ビスタ・サイズ(HDCAM F900=デジタルビデオ)/ドルビーデジタル
心臓をえぐり取られた女性の死体が次々と発見される、連続猟奇殺人事件が発生する。そして数日後、神崎刑事(谷原章介)の結婚式会場で、花嫁の美奈(釈由美子)が同様の手口で惨殺された。神崎は血眼になって犯人の発見し復讐しようとする。そこへ容疑者としてジェネテック社の若き社長工藤(大沢たかお)が浮かび上がってくる。 |
うーん、予算不足と時間不足が露出してしまったような雑な印象。あえて劇場で見る価値があるのかははなはだ疑問だ。かつて放送されていたというテレビを見ていないし、原作も読んでいないのだが、設定はおもしろいのになぜ話がおもしろくならないのだろう。 矛盾する箇所が多すぎて、しかも後で気づくというのではなく、見ているうちから気になってしようがない。おもわずツッコミを入れたくなってしまった。 映像を見ていると、リアルに描くつもりはないようだが、果たしてこの種の作品でリアルに描かなかったらコメディにしかならないと思うけど……。だって、霊というかあの世の存在が、おぼろではなく明らかにそこにいるのに(影もハッキリ落ちているのに)誰も気づかない設定。舞台劇ならいいけれど、映画でどうなのか。 しかも、怖くはないがたぶん少しはホラーであるはずなので、観客を少しは怖がらせなければならないのに、リアルではないからちっとも怖くない。まあ、最後まで見たら怖がらせる気もないようだったが。つまりはチャンバラが撮りたかっただけということなのだろうか。 釈由美子は「修羅雪姫」(2001)での殺陣はバツグンに良かったが、ここではありきたり。スピード感も足りず、腰も決まっていない。やはり殺陣師(あのドニー・イェン!!)が違い、監督が違うと、こうも違うかという見本のようなもの。同じ素材でも全く仕上がりが違う、お料理のようなものか。やたら決めポーズばかりを入れ、踊っているようにしか見えない。もちろんリアルを狙ったのではないにしても、釈由美子は「修羅雪姫」のアクションができたのだから、本作はイタイ。 「お往きなさい」というより「逝ってよし」という感じだろうか。 公開初日の2回め、上映館の中では大きな銀座の劇場で見たかったが、初日舞台あいさつがあるといううのでパス。新宿の劇場は洋画系アカテデミーでの初日。これはラッキー、70mm館なので音も良く、なにより座席がスタジアム形式で見やすい。どうやら来週あたりから変わるらしいが。 15分前に着いたら、ロビーには7〜8人の人。まもなく入れ替えとなって中へ入ると、ガラガラの印象。最終的には指定席なしの420席に35人くらい。若い人中心で、高校生くらいから。オヤジは10人くらいで、女性は5人くらい。やっぱり人気コミックが原作なだけに高校生が多いのかも。オヤジは深夜番組を見た組か。まあ、この出来ではこの入りでもしようがないか、という感じ。 |