日本語字幕:丸ゴシック体下、戸田奈津子/ビスタ・サイズ(1:1.66のようだったが、IMDbでは1.85)/ドルビーデジタル・dts・SDDS
(米PG-13指定)
ブルース(ジム・キャリー)はバァッファローという小さな町でローカルTV局のニュース・リポーター。やがてはアンカーマンになりたいと野心を持っているが、あまりの不運続きについ神様をののしってしまう。すると神様が現れて、そんなに言うなら1週間だけ万能の力を授けるから神をやってみろと言われるが……。 |
わかりきったストーリーを、飽きさせずに笑わせて、こうなるであろう結末まできっちり持って行って感動させる。これは実は難しいことだ。通常は、観客は先が読めてしまうと集中できなくなり、飽きてしまう。もちろん最後に感動することも出来ない。 これは、監督の演出、脚本の妙はもちろんのことだが、やはりジム・キャリーという才能のおかげだろう。「エース・ベンチュラ」(Ace Ventura・1994・米)で見せたコミカルな演技と、「マジェスティック」(The Majestic・2001・米)で見せたシリアスな演技が絶妙に合体。実にいい味を出している。つまり主人公のキャラクターが魅力的なのだ。全能のパワーで、アンカーマンの役職を奪った相手にイタズラをするシーンがちょっとしつこくてイヤらしかったものの、あとはだいたい素直に笑えた。 とにかく神から全能のパワーを与えられてからのギャグがおかしくて笑える。男なら誰でもやりそうなスカートめくりをやってみたり、街のごろつきども懲らしめたり、渋滞をモーゼのようにまっぷたつに分けたり……ボクが一番笑ったのは、イーストウッドになっちゃうところ。特殊メイクとたぶんデジタルを使って、微妙に違うけどちょっとデフォルメしたイーストウッドの顔になってしまう。これがまた雰囲気そっくり。「ダーティハリー」の名台詞の真似をやってみせてくれる。いつの間にか手には44マグナムの6.5インチが。町中で撃っちゃうし。 でも、こうしてパロディとしてやられると、「ダーティハリー」あのシーンって不自然だったんだなあと思う。イーストウッドが演じているから説得力があって、カッコよくて、自然だったんだけど、他の人がやるとウソっぽくなってしまうんだ。それがよくわかる。スターの力なんだなあと。 そして、意外にというか、当然というか、モーガン・フリーマンがいい。ちょっとトボけた感じで親しみ深い感じなのに、ホント神様の雰囲気バッチリなのだ。神様がいるとしたら、こんな感じなのかもしれないなと。ジョークも言うし、おちゃめだし、ものを知らないブルースに向かって「ディスカバリー・チャンネル」くらい見ろなんて言うし。まあ、ボクはモーガン・フリーマンのファンなので、彼が出てればだいたいいい映画(「ドリームキャッチャー」は別として)と言うことになるんだけど……。 ジム・キャリーの相手役が人気TVドラマ「フレンズ」のジェニファー・アニストン。とてもチャーミングな人で、ブラッド・ピットの奥さん。あまりスクリーンでは見かけないが、これをきっかけにスクリーンにも登場するようになるのか。TVの人気がすごいから、十分食べていけるだろうし、そんなにしょっちゅう仕事のない映画にわざわざ出ることにないのかもしれない。 監督は「エース・ベンチュラ」でデビューしたトム・シャドヤック。「エース……」はもちろん面白かったし、その後エディ・マーフィーの近作の中で唯一面白かった「ナッティ・プロフェッサー/クランプ教授の場合」(The Nutty Professor・1996・米)や実話に基づいた感動の「パッチ・アダムス」(Patch Adams・1998・米)、そしてつい最近はちょっとホラーの要素もある感動のミステリー、ケビン・コスナーの「コーリング」(Dragonfly・2002・米)も監督している人。すばらしい才能だ。物語の作り方がめちゃくちゃうまいのだと思う。コメディだけでなく、なんでも撮れる職人監督……というりやっぱりある種天才なのだろう。とにかくこの監督の作品なら要チェックだ。 公開2日目の初回、あまり良い劇場が割り当てられていないので、しようがなく混むのを覚悟で銀座の劇場に行ったら、50分前で8人ほどの行列。あらら、どうやら今年の年末は「ラスト・サムライ」と「ファインクディング・ニモ」に観客を取られてしまっているらしい。 3人が女性で5人が男性。40代以上とおぼしき人は5人。あとは30代か。35分前に開場になった時点では16〜17人ほどに。25分前で小学生4人を含む30人ほどになった。コメディということで小学生も見るか。 初回のみ全席自由で、12席×5列の指定席も自由。最終的に男女比はだいたい半々で、横に広い524席に3〜3.5割ほどの入りは、まあまあと言って良いのだろうか。 初回のみCM・予告編なしの(「シービスケット」の予告のみはあったが)いきなり上映はちょっとさみしい。 それにしても、この劇場、キャパはあるのだが横に広くスクリーンが近い。それなのにスクリーンが低いので、前席の人の頭がじゃまになってしようがない。最近は字幕が下に出るので、読むのに苦労する。劇場側はそれを把握しているのだろうか。 しかも、この作品の字幕はタイトル時に、キャストやスタッフの名前と重ならないように真ん中(!)に出たりする。なんてことだろう。じゃまでしようがない。タテに出せ、タテに。画面のど真ん中に日本語字幕が出るなんて、信じられない。一体何がメインなのだろう。 |