2003年11月1日(土)「ジャスト・マリッジ」

JUST MARRED・2003・米/独・1時間35分

日本語字幕:手書き書体下、古田由紀子/ビスタ・サイズ(with Panavision)/ドルビー・dts

(米PG-13指定)

http://www.foxjapan.com
(音に注意)
地元のラジオ局で交通情報を担当するトム(アシュトン・カッチャー)は、浜辺でラグビーの真似事をして遊んでいて、大金持ちのご令嬢サラ(ブリタニー・マーフィー)の頭にボールを当ててしまったことから、つきあい始めることに。意気投合した二人は数ヶ月で結婚、ヨーロッパへ新婚旅行に出かけるが、思わぬハプニングの連続で大げんかをしてしまう。

55点

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 いやあ、何のために作った映画なのか、さっぱりわからなかった。ただ、今ちょっとキッチュなアシュトン・カッチャー(って、誰?)をスクリーンに登場させるため? それとも、ちょっと旬なブリタニー・マーフィーをフィーチャーするため? 2人が組むだけで客を呼べると思った? ブブー、はずれです。正直な感想を書けば、この作品がビデオ・レンタル・ショップの棚に3泊4日350円で出ていたとしても、借りないだろうなと、そういう映画。

 バカな若者が、若気の至りでよく相手を知りもしないで結婚し、アメリカ根性まるだしでヨーロッパ旅行へ行って、大ひんしゅくを買いました……だから、どうしたんだろう。

 しかもラブ・コメにしたかったようだが、ギャグのほとんどに腹が立つし、下品さ炸裂。作った人の品性を疑いたくなる。宣伝ではアメリカで大ヒットし、「ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔」を首位の座から引きずり落とした、とあったが、それは「ロード……」の息切れと、アシュトン・カッチャーとブリタニー・マーフィーをフィーチャーしたらもっとましなものができると、多くの人が期待してしまったからではないのだろうか。その証拠に、IMDbの評価が3,030人もの人が投票していながらたった5.1点しか取れていないことでわかる。

 しかもこのタイトルは何だ? ジャスト・マリッジ? ただの結婚と言うこと? 普通ジャスト・マリード(結婚したて)でしょ。マリッジ・ブルーとか言うから? この方が日本人にはわかりやすいという判断なのか。うーむ。

 たぶん多くのアメリカの若者は、彼ら2人のように、ヨーロッパや東南アジアとか、日本とかへ旅行してこんなに厚顔無恥で、傍若無人な行動を取って、迷惑を掛け回っているのでしょう。この映画自体がそんな感じ。マイケル・ムーアの「アホでアヌケなアメリカ白人」読んだ?

 監督はTVの人でショーン・レヴィ、前作の劇場作品「ビッグ・ライヤー」(Big Fat Lair・2002・米)など日本では劇場公開されず、ビデオ発売となってしまったほどだ。しまった、先に調べておくんだった。うかつだった。ボクもアシュトン・カッチャーとブリタニー・マーフィーをフィーチャーしたらもっとましなものができると思ってしまった。名門イェール大学を出てるんだけど……くう……。

 ひどい脚本はサム・ハーパー。「がんばれ!ルーキー」(Rookie of the Year・1993・米)を書いた人だが、その後、本作まで10年間何も映画化されていない。「がんばれ……」は幸か不幸か見ていないのだが、IMDbで5.2だからなあ……。

 一番のA級戦犯はプロデューサー、ロバート・シモンズだろう。この人もイェール大学出身で、コメディが持ち味らしく、過去に最悪だった「プロブレム・チャイルド/噂の問題児」(Problem Child・1990・米)3.9点、日本で大コケの「ウォーターボーイ」(The Waterboy・1998・米)5.4点、「ビッグ・ダディ」(Big Daddy・1999・米)5.9点、「リトル・ニッキー」(Little Nicky・2000・米)4.9点と、日本では全く受けないアダム・サンドラー作品を中心に、ある意味すごい作品がズラリと並ぶ。なぜこれでハリウッドでやっていけるのだろう。いや、こういう人が映画を作れるところこそがハリウッドなのだろう。

 公開初日の初回。30分前についたら、すでに開場していて、183席に35人くらいの入り。予想していたより多い。あれれ。7対3で女性が多く、年齢層では20代後半から30代くらいだろうか。下は20歳前後から。しかも意外とオヤジというか男性が多い。カップルも結構目立つ。これなら恥ずかしくない。

 初回のみ全席自由で、それ以降は全席指定というシステム。前後の座席館が広めの劇場なのに、後ろのバカ若者がカップルでいちゃついていて、寝るようなスタイルで見ているものだから、足を組み替えるたびに背もたれに足があたり不快でしようがなかった。注意しようか思ったが、日本語が通じそうもないのでやめた。まったく……。

 最終的に男女比は3.5対6.5で女性が多く、183席の4〜4.5割ほどが埋まったに過ぎなかった。さては気づいた人も多かったのか。それとも、みんな東京国際映画祭へ行ってしまったのか。でも一般劇場は映画の日だったから、当日券1,000円均一でお得だったのに。そうか、それで新作の公開がほとんどないんだ。東京国際映画祭のせいじゃなかったんだ、きっと。

 「フォーン・ブース」の予告編で、劇場窓口で前売り券を買うと受話器型のケータイ・クリーナーをプレゼント、と出たら、後ろのバカ若者が一言「いらねえ」。うん。これだけは同感。

 また例によってイベントもないのに関係者が大挙来場。1人か2人で充分でしょう。たとえ初日プレゼントでアシュトン・カッチャーのポスト・カードを配ったとしても。ゆっくり映画を楽しみたいのに、気分ぶちこわし。まっ、笑えないコメディだけど。

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