2003年10月18日(土)「インファナル・アフェア」

無間道 ・2002・香・1時間42分

日本語字幕:手書き書体下、松浦美奈/シネスコ・サイズ/ドルビーデジタル

(香IIB指定)

http://www.infernal.jp

新興勢力のギャングのボス、サム(エリック・ツァン)の命令により新しく杯をもらった7人の若者が組織のスパイとなるべく、警察学校に送り込まれた。その1人ラウ(アンディ・ラウ)は無事学校を卒業、CIB(情報課)に勤務することになった。一方、同期のヤン(トニー・レオン)はその優秀な能力を認められ、ウォン警視(アンソニー・ウォン)直属の特別捜査官として犯罪組織に潜入することになった。10年後、ヤンはサムの組織に潜入し警察内部に内通者がいるらしいことに気づく。そしてラウもまた組織内に警察のスパイがいるらしいことに気づく。

74点

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 冒頭の杯を交わすシーンと、警察学校のシーンはかえって話をわかりにくくしている。ナレーションもしくは字幕で見せるだけでも十分なところ。続編ができるらしく、その伏線として警察学校が割と丹念に描かれているらしいが、これが混乱の元を作っている。なぜなら、ラウとヤンを演じている若者がまったくアンディ・ラウとトニー・レオンに似ていないからだ。どちらがどちらかわからない。しかも、全員が組織から警察学校に派遣されてきたかのように見える。

 そんなわけで、最初はわけがわからなかったが、見ている内にもっとシンプルな話だと気がついて様子がわかってきた。ようするにタイトル前の別人によるシーンがなければわかりやすいのだ。

 長い膨大な話の一部を切り取ったという感じ。途中ちょっとだけヤンが街ですれ違う女性とは、どうやら恋愛関係があったようで、しかし今は別れて彼女には夫がいて子供までいるらしいこと、しかし実際には子供は別れた頃にできたたらしいことまでチラッと描かれている。たぶん続編でそれが描かれるのだろう。そのため、ちょっと焦点がぼけてしまったのかもしれない。

 もちろん感動の物語ではある。潜入捜査官は善と悪の境が曖昧になり、精神に失調を来たし精神科医の元に通っている。その精神科医を友情出演のケリー・チャンが演じていて、それはきれいで見とれてしまうほどなのだが。とにかく主人公は自分を見失いそうになっている。これはジョニー・デップとアル・パチーノが共演したマイク・ニューエル監督の「フェイク」(Donnie Brasco・1997・米)と同じだ。

 一方、警官を演じているギャング・メンバーも、警官を演じ続けることで善の心が芽生えている。が、こちらの人物描写はそれが少なめになっている。おそらく、それはアンディ・ラウが本作でプロデューサーとしても関わっているからだろう。相手役のトニー・レオンに花を持たせたのだろう。たとえば、以前は気にならなかったのに、タバコを投げ捨てる男を注意したりという小さなエピソードが描かれていると、もっとわかりやすかったかもしれない。

 とにかく身分がバレそうでハラハラどきどき。ついにはお互いの組織でスパイ狩りが始まってしまう。この辺がまた面白い。

 公開8日目の初回、銀座の劇場は30分前で15〜16人の列。6割が30代以上の女性。20代もいたがごくわずか。全体に中高年が多く、白髪が目立っていた。

 25分前に開場し、中へ。初回からストローとか落ちているのにはガッカリしたが、スクリーンが大きめでどの席からも見やすいのでお勧めの劇場。基本的に指定席はない。

 最終的に360席に3.5〜4割の入り。ちょっと少ない気がするが、あまり宣伝活動を行わなかったのだろうか。まあ観客の立場からは、ゆったりと見られるから、これくらいの方が良いけど。


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