日本語字幕:手書き書体下、戸田奈津子/シネスコ・サイズ(レンズ、in Panavision)/ドルビー・dts・SDDS
(米R指定)アメリカ軍の特殊部隊の一つ、レンジャー部隊の6名が森の奥深くでの実弾訓練中、救難信号が打ち上げられた。救難ヘリコプターが向かうと、負傷者を抱えた兵士が撃ち合いをしているところだった。1人は病院に運ばれ、もう1人は尋問されることになったが、何も語ろうとしない。担当捜査官は女性のジュリー・オズボーン大尉(コニー・ニールセン)だったため、基地の指令ビル・スタイルズ大佐(ティム・デイリー)は知人のもとレンジャー隊員でDEA(麻薬取締局)捜査官で汚職容疑で停職中のトム・ハーディ(ジョン・トラボルタ)に捜査協力を依頼する。 |
うわ、予想よりずっと面白い。この雰囲気がなんとも素晴らしい。アメリカ本土を離れたパナマの基地、ジャングル、降り続く雨、タイムリミットの6時間、汚職容疑の捜査官、美しい女性捜査官、謎の事件、完全黙秘を続ける容疑者、次々と変わる事件の真相、どんでん返し……。これが映画、これぞミステリー!! 雰囲気は「ソード・フィッシュ」や「アンダー・サスピション」に近い。あるいは黒澤明監督の傑作「羅生門」と言ってもいいかもしれない。 こういう映画を見るときは、製作者たちの裏をかいて真犯人を探り出そうなどとはせずに、素直に描かれていることだけをそのまま受け入れて、気持ちよくダマされた方が良い。ただ、難しいのは、インチキな手を使うとか、納得の手できない方法で解決させてしまう映画だ。そういう映画はそのまま受け入れてダマされると、とてつもなくいやな気分を味わうことになる。この映画はダマされて良いと思う。 新人の女性捜査官が主人公というのがうまい設定で、観客はすっかり彼女の立場になってしまって、物語が進行していく。誰もが怪しくて、誰もが潔白かもしれない。その女性捜査官を演じているのはコニー・ニールセンで、最近では「ハンテッド」で事件を追うFBI捜査官を演じている。「ストーカー」 では主人公のストーカーが憧れね家庭の主婦を演じていた。髪をばっさりと短くしているのでわかりにくいが。 もちろんちょっとカマっぽいジョン・トラボルタは良いし、サミュエル・L・ジャクソンも良い。精一杯がんばっている女性捜査官を演じたコニー・ニールセンもいい。それぞれのキャラクターがしっかりと立っていて、わかりやすいのだ。 ただし、たくさんの登場人物がいて、ほとんどは証言の中で出てくるので、日本人としてはとてもわかりにくい。名前が覚えられればもっと楽しめたに違いない。ダンパーで誰? パイクって? ケンドルは? ピートは、そうか歌手のハリー・コニック・Jrが演じていた医者か……。もう混乱しまくり。しかも名前をウソついているやつがいるとなると、もう、それこそ「藪の中」(「羅生門」の原作)というわけで。人の名前が覚えられないボクには過酷な映画だった。 公開2日目の初回、銀座の劇場は25分前に着いたら40〜50人の行列。ほとんどが中高年で、男女は半々くらいだがややオバサンが目立つ。たぶん若いカップルは1/4以下だろう。白髪も目立っていた。 暑い中、どうなるかと思っていたら20分ちょっと前に開場してくれた。ここもカップ・ホルダーと傘ホルダー付き。でも傘ホルダーは位置が低くて、みんなが脚を載せるものだから曲がっている。 最終的に指定席なしの360席に、8〜8.5割ほどの入りはりっぱ。やはりこういう映画は中高年向きか。この出来なら初回からこれだけ入っても不思議ではない。 ついに「マトリックス3」の予告が日本の劇場でも始まった。ティーザーなのだろう、内容はさっぱりわからないが、とにかくカッコいい。2よりはストーリーのある面白いものに仕上がっていることを願いたい。 冒頭、暗闇でマッチの火を点けるのは「スパイ大作戦」へのオマージュか? 確かに内容はそんな感じがする。さあ「8」とは何なんだ。というわけで、ぜひ劇場で堪能していただきたい。 |