日本語字幕:手書き書体下、風間陵平/シネスコ・サイズ(マスク、ARRI)/ドルビーデジタル・dts・SDDS
(米R指定)
太古の昔からずっと戦い続けている闇の一族、吸血鬼のヴァンパイア族と狼男のライカン族だったが、6世紀頃ライカンのボス、ルシアン(マイケル・シーン)を殺したことでヴァンパイア族が優勢で現代にいたり、ライカン族は絶滅の危機にあった。ヴァンパイア族の戦士であるデス・ディーラーのセレーン(ケイト・ベッキンセール)も、敵がいなくなり存在意義を失おうとしていた。ところが、ライカン族は最近数を増やしており、必死である人間を追っていた。セレーンはその謎を追ううち、巨大な陰謀に気づく。 |
一言で言えば、ダークなアメコミをそのまま映画化した感じ。実際には原作の漫画はないようなのだけれど。もっと言うと、これは「ブレイド2」そのまんま。構成から謎から非常に似ている。あちらはヴァンパイア族vs死神族(リーパーズ)だったわけだが、咬まれるとウィルスから感染して吸血鬼や狼男になるなど、手本にしていないとはいえないだろう。これにちょっと「マトリックス」の銃撃戦を取り入れたか。 しかし、映画は映像スタイル(世界観)なのだというのをこの映画は教えてくれる。内容は同じでも、この美術セット、衣装、音楽、撮り方、編集……などがいい雰囲気だと、ちゃんと1つの楽しめる作品として立派に成立してしまう。 ストーリーも手がけた監督はアメリカ生まれのレン・ワイズマンという人で、これまで「スターゲート」や「インデペンデンス・デイ」などで小道具などを担当していた人。いきなり監督デビューというのもすごいけれど、ちゃんと楽しめて世界観を持った一つの作品にまとめる手腕は大器を予感させる。問題は第2作目を撮った後だろう。はたしてどう評価されるか。ちなみに2003年、主演のケイト・ベッキンセールと婚約している。あらら。 現代のヴァンパイアは銃で武装しており、説得力を持たせるために、弾丸が狼男用には硝酸銀が使われる。もっとも狼男の方は昔から銀の銃弾と決まっていたわけだが。吸血鬼用にはニンニクエキス入りの弾丸かと思ったら、紫外線弾だと。なるほど。でもこの辺も「ブレイド」からのいただきでしょ。しかもワルサーP99にしろUSPにしろ、カスタマイズされていてフルオート射撃が可能なのだ。これも「ブレイド」だなあ。デジタルで派手に消滅しない分、損はしているかもしれないけど。 やはり狼男映画といえば、必ず話題になるのは変身シーン。昔のユニバーサル映画などではコマ撮りだったりしたが、「ウルフェン」や「狼男アメリカン」では特殊メイクで1カットで見せようとがんばっていた。それが「ファングルフ/月と心臓」ではついにデジタルを取り入れた。そして今回は特殊メイクとデジタルでよりリアルに、しかもワンカットで描こうと努力されている。これがなかなかいい。どうも変身後はフルデジタルのようで、動きに重さがない感じがするものの、デザインはいい。っていうか、他の狼男もののイメージを踏襲していて逸脱していない。 銃器としてはH&K G36、M4カービン、など最新の人気銃が目白押し。ま、最近出過ぎという感じもするが、実際、最前線で使われているのだからしようがないか。 現代のヴァンパイア族のボスの名がクレイヴンなのは、まさかあの「ショッカー」や「壁の中に誰かいる」、「スクリーム」の名ホラー監督、ウェス・クレイヴンからとったんじゃない、よなあ……。 公開2日目の初回、銀座の劇場は40分前で10人ほどの行列。オバサン2人、若い男性3人、あとはすべてオヤジ。30分前に開場し、その後やや若いカップルも増えたものの、やはりオヤジ中心。 シートからして違う6席×4列のプレミアム・シートは結局埋まらず、最終的に612席に2〜2.5割の入りはさみしい。もっと入ってもいい映画だと思うけど。 |