2003年10月13日(月)「SSU」

BLUE ・2003・韓・1時間49分

日本語字幕:下、写植か手書きか途中書体が入れ替わった、根本理恵、監修:秋山信雄/ビスタ・サイズ/ドルビーデジタル



http://www.ssu-movie.com
(全国上映劇場リストもあり)
幼なじみの親友どおしで、ともに海軍に進み、さらに海難救助隊に入隊したキム・ジュン大尉(シン。ヒョンジュン)とイ・テヒョン大尉(キム・ヨンホ)は、ふたりとも同じ部隊の隊員でカン・スジン大尉に一目惚れしてしまう。いつしかテヒョン大尉とスジン大尉はつきあうようになるが、ひょんなことでジュン大尉の日記を読んでしまったテヒョン大尉は、ジュン大尉も彼女を好きだったことを知り、みずからスジン大尉とつきあうのをやめてしまう。やがてスジン大尉はイギリスで研修を受けることになり行ってまうが……。

70点

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 たぶん「SWAT」(S.W.A.T.・2003・米)がダメという人は本作もダメだと思う。SSUという海難救助部隊に何のリアリティーもないからだ。この映画を見ていると、軍隊は各種技術が習得できて、身体や精神を鍛えられ、しかも国のためになって、友情が芽生え、時には愛も芽生える楽しいところ……以外の何ものでもない。ダークな部分、辛い部分は言葉で言うだけで、これっぽっちも描かれていない。

 つまり、韓国は国民皆兵であり、一定の年齢になれば兵役があって、否応なく軍隊に入らなければならないからだろう。最近はこの兵役義務拒否者が増えてきているのだという。この映画を見て拒否者が増えては困るのだ。

 海軍の全面協力のもと作られたこの作品は、軍を否定的に描くことなどできるはずがなかったのだ。おそらく海軍の中でも選ばれた者しか入ることができないであろうSSUの訓練が、映画で描かれていたほど「楽」であるはずがない。つまり、わざわざSSUを舞台にしながら、SSUを描かずに人間ドラマや恋愛ドラマをメインに描かざるを得なかったのだ。これならSSUである必要はない。ラストの一件も「バーチカル・リミット」と同じではないか。山の話に置き換えても成立する。

 たとえばロバート・デ・ニーロとキューバ・グッティングJrの「ザ・ダイバー」(Men of Honor・2000・米)は、海難救助のエキスパートを描いていたわけだが、軍隊内にある人種問題にグッと迫っていたわけだ。そして、そこに人間ドラマが生まれたのだ。先にドラマがあったわけではない。軍の厳しさとリアルを描かずにこの種のドラマはあり得ない。そういうことだろう。

 話には単純に感動する。でもその場限り。心に深くは残らない。惜しい。

 公開3日目の2回目、新宿の劇場に25分前くらいに着いたら、ロビーには12人くらいの人が待っていた。その中で女性は20代らしき人が1人だけ。ほとんどは20〜30代の男性。

 15分前に入れ替えになったが、出てくる人を見ていたらどうも初回は中高年が目立つ。最終的には330席に35〜40人ほどの入り。女性は1割ほどだった。


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