日本語字幕:手書き書体下、松浦美奈/シネスコ・サイズ(レンズ、in Panavision)/ドルビー・dts・SDDS
(米PG-13指定)世界を股にかけて大活躍するララ・クロフト(アンジェリーナ・ジョリー)はイギリスの女王から仕事の依頼を受ける。それは実在したパンドラの箱を悪用しようとするものの手から守ること。そして張本人のジョナサン・ライス博士(シアラン・ハインズ)を追い、「パンドラの箱」が開けられるのを阻止しようとする。 |
これぞ「てんこ盛り」。とにかく冒険につぐ冒険で、まったく観客を飽きさせない。が、しかし、何かノレないものがある。冒頭のタイトル・シークエンス(デザインはヤン・デボン監督本人らしい)は格好良く、地震が起きて岩が海に落ちて海中でタイトルになるあたりから、ジェット・スキーで登場するあたりまではメチャクチャいい。なのにどんどんノレなくなってくる。 舞台はギリシャのサントリニ島から香港、そしてカザフスタン、中国の山奥から上海、ふたたび香港へ。さらに台湾を経て大団円はアフリカ、キリマンジャロ。まさに世界を股にかけている。でも、でもなのだ。女インディー・ジョーンズがピンチをくぐり抜けても感動がない。本来なら観客も一緒に息を付かなければならないところなのに、客観的に見てしまうのだ。これは脚本の問題なのか、演出の問題なのか。 ボクが感じたのは、リアリティのなさが原因なのではないかと思う。もともとファンタジーなんだし、ゲームが原作で、超絶アクションを見せてくれるSFという感じもあるから、リアリティなどと言い出すのは間違っているかもしれないが、あまりに酷いと無視できなくなってくる。たとえば7メートル・クラスのホオジロザメ(?)を、パンチ1発で撃退してしまって良いの? たとえ鼻先が急所で、本当に出来ることでも。 パンドラの箱を隠した超古代に、動画ホログラムのようなシステムがあって、隠した場所をへんてこな光る球体に記録していていいの? 最初はリアルに丁寧に積み上げ、徐々にエスカレートしていって、ラストの大団円でとんでもない技が繰り出されるというのは観客も比較的素直に(程度問題だが)受け入れられる。しかしのっけからパンチ1発でサメ退治ではついていけない。鼻先が急所だと知っている人間がどれだけいるだろう。しかも1回で逃げていって、もう襲ってこないとか、1匹しかいないというのも納得できない。これが最初だからなあ。後は推して知るべし。 絵は良くできている。美しい。キマっている。さすか撮影監督出身のヤン・デボン監督。絵作りは一級品だと。 アクションはジェット・スキー、バイク、車、ベース・ジャンプ、リペリング、射撃、カンフー……なんでもありで、アンジェリーナ・ジョリーは実際にいくつかを本当にやっているようだが、さすがにすべては無理。だんだん説得力がなくなってくる。ここにも問題があるのだろう。 ほかの女優さんに比べたらアンジェリーナ・ジョリーはよく自分でやっている方らしいし。普通の女優さんではアクションしながら演技をするのは難しいと言われている。アンジェリーナ・ジョリーをせめることはできないが、嘘くさく見えていると。 でも、サービス精神旺盛な映画であることは間違いない。観客を楽しませようと頑張っている。ただ、観客をなめているというか、空回りしているというか、お金を掛けるところを間違ったというか……。そんな感じ。 公開2日目の初回、新宿の劇場は朝9時からの回の40分ほど前で前売り券の列に9人、当日券の列に4人。オバサンが1人、20代の男性が1人、あとは中高年。あらら、若い男性が多いのかと思ったのに、意外。 25分前に開場し、この時点で40人ほど列に。20代は1/5ほどいただろうか。同様に女性も少なかった。12席×5列が指定だが、初回のみ全席自由。 最終的に1,044席に100〜120人ほどの入り。中高年が多く、中にはクリア・ファイルを買っているオジサンまで。まさか仕事で使わないよね。 |