2003年10月26日(日)「キル・ビル」

KILL BILL Vol.1・2003・米・1時間51分

日本語字幕:手書き書体下、石田泰子/シネスコ・サイズ(レンズ、in Panavision)/ドルビーデジタル・dts・SDDS

(米R指定、日本R-15指定)

http://www.killbill.jp
(全国上映劇場リストもあるが、操作方法がわかりにくく基本情報が不明)
4年半前、組織のメンバーだったコード・ネーム「プラック・マンバ」(ユマ・サーマン)は仲間のビルの指令によって、結婚式当日、教会で出席者共々射殺されてしまう。頭部にも銃弾を受けたマンバは、病院に入院させられるが、植物状態になってしまった。それが6か月前、突如意識が戻ったプラック・マンバは、自分を殺すのに加わった5人をリストアップし、復讐に立ちあがる。

77点

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 かつてクエンティン・タランティーノ監督がよく見ていたというマカロニ・ウェスタン、中国のカンフー映画、日本のヤクザ映画などをごちゃ混ぜにして作り上げた、スプラッター・アクション・ムービー。まず監督が自分が見たいものを目指したというだけあって、とにかくマニアックで過激で、エンターテインメントに徹している。ただからこそ、見るものに主人公の悔しさや意志の強さ、悲しみがよく伝わってくる。せたにセリフで説明されるより、こまかな行動の積み重ねで表現された方がよくわかる。

 開巻早々、深作欣二監督に捧げると献辞が出て驚いた。タランティーノ監督は深作監督のファンだったらしい。それで深作監督作品の出演が多い千葉真一や、「バトル・ロワイヤル」にも出ていた「死国」の栗山千明が出ているということらしい。栗山は「スケ番刑事」風でヨーヨーみたいな分銅を振り回して、これまた素晴らしい。新境地開拓か。
 そして、SBマーク。タランティーノが敬愛する香港のショー・ブラザーズっぽいタイトルが付いている。あまりにリアルで、ボクは最初、フィルムのかけ間違いかと思った、

 すべてがそんな風で、とにかくマニアックに、映画オタク的にまとめられている。知らなくても楽しめるが、知っているとより楽しい。また、どんなことをしても絶対に復讐を果たすという気持ちが伝わってきて、のめり込んでしまう。おもしろい。これぞ映画。

 あふれんばかりの暴力と血しぶき。これで暗くならないところがこの脚本の素晴らしいところ。主人公の名前を言っている所では字幕に×××が入って、なぜか音声も「ピー」。こんな笑わせが何カ所か入っていて、大受けしていた。暴力と笑いのミスマット。これもいい。

 驚いたことに、ユマ・サーマンとルーシー・リューは日本語のセリフを頑張っているだけではなくて、チャンバラがうまい。特訓を積んだとはいえ、よくここまで巧くなるもんなんだなあと。殺陣師は「マトリックス」のユエン・ウーピン。日本人ではないのが残念だが、すばらしい。ちゃんと斬り方がさまになっているし、日本のチャンバラの枠を守りつつ、新しい壮絶な戦いを見せてくれる。これだけでも一見の価値がある。もちろん、冒頭のキッチンでの包丁とフライパンのフェンシングも面白いけれど。

 地味だがいいのは、ダリル・ハンナ。最近パッとしないが、ここでは白いアイ・パッチをつけて、「ツイン・ピークス」の変質的なオバサンみたいでグッド。特に白いプレーンなコートに、トレンチコートのようなポケットとかが手描きされているというヘンな衣装がその無表情にぴったりで、すばらしい。

 公開2日目の初回、60分前に着いたらすでに8人ほどの人が。オヤジは2人だけで、ほとんどは20代。女性は3人。50分前から増えだして、45分前に開場した時は30人ほどに。

 指定席が初回からあって、それはぴあ席9席。それ以外は全席自由。なんだか若いカップルが多い。

 結局、400席ほぼ満席(久しぶり!)となった。もちろんぴあ席も久々にすべて埋まった。中高年は2割ほど。「ラスト・サムライ」「ロード・オブ・ザ・リング」「マトリックス」といった話題の作品の予告編が流れ、なんだか得した気分。


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