時代は変わった。でもそれに納得できるか。特にいまだ独身のボクには堪えるテーマだ。いまが一番幸せという人以外には堪えるのではないだろうか。そのチャンスを受け入れて生かしたことで人生が変ってしまうこともあるだろうし、愛は永遠といいながらもアメリカの離婚率は世界一高い(2位イギリス、3位韓国)。それがお題目に過ぎないことは、数字が物語っている。だからこそ愛の大切さを訴えているのか……。 主人公は美人のTVリポーターで、金髪で、メジャー・リーグの人気選手とつきあっていて……と、自分の野心を除けば何ひとつ不満のない人生を送っているように見える。ところが、実際にはブルネットの姉の方が父に愛されているのではないかというコンプレックスがあり、メジャー・リーグの選手とはしっくり行っていない。 一方、コンビを組むことになったカメラマン、「プライベート・ライアン(Saving Private Ryan・1998・米)」や「15ミニッツ(15 Minutes・2001・米)」のエドワード・バーンズは、一見誰とでも寝る無責任プレイボーイ。しかし、彼も近づいてよく見れば、離婚したため愛している息子とは週1回くらいしか会えない。そして、ニューヨークーの現場へはもうもどりたくないと体験もしているらしい。 路上生活者のような町の予言者、「ギャラクシー・クエスト(Galaxy Quest・1999・米)」や「メン・イン・ブラック(Men in Black・1997・米)」のトニー・シャローブ演じるジャックにしても、本物の予言の能力がありながら、路上生活者に甘んじている。結局、人はみな見かけとは違った人生を生きている、と。それでいて日本のようなジトーとしたお話にせず、さわやかで楽しくなるような映画に仕上げている。プッツンときちゃったアンジェリーナ・ジョリーが、取材相手に同情してローリング・ストーンズの「サティスファクション」を歌い出し、やがてその場にいた全員はもちろん、中継スタッフまでが歌ってしまうというシーンなんか最高。こっちまで歌いたくなってしまう。 一体この映画を誰が監督したんだ、と思ったら、スティーブン・ヘレクではないか。この人、「クリッターズ(Critters・1986・米)」「ビルとテッドの大冒険(Bill & Ted's Excellent Adventure・1989・米)」「飛べないアヒル(The Mighty Ducks・1992・米)」「三銃士(The Three Muscketeers・1993・米)」「陽のあたる教室(Mr. Holland's Opus・1995・米)」「101(101 Dalmatians・1996・米)」……と面白い映画がズラリと並ぶ。SF、ナンセンス・コメディ、スポ根、音楽もの……何でもこなせる天才的職人監督。まずこの人の作品なら間違いないという人だ。 公開初日の2回目、5分前に新宿の劇場(300席)に着いたら場内には50〜60人ほどの人。4対6で女性の方が多く、中高年は全体の1/4ほどで、中心は20代の若者。おやおや、珍しい。 なぜか字幕の半分くらいが二重というかピンボケ状態。これは上映側のせいなんだろうか。とても気になった。そして、2回目が終了したところで、ブロンド美女によるなんちゃらイベントがあるという。おいおい、映画に感動しているのに、ブロンド美女のイベントだって? よしてくれ、映画を汚すのは。個数限定の高級チョコレートのプレゼントは嬉しかったけど。 |