日本語字幕:丸ゴシック体下、稲田嵯裕里/シネスコ・サイズ(with Panavision)/ドルビーデジタル・dts・SDDS
(米PG-13指定)
昔、子供好きの女性がいて、乳歯が抜けると金貨と交換してくれたので、近郊の人々は歯の妖精と呼んでいた。ところがあるとき灯台近くの彼女の家が火事になり、彼女は大やけどを負い日光に敏感になり出歩ことができなくなってしまった、。さらに顔もやけどでただれてしまったので、陶製のマスクを作りいつもかぶることになってしまった。人々はいつしか彼女を恐れるようになり、正反対の噂が流れるようになった。そして二人の少年が行方不明になったとき、人々は彼女のしわざと信じ込みリンチの末、殺してしまった。ところが少年二人は翌日無事に発見された。彼女はいまわの際に町を呪ってやる言い残した……。 |
なかなか怖い。話の設定はいかにもありそうだし、暗やみが迫ってくる恐ろしさがよく描かれている。ただ、演出やアイディアなどで怖がらせるより、まず音で怖がらそうとするのはいかがせなものか。何度も書いているが、音で怖がらすのはまったく意味が違う。観客は恐怖を感じているのではなく、単に驚いているだけなのだ。しかも、驚く対象はなんでもいい。ということは何もこの映画でなくてもいいわけで、この手を使ってはいかんと思うなあ。IMDbで4.5は低すぎると思うけれど、そういうことなんかが影響しているのかも。 しかも、突然、猫が飛び込んできたりするし。おいおい、一体どこにいたんだ。こんなの脅かすためだけのインチキじゃないか。次には鳥がいきなり飛び立つかと思ったら、そこまではやらなかった。ホラーでいきなり鳥が飛び立つのも多いんだけどね。 そうはいいながらも、そこをちゃんと工夫して正攻法で攻めていたら、これはすごい映画になっていたかもしれない。そう思わせる何かは確かにあった。いろいろ甘いところなど突っ込むカ所はたくさんあったのだけれど。「怨」で「うらみ」と読ませるとか。 監督はジョナサン・リーベスマン。南アフリカの人でなんと27歳の若さ。それまで作っていた短編が評価され、本作で劇場長編を初めて手がけることになったらしい。プロデューサーがやらせたのかもしれないが、音で脅かすようなことさえやらなければもっと評価が高かっただろうに……。 原作を書いたのはジョー・ハリスという人で、この人もまた学生の時に作った短編が評価されて本作に至っているらしい。本作は5分の短編「Tooth Fairly」がもとになっているそうだ。ただ脚色の一人に面白かった「閉ざされた森」のジェームズ・ヴァンダービルドが加わっているので、そんなストーリーの面白さを感じられる部分が確かにある。 当のマスクという設定は怖いが、肝心の陶のマスクが今風のデザインで、しかもプラスチックにしか見えないから、仮面舞踏会のマスクのようで怖くない。もう少し工夫してくれていたら……。 配役にはほとんど有名な人はいない。それだったらリアルな本当にいそうな人ばかりにすればいいところ、ちょっと色気を出すから中途半端になってしまって、B級のにおいがプンプンしてしまうのは残念。 エンド・クレジットの見せ方が凝っていて、かっこいいなあと思っていたら、案の定、イマジナリー・フォースの仕事。カイル・クーパーがデザインしたらしい。光の線をうまく使って、文字が出てくる感じが素晴らしい。 公開8日目の2回め、30分前ロビーには誰もいなかった。15分前になって前回が終了し、入れ替えに。この時点で20人ほどの人。若いカップルが多いのはホラー映画の王道だが、近頃珍しい。だいたいはオヤジばっかりだったのに。男女比はほぼ半々。オバサンが5人くらいと若い女の子2〜3人というパターンも目立った。あとはオヤジか。 |