2003年8月18日(月)「コンフェッション」

CONFESSIONS OF A DANGEROUS MIND・2002・米/加/独・1時間53分

日本語字幕:手書き書体下、岡田壮平/シネスコ・サイズ(マスク、with Panavision)/ドルビーデジタル・dts・SDDS

(米R指定、日本PG-12指定)

http://www.confession.jp/
(全国劇場案内もあるが遅い。サウンドはこまめにオフに)
1955年ニューヨークに上京したチャック・バリス(サム・ロックウェル)は、テレビ局NBCのツアー・ガイドの仕事を得るが、やがて人員整理のためにクビにされる。そこで1961年ABCのあるフィラデルフィアへ行き、たまたま書いた曲が全米ヒット・チャートの第3位になり、多額の印税を得た。それを資金にTV局に自分の企画を持ち込み、採用されるや一躍時代の寵児に成り上がる。やがて1人の男が近づいてきて、CIAの契約エージェントとして仕事をしないかと持ちかけるが……。

72点

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 ジョージ・クルーニー監督のデビュー作。彼は演技だけでなく、多彩な才能を持っているようだ。なかなかうまい演出だと思う。ちょっとフランシス・フォード・コッポラの「ワン・フロム・ザ・ハート(One From the Heart・1982・米)」に似たような印象があるが、悪くはない。真実かどうかわからない話を、本当に真実かどうかわからないまま映像化している。この微妙なさじ加減が絶妙。

 ただ決して愉快な映画ではなく、むしろ見終わった後、不快感が残る。これが唯一の問題点かも。そしてアメリカで成人指定となったのは、映像に暴力的な部分かあるとか卑猥な部分があると言うよりは、たぶん卑猥なセリフのせいだと思う。冒頭でチャック・バリスがナレーションで告白しているように、物心ついたころから彼の頭の中はどうやって女と寝るかだけだったらしいから。

 原作はチャック・バリス本人が1982年に書いて1984年に出版された映画と同名の「Confessions of a Dangerous Mind(危険な心の告白、日本版は角川書店「コンフェッション」)」で、脚色に「マルコヴィッチの穴(Being John Malkovich・1999・米)」「ヒューマン・ネーチャー(Human Nature・2001・米仏)」「アダプテーション(Adaptation.・2002・米)」のチャーリー・カウフマン。良くできているわけだ。

 出演者は、たぶんジョージ・クルーニーが監督と言うことで、みな友情出演している部分があるのだろう。正規料金では役者の出演料だけで大変な金額になっているに違いない。もちろんクルーニー本人の出演料を含んでの話だが。

 主役はサム・ロックウェル。傑作SFコメディ「ギャラクシー・クエスト」は別として、ショッキングだった「キャメロット・ガーデンの少女」、感動の大作「グリーンマイル」、「チャリ・エン」の敵、いずれも悪役で強烈な印象の観客に残す人。汚れ役をすすんでやっているようなところがある。

 NYで最初にチャック・バリスと寝る女がマギー・ギレンホール。あの奇妙なミステリー「ドニー・ダーコ」に出ていた人。最近ではジェームズ・スペイダーの秘書を演じた「セクレタリー」なんかに出ている。

 そのルームメイトで、のちにチャック・バリスと恋に落ちるのは「チャリ・エン」のドリュー・バリモア。「チャリ・エン」でもサム・ロックウェルと共演しているから、やりやすかったのだろう。

 殺し屋の謎の連絡院を演じているのは、大女優になったジュリア・ロバーツ。最近では「オーシャンズ・イレブン」に出ていたが、それより2001年の「ザ・メキシカン」の方が良かったような気がする。1本主演するだけで12億円とか取る大物だ。一時期は女優で初めて10億を超えたとか言われていたが……高すぎてたれも使えなくなったか。

 変質的なドイツの殺し屋はルトガー・ハウアー。これもちょい役だが、あまりに変わっていてしっかり印象に残る。「ナイトホークス」ではテロリスト、「ブリレード・ランナー」では仕返しにやってくる人造人間、「ヒッチャー」で主人公を付け狙う殺し屋と、いずれも人殺しばかり。この人のはまり役か。

 セリフなしでほとんど動きもないカメオ出演は、ブラッド・ピットとマット・デイモン。デート・ゲームの出場者として登場する。

 この他にチャック・バリス本人と、彼に関係した人物が実名で登場し、いろいろ証言しているのも見所の一つ。

 それにしても、チャック・バリスは当時から下劣で批判されながらも、多くの今につながる番組を作っているのはスゴイ。いくらくだらないとはいえ、ゴールデンで全国ネットで流れる番組はそうそう作れるものではない。「デート・ゲーム」(日本で言うパンチdeデート)、シロート一発芸の「ゴング・ショー」、「結婚ゲーム」(日本で言う新婚さんいらっしゃい)と、どれも日本のテレビ番組に少なからず影響を与えたものばかり。天才と言っても過言ではないだろう。

 公開3日目の初回。平日だったので30分前くらいに着いたらまだ閉まっていた。15分前に出直したらちょうど開いたところで、それでも場内には15人ほどが。1/3ほどが大学生風男女で、1/3が営業中なのか中年のオジサンたち、残り1/3がオバサン。男女比は6対4で男性という感じ。

 5分前くらいから人が増えだして、夏休みということもあってか、意外に若い男女も来ていた。最終的にはロングラン大ヒット中の「踊る……」に予定劇場を取られて、より小さな劇場での公開となり、指定席なしの300席に45人ほどの入り。平日初回にしては好成績ではないだろうか。

 来年春公開予定と聞く「ロード・オブ・ザ・リング」の予告編がすでに始まったのには驚かされた。まだネタは何もなし。前作スチルがパタパタ出るだけ。でも限定のストラップ付き前売り券の発売も始まっているし、すごいもんです。ただ、画面左がピンボケになっていたのには閉口したけど(予告が終わったら直ってひと安心)。


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