2003年11月15日(土)「シャンハイ・ナイト」

2003・SHANGHAI KNIGHTS・米/英/チェコ・1時間54分

日本語字幕:手書き書体下、菊地浩司/シネスコ・サイズ(レンズ、in Panavision)/ドルビーデジタル・dts・SDDS

(米PG-13指定)

http://www.movies.co.jp/shanghaiknight/index.html
(音に注意)
1887年、紫禁城から皇帝の龍玉が盗み出され、それを守る老人が殺された。そのころ西部でシェリフをつとめるチョン・ウェイン(ジャッキー・チェン)のもとに上海から小箱が届いた。妹からの手紙には龍玉を守り父が殺され、龍玉がイギリスに持ち去られたとあった。チェンは後輩にシェリフを任せると、イギリスへ渡る資金を手にするため、ニューヨークのロイ・オバノン(オーウェン・ウィルソン)のもとを訪ね、かつて預けた金を返してくれるように頼むが……。

69点

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 うーん、ジャーキーは出ているが、「タキシード」とたいしてかわらない出来。美女がいないのと、すごいスタントがない分、こちらの方が見劣りする。いくらファンタジーだとしても、このメチャクチャさ加減はちょっと酷いのでは。たぶん話がうまくできていて、テンポよく転がっていけば(つまり観客が気持ちよくだまされれば)、多少のでたらめさなんて気にならないはず。ところが、観客は乗らないまま、物語はもたついて動き出す。微妙な差なんだろうが、のれなかった。

 目玉となっているラストのビッグ・ベンからのビッグ・ダイブも、「007/トゥモロー・ネバー・ダイ」(Tomorrow Never Dies・英/米・1997)でもうとっくにやってるしなあ。「ラッシュアワー」(Rush Hour・1998・米)じゃ、それよりも過激なことしているし。過激だったらいいってもんじゃないけど、同じことの繰り返しはいけないよなあ。それをメインにしちゃ。

 見ていて寂しいのは、ジャッキー・チェンがいくらハリウッド・デビューしたといっても、結局はアメリカ人(白人だったり、黒人だったりするものの)の相棒しかないということ。結局はメインはアメリカ人なのだ。いくら相手がジャッキーのことを誉めようとも、相棒には変わりない。これが寂しい。あくまでも人のいい中国人という印象。

 一方、おなじ中国人でもジェット・リーはその感じが薄い。もちろんアメリカ人と協力する形にはなるのだが、リードはジェット・リーがしていくと。うーん、やっぱりキャラの違いなんだろうか。

 意外だったのはドニー・イェンの出演。この人はかなりハリウッドで注目されているらしい。監督が出来るし、格闘の振り付けが出来るし、もちろん演技が出来るし(ジャッキーもそうだが)、映画のことをよくわかっているので、使いやすいのかもしれない。今回はちゃんと長めの英語の台詞まである。クールな二枚目でもあるし。

 襲撃用の銃としてガトリング・ガンもどきが登場する。正体は機関部ブローニング(M1919?)、銃身部、連結バレルのガトリング・ガン風。実際のガトリング・ガンは貴重品であることと、役者が片手で一定のリズムでクランクを回しながら、銃を左から右へと払いつつ、しかも演技しながら銃を安定して標的に向けるというのは、はっきり言って難しい。反動利用式の全自動ブローニングなら引き金を引くだけ。あとから曳光弾(トレーサー)の光跡をCG合成するのも、動きがスムースな分やりやすい。そういう理由からだろう。

 ジョン・ウェイン、アーサー・コナン・ドイル、シャーロック・ホームズ、チャーリー・チャップリンといった有名人を散りばめて、思いっきりのファンタジーに仕上げたと、そういうことだろう。ただ、どうにもそのファンタジーにノリにくいのが最大の問題点だろう。

 本編終了後、ジャーキー映画お約束のNG集があるので、あまり早く席を立ってしまわないように。アクション・シーンではやはりかなり体を張って撮影している。興味深いのは、ジャッキーはNGを出しても明るく陽気で、演じるキャラクターのままと言うこと。それに対して、意外なことにドニー・イェンはクール。ジャッキーがデッキから船室へ落ちても、スタッフに落ち着くように手で合図するなど、ホント落ち着いている。

 たしか「ラッシュ・アワー2」のNG集で、相手役のクリス・タッカーに本番中、携帯電話がかかってきて笑っていたが、本作ではジャッキーに本番中に携帯がかかってくる。これも見物。どうも本番中だと説明しても相手が信じてくれないようなのだ。

 公開初日の初回、新宿の劇場は30分前に到着したら、50人ほどの行列ができていた。20〜30代が中心で、女性は1/3ほど。オヤジは1/4か1/5くらいと少ない。

 25分前に外のドアが開けられ、地下へ。20分前にようやく開場となったが、この時点で列はかなりの長さ。11席×3列あった指定席も初回のみ全席自由で、だいたい入場が一段落したところでアナウンスがあって、初回終了後、K-1のボブ・サップが新技「シャンハイ・アタック」を披露するという。そうか、それで混んでいたのか。

 それにしても、この劇場、非常口ランプを新しくしたのだが、小さくなっただけで上映中消灯しない。新しい劇場はほとんど消灯タイプだというのに。新しい分かえって明るくて、じゃまになってしようがなかった。席が近いと本が読めるくらい明るい。っていうか、まぶしい。早急に直してほしい。

 最終的には763席の6.5割ほどが埋まった。これははたしてジャッキー人気なのか、ボブ・サップ人気なのか。気になって、上映終了後、トイレに行ったりしてちょっと時間を潰してから場内をのぞいたら、2回目の観客は3割いただろうか。つまり、これはボブ・サップ人気っていうこと? うーん……。

 ボクとしては生ボブ・サップが見られたことは嬉しかったが、このイベントは意味あったんだろうか。お客さんが集まるのは初回のみだし……まあマスコミの取材が入っていたので、露出量はそれなりに上がるだろうけど。

 でも「みなさんご一緒にかけ声をお願いします」「1、2、3、シャンハーイ、アタック!!」なんて恥ずかしくて言えるか!!


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