日本語字幕:手書き書体下、森泉佳世子/シネスコ・サイズ(レンズ、in Panavision)/ドルビーデジタル・dts・SDDS
(米R指定)激しい嵐の夜、田舎の小さなモーテルに、次々と奇妙な人々が集まってくる。電話は不通、携帯も通じない、道路は分断されている。そして密室状態となったモーテルの宿泊客が1人ずつ惨殺されていく。女優の運転手を務めているエド(ジョン・キューザック)は元刑事だったことを生かし、真相に究明に乗り出すが……。 |
集まった10人の人間。この人間模様がまず面白い。キャラクターがしっかりしているので、わかりやすい。怪しげな登場人物ばかりで、そこに来るようになったきっかけが、お互いの行動が巧妙に重なっていたりして、ミステリーの基本をしっかり押さえている。 胡散臭い管理人ラリー。娼婦のパリス(「隣のヒットマン」のアマンダ・ピート)。家族3人で旅行中に事故に遭う気の弱そうなジョージ、しょっちゅうケンカしているカップルのルーとジニー(「パラサイト」のクレア・デュバル)、落ち目の女優とその運転手エド(「セレンディピティ」のジョン・キューザック)、殺人犯ロバート(「さまよう魂たち」のジェイク・ビュシー)と彼を護送中の刑事ロード(「ナーク」のレイ・リオッタ)という面々。管理人+客10人。いずれも何処かで見たことのある顔ばかりだ。たぶんキャスティングに一番お金がかかり、また一番気を使っているのだろう。キャラが立つかどうかで、このドラマの成否が決まると言っても過言ではないのだから。 特に冒頭はよく注意してみていた方がいい。変態オヤジから金を盗んだらしい娼婦が、車で逃走中にハイヒールを落とすと、それを踏んでタイヤがパンクした1台の車が止まる。と、その車に、雇い主の女優からあれこれ指示されて前方不注意となった運転手が運転する車が突っ込み……。 10人すべてが何らかの関係を持って、まさしく今というタイミングで、たった1カ所のモーテルに何者かの意志によって集められたように集まってくるのだ。そして事件が起き、一人ずつ惨殺されていく。密室状態となったモーテルだから、犯人はこの10人の中にいるとしか考えられない。あるいは、思わせぶりに時々映される先住民の墓地が関係しているのか。つまり、途中まで殺人事件の謎を追うミステリーなのか、オカルトチックなホラーなのか、わからないのだ。 冒頭、ラストシーンはこれから見る人のために話さないでくださいと出る。そして画面が暗転し、雷鳴が轟く。そしてソニーの映画らしく、ソニーのテープレコーダーのどアップから始まる。 この結末で納得できるか、という人もいるようだが、ボクは納得できたし、これでいいと思う。ありふれた結末より、ずっといい。いや、むしろ、すばらしい。 一文字だけが残ってからゆっくりと消えていくカッコよくて意味深なクレジットの出し方は、予想どおりイマジナリー・フォースのデザイン。しかもカイル・クーパーの仕事だ。ここにも気を使っているし、お金もかけているということだ。 公開2日目の2回目、上映直前、予告編上映中に到着。新宿の406席の劇場は6割ほどの入り。ほとんどは中高年で、男女比はほぼ半々といったところ。やはりこういう作品は大人向きと言うことか。でも若い人が見ても絶対に面白いと思うのだが。 |