日本語字幕:手書き書体下、戸田奈津子/シネスコ・サイズ(マスク、with Panavision)/ドルビーデジタル・dts・SDDS
(米PG-13指定)カリブ海のイギリス領にある港町ポートロイヤルに、海賊に襲われた船から脱出してきたと思われる少年ウィル・ターナーが運び込まれてきた。そのとき総督の娘エリザベス・スワンは、少年が持っていた金貨の付いたネックレスをこっそり隠してしまう。数年後、ウィル(オーランド・ブルーム)は鍛冶屋の職人となり、ノーリントン(ジャック・ダベンポート)の新総督就任祝いに贈る剣を現総督ウェザビー・スワン(ジョナサン・プライス)の家に完成した剣を届けに行く。パーティーに出席したエリザベス(キーラ・ナイトレイ)は、金貨付きネックリスをしたまま海に落ち、異様な波動が発生する。彼女を救ったのは、一匹狼の海賊ジャック船長(ジョニー・デップ)だった。そしてその晩、伝説の海賊たちが町を襲ってくる。 |
ディズニー・ランドの人気アトラクション「カリブの海賊」にヒントを得て作られた映画……とは思えない素晴らしい冒険活劇!! キャストが贅沢なだけではなかった。ボク自身あまりたくさん見ていない(しかもテレビの深夜枠)が、「シー・ホーク(The Sea Hawk・1940・米)」のエロール・フリンとか「ダグラスの海賊(The Blaack Pirate・1926・米)」のダグラス・フェアバンクスとかの活躍した時代(映画全盛期)の海賊ものに近いのではないだろうか。 冒険につぐ冒険、美女と財宝、チャンバラ、ハッピー・エンディング……安心して楽しむことのできる映画。しかも、ディズニー印とは言いながらもちょっとハードな内容で、ちゃんと大人向きのおとぎ話になっている。これぞ映画、これぞ活劇、これぞ海賊。 それでいて、「カリブの海賊」のアトラクションの要素もちゃんと取り入れているのだから驚く。つまり、海賊の町での大騒ぎ、財宝の山、砲撃戦……などなど。あのライドの間に見るものがちゃんとある。すごい。 しかし心配ではあった。「パール・ハーバー(Pearl Harbor・2001・米)」と「アルマゲドン(Armageddon・1998・米)」のスタッフが再結集したのだから。ボクはこの2つの映画を作った人の知性を疑っている。カッコだけはいいのだけれど。「パール……」「アルマ……」の監督とは違うゴア・バービンスキーが監督したので良かったとしか思えないなあ。 ゴア・バービンスキーと言えば、あのドタバタ・コメディ「マウス・ハント(Mouse Hunt・1997・米)」でメジャー・デビューした人。続いてブラッド・ピットとジュリア・ロバーツが共演した鉄砲映画「ザ・メキシカン(The Mexican・2001・米)」を撮って、さらにはリメイクで話題になった「ザ・リング(The Ring・2002・米)」を撮っただけでハリウッドの一流監督の仲間入り。すごい才能の持ち主だ。だからこそ「カリブの海賊」をここまでちゃんとした冒険活劇にまとめ上げることができたのだろう。 たぶん豪華なキャストがズラリと並んだのも、みな監督の手腕を信じたからこそだろう。「ニック・オブ・タイム(Nick of Time・1995・米)」や「デッドマン(Dead Man・1995・米)」のジョニー・デップ、「シャイン(Shine・1995・豪)」のジェフリー・ラッシュ、「ロード・オブ・ザ・リング(The Lord of the Rings・2001・米/豪)」シリーズのオーランド・ブルーム、「007/トゥモロー・ネバー・ダイ(Tomorrow Never Dies・1997・米)」のジョナサン・プライス……彼らだけでも大変な出演料だろう。ボクにはピンとこなかったのが、総督の娘エリザベスを演じたキーラ・ナイトレイという女優さん。この前に「ベッカムに恋して(Bend it Like Beckham・2002・英/米/独)」に出ていたそうで、なんでもこの映画での共演がきっかけとなって、オーランド・ブルームとくっついちゃったとかなんとか。でも、あんまり魅力的な女性に見えなかったんだけど……。 そして素晴らしいのがSFXというかCG。謎の海賊たちは呪いがかけられていて、何があっても死ぬことができない。そして月の光を浴びると正体が露見してしまう。月の光が漏れているところと影になっているところを歩いていくと、実に自然に見え方がスムーズに激変する。後半ではこんなところでチャンバラをやってみせるのだ。水中を進軍するときも、ちゃんと体重が足に載っているように見え、本当にリアルだ。レイ・ハリーハウゼンの「シンドバット7回目の航海(The Seventh Voyage of Sindbad・1958・米)」を思い出す。はるかにレベル・アップはしているが。 公開2日目の初回、新宿の大劇場は40分前に着いたらちょうど開場したところ。9席×7列+7席の指定席も初回は自由。すでに70〜80人ほどが入っていた。客層としては、下は中学生くらいから上は中高年までいたが、中心は20代の若者。男女比はほぼ半々だった。 新宿の劇場はイスを入れ替えてから、とにかくスクリーンが見えにくくなった。最近の映画は90%以上がスクリーン下に横書きで字幕が入るから読みにくくてしようがない。せっかく床に傾斜のあるいい劇場だったのに、このイスじゃあなあ。特に後方2/3ほどはスクリーンを見下ろす形になるので、前席がじゃまになる。前に座った方が良い。これは指定席でも同じ。 最終的に820席に8割ほどの入り。初回としては優秀な数字ではないだろうか。実際よくできた映画なので当然といえば当然なのだろうが。やはりこういうアクション系のものは劇場で見た方が良い。画面比率もシネスコと横長だからなおさら。 冒頭にドルビー・デジタルの洞窟バージョンのデモあり。久々に見た気がする。ちょっとビックリ。 |