2003年12月13日(土)「MU武士SA」

MUSA・2001・韓/中・2時間13分

日本語字幕:手書き書体下、根本理恵/シネスコ・サイズ(マスク、Super 35)/ドルビーデジタル

(韓15指定)

http://www.musa-jp.com/
(音に注意)
中国に漢民族による明朝が誕生してまもない1375年、朝鮮半島の高麗は明朝と和睦を結ぶため使臣団を送るがスパイと勘違いされ、使臣団と護衛部隊は砂漠の果てに流刑されてしまう。そこで一行は蒙古の一団に襲われるが、護衛部隊が活躍し危機を脱出する。そして蒙古にとらえられていた明の姫、芙蓉(チャン・ツィイー)を助け出す。使臣団は姫を南京に送り届ければスパイ容疑が晴れ、使節の役目が果たせると考え、帰国を延期し姫を南京に届けることにする。ところが、蒙古軍は明との戦いを有利に進めるため、姫を利用する必要から奪回を試みる。

70点

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 IMDbで7.6という高評価。しかし、それならなぜ日本で2001年に公開されなかったのか。ボクはあまり面白くはなかった。劇場で観た方がいいと思うし、悪くはないのだが、それほどいいとも思えなかった。

 とにかく長い。大河ドラマで、史劇ということから長いのかも。でも長すぎでしょう。飽きたし、途中ちょっと寝た。だらだらと長い印象がある。多分設定としては「アウトライブ」(飛天舞・2000・韓)と一緒だろう。

 いちばん気になったのは、人間が描かれていないこと。狙いなのかもしれないが、出来事とそれに伴う登場人物の行動のみが描かれていて、なぜそういう行動をしたのかとか、どんな思いでそれを実行したのかが描かれていないのだ。もちろん役者たちはそれぞれ感情を表し、その感情を込めて演じているわけだが、表に出ない感情というのもあるわけで、本人がこうだと言わない限り知りえないこともある。また、誰かが代弁することもあるだろが、この映画ではそれらが一切ない。

 だから感情移入ができない。首を貫く矢やほとばしる血などが「プライベート・ライアン」のように高速シャッターでとらえられ、あるときはスローモーションでしつこいくらいに激しい戦闘シーンが描かれ(しかも満載)ているのに、まるで茶の間からTVでバグタッドに対する米軍の空爆を見ているように無感情。ふーん、という感じ。頭が飛んだり、腕が落ちてもすごい特撮だなあと見てしまう。

 それらの描写が痛かったり、怖かったり、悲しかったりするのは、そこに生きた人間がいるという認識があるからで、さらに知り合いがいたり、好きなヤツがそこにいたら穏やかに見ることなどできない。セリフのやり取りがあって、その話し方でその人がわかってくるもの。そしてちょっとしたエピソードでその人がどういう行動をとる人かわかってくる。それがないといつまでたってもわからない。

 つまり登場人物のことを何もわからないまま戦闘が始まり、殺戮が行われても、ほとんどなんの感情もわかないのだ。森は描かれているかもしれないが、1つ1つの木が描かれていない。大きな流れはあっても細部がない。

 だから矛盾する行動が理解できない。護衛隊の若き司令官、チェ将軍を演じるの暴走もよくわからない。たとえば父が将軍か何か軍で高い地位にあり、二世も父の七光りで将軍になったため功を焦って暴挙に出ているとか、本当に優秀な人だったのに悲惨な戦闘で精神をやられ、第一線から下げられてこの任務を与えられたとか、何かそんな背景とかがないとわからない。

 なにより副使の奴隷だったが開放され自由人となる槍の名人、ヨソルなど訳がわからない。姫を本気で殺すのかと思えば、次の瞬間には命を懸けて救おうとする。精神分裂かオマエは。ただ、心情の吐露があればまだ理解できたのだろうが、これらの男はほとんどしゃべらない。眉間にしわを寄せたり、叫んだりするだけ。原始人か。

 雄大な自然と美しいチャン・ツィイー以外、(女性はハンサムなチョン・ウソン〈日本を攻撃しようとする潜水艦を描いたつまらない映画に出ていた二枚目〉と、)に見るべきものがあるだろうか。

 公開初日の初回、30分前に着いたら新宿の劇場はすでに開場していた。場内には20人くらいの人。男女はほぼ半々で、中高年が4/5ほどと多い。20代は1/5程度か。徐々に人が増えだして、オバサン、若い女性が目立つように。最終的に男女比は3.5対6.5くらいに。チュ・ジモンとチョン・ウソンのハンサム2人のおかげだろうか。

 最終的に209席の7〜7.5割が埋まった。うーん、長細くてスクリーンが見にくいので混むと困るんだけどなあ。椅子も座る面が深くて足の短い典型的日本人には座り心地が悪いし……。せめて千鳥配列なら良かったのに。いまどき、場内、飲食禁止だし……。

 またまた関係者が大量に来場。チョン・ウソンのモノクロ生写真(?)の初日プレゼントがあったものの、こんなにたくさん来る必要ないって。2人で十分。


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