ビスタ・サイズ/ドルビー
全国の高等専門学校が毎年アイディアと技術を競うロボットコンテスト(ロボコン)。その全国大会常連校の徳山高専には、エリートの集まる第1ロボット部と、落ちこぼれ3人からなる第2ロボット部があった。里美(長澤まさみ)は工作の課題をいい加減に作ったために、第2ロボット部行きを命じられる。第2ロボット部は1人のメンバーが時々しか来ないため、出場規定の1チーム3人を満たすことができなかったのだ。バラバラでやる気のない第2ロボット部は、それでも地方大会に出場すると予想通り1回戦で負けるが゛、アイディアを買われて審査員推薦で全国大会に出場できることになる。 |
う〜ん、ゆるゆるの作りなのだが、感動する。これは題材となっている「ロボコン」自体が感動的だということが大きく影響していると思う。そして定番のスポ根モノの要素をしっかり取り込んだ文系のお話。結局は定番は強いと、そういうことかも。 ライバル、挫折、特訓、友情、気づき、チームワーク、逆転……だいたい要素はすべて入っている。だから定番なのだが、それら自体は文系に置き換えられただけで、特にどうこうということはない。ただ、面白いのはロボットが良くできていることで、それぞれの試合がまた良く組み立てられている。本当のロボコンのようにアイディアに驚かされ、その動きに思わず感心してしまう。ということはやっぱり「ロボコン」がおもしろいということになるのかも。 いい雰囲気が出ているなあと思うのは、現代の高校生の無気力感(これも死語かも)。これがとてもリアルだ。主人公の女の子もそうだし、設計を手がける相田の冷めた感じもよく出ている。たぶんボクらの世代から言われていたことだと思う。それがやがてやりたいことが見つかり、熱くなっていくと。 やっぱり圧巻は競技シーンで、台の上に箱をのせて陣地取りをするところは、どうみても偶然で勝ったように見え、ドキキュメンタリー的でもあり、感動させてくれる。ってことは、やっぱり「ロボコン」自体がおもしろいってことじゃん。 一番感動したのは、操縦者の里美が操縦の練習をしていると、ロボコンのブラスバンドも近くで練習していて、演奏で彼女にエールを送るシーン。ただ、ハッキリと彼女にエールを送っているとはわからない点は今後の課題だろう。同様に、その曲が全国大会の競技中に流れるのだが、それもハッキリせず流れ気味なのが惜しい。うるっと来るところなので、本当に残念だ。 ただ、印象としては映画と言うよりTVドラマのような感じ。せっかく瀬戸内海で撮っているのに、やっぱり空が青く見えないのはなんでだろう。夏の話なのに。コントラストの低い浅い絵作り。別に重厚である必要はないけれど、どうにも印象が薄い。残念。 公開2日目の初回、25分前に着いたら銀座の劇場はチケット売り場に40〜50人の行列。前売り券を持っていても当日券との交換の必要があるからだ。いくら朝早い(8時半くらい)とはいえ、連日のこの暑さ。つらいなあと思っていたら、2〜3分したら3館共通の窓口が開いた。それで劇場前でまたちょっと待たされて、ようやく中へ。 驚くことにどの席でもスクリーンが見えにくいこの劇場でも指定席があって、後方寄りの16席×1列が白いカバー付き。 下は小学生くらいから上は老人まで30人ほどの入りだったが、中心は高校生から大学生くらい。ちょうどロボコンに出場する世代か。ややマニアっぽい方々が多かったような気も。最終的には192席に5割から5.5割ほどの入り。朝にしてはなかなか好調な出足のようだ。 |