2003年11月29日(土)「バッドボーイズ2バッド」

BAD BOYS II・2003・米・2時間26分

日本語字幕:手書き書体下、菊地浩司/シネスコ・サイズ(マスク、Super 35)/ドルビーデジタル・dts・SDDS

(米R指定、日本PG-12指定)

http://www.bb2bad.jp/
(全国劇場案内もあり)
マイアミ市警のマーカス(マーティン・ローレンス)とマイク(ウィル・スミス)は合成麻薬エクスタシー取引の情報を得て現場を取り押さえるが、わずかの麻薬しか発見できなかった。マーカスの妹シド(ガブリエル・ユニオン)はDEA(連邦麻薬捜査局)のエイジェントで、ひそかにマイクとつきあっていたが、同じ麻薬組織を追っていた。DEAはシドを潜入捜査に投入し、一方マイアミ市警の2人は別のルートでその組織に迫っていた。

70点

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 うーん、派手でヒップでポップで、MTV感覚で……なんなんだろう。ジェットコースター・ムービーで、観客に息をもつかせぬほどのアップ・テンボで、どわーと見せてしまう。すごい物量。B52で絨毯爆撃する感じ。2時間半ほども時間がありながら、2時間弱ほどにしか感じさせない。有無をも言わせぬ力技だ。これがマイケル・ベイ監督の真骨頂なのだろう。

 しかし、2時間半も時間がありながら「パール・ハーバー」や「アルマゲドン」同様、ほとんど心に残らない。絵はキレイでカッコイイけれど、内容がない。「ブルドッグ」と同じく麻薬をテーマにしていながら、好対照をなす。あちらはB級作品だけれど。

 ほとんど全編、カメラが止まることはない。パンかティルトかトラッキングか、ズーミングかクレーンか、とにかくじっとしていない。ある時は女性の股間を通ってスカートの中を見上げ、またある時は「パニック・ルーム」のように(つまりはヒッチコックのように)換気口をくぐり抜け、窓を突き抜ける。カー・チェイスも一体どうやって撮ったのか疑問に思うほどすごい(当然CGなんでしょう)。それで意識したのかどうか、ヒッチコックのように監督本人もスクリーンに登場。あのボロ車に乗っていた男って、マイケル・ベイだよね。

 たぶんマイケル・ベイ監督が撮った部分はすべて動いていて、第2班が撮ったものがかろうじて止まっているのだろう。疲れてしようがないし、ここぞというときカメラが動く効果が出ない。落ち着きがない子を見ているようだなあと。

 それにしても、かっこはいいが現実感なさ過ぎ。いくら映画はファンタジーだと言っても、現実をベースにして刑事と麻薬の戦いを描いているのだから、説得力を出すにはリアルさ、現実感が必要だろう。それなのに、大金持ちのように優雅に暮らしている刑事って……。生活感全くなし。血が通っていないみたい。「NARCナーク」の所帯じみた感じの対極にある。

 銃は定番のSIG P228とかMP5Sサブ・マシンガン、M4カービン、S&Wのリボルバー、グロック(スライド・シルバー)、AKショート、H&K G36といったありふれたものに混じって、シュタイアTMPサブ・マシンガンというスクリーンでは珍しい銃も登場する。

 ラスト、犯人が逃走し舞台がキューバに移ると軍が出張ってきて、12.7mmのデグチャレフDShK38/46重機関銃とか、おなじみRPGなんかも登場する。でも、こんなエンディングでいいの。ゆるゆる過ぎない?

 マーティン・ローレンスの妹役をやった美人黒人女優は、ジェット・リー主演の「ブラック・ダイヤモンド」にも出ていたガブリエル・ユニオンという人。若くてとても30歳には見えないし、単純にキレイだなあと。

 公開初日の初回、新宿の大劇場には40分前で前売りに3人、当日に10人ほど。ほとんどオヤジで、20代はわずかに3〜4人、女性に至ってはたった2人。

 20分前に開場し、この時点で両方の列に30人くらいずつ。若者が少し増えて1/4ほどに。初回のみ全席自由で、12席×5列の白いカバーが掛かった席もOK。初日プレゼントがあって、ポスト・カードだった。

 それにしても100〜120人くらいの入り。大劇場なのでとってもぱらぱらに見えてしまう。みな「パール……」腹を立てているのかも。酷かったからなあ。

 暴力もたくさん描かれ、グロテスクなシーンもたくさんあるけれど、日本の場合PG-12指定になったのは暴力表現というよりは、エロだろう。確かにそれくらいえげつない。かっこよく撮ってはいるのだけど。

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