日本語字幕:手書き書体下、林 完治/シネスコ・サイズ(マスク、with Panavision)/ドルビー・dts
(米PG-13指定)
フランス南西部の中世の遺跡を発掘調査しているある大学のチーム。そのボスであるジョンストン教授(ビリー・コノリー)はある日、発掘のスポンサーであるITC社を訪ねたきり戻ってこない。ちょうどそのころ、発掘現場からその時代にはないはずの眼鏡のレンズが発見された。そして一緒に発見されたバビルスに、教授の字で「たすけてくれ」と書かれていた。分析の結果、間違いなく650年ほど前に書かれたものだった。教授の息子クリス(ポール・ウォーカー)は、女性研究員のケイト(フランシス・オコナー)、助教授のマレク(ジェラルジ・バトラー)らとともに謎を明らかにするため、ITC社へ向かうが……。 |
いかにもハリウッド好みの映画という感じ。現代から夢とロマンと冒険……そしてドラゴンや妖精がいて魔法使いもまだいた時代へタイム・トラベルして、歴史を元通りに直す……。 マイケル「ジュラシック・パーク」クライトンの人気小説の映画化。またまた原作は未読だが、たぶん「ジュラ……」を読んだ感じからいうと、タイム・トラベル(トリップ、スリップ、……etc.)が科学的に可能だという説明と、1337年〜1453年まで続いた英仏百年戦争の歴史的な解説がわかりやすくされているのではないだろうか。 何度も小説の題材に選ばれ、舞台になり映画化されたジャンヌ・ダルクが活躍しついには捕らえられて処刑される(1431年)のは、この英仏百年戦争(こちらのサイトに詳しい)なのだ。つまり、ジャンヌ・ダルクもタイム・トラベルも共にありふれたネタ。これを組み合わせることも目新しくはない。だから一番の目玉、マイレル・クライトンらしさは「いかにしてタイム・トラベルが可能か」説得力を持って説明してみせる部分ではないだろうか。 で、この映画は「いかにしてタイム・トラベルが可能か」をバッサリと切って捨ててしまっている。潔いのだが、それではマイレル・クライトンらしさが失われてしまう。わざわざ彼の原作を使う必要がないではないか。だからなのか、とても凡庸な印象がした。これが「オーメン」(The Omen・1976・米)、「リーサル・ウェポン」(Lethal Weapon・1987・米)、「ラジオ・フライヤー」(Radio Flyer・1992・米)のリチャード・ドナー監督作品とは思えないほど。 もちろんテレビからのたたき上げ監督なので、そつなく何でも撮れる人だから本作も普通のB級映画には仕上がっていると思う。いや、攻城シーンなどは「HERO」を彷彿とさせる……いやいや「ロード・オブ・ザ・リング」を彷彿とさせる……いやいや……。まあ、とにかくなかなかのアクション・シーンではあると。 面白いのは、いくつも現代に伏線が張ってあることで、これらは過去へさかのぼったときにそれが現れ謎が解けるようになっていること。これがタイム・トラベルものの醍醐味の一つだろう。 ただし、過去を変えてはいけないというルールがあるはずだ。600年も前の人を1人殺してしまっただけで、現在のヨーロッパの膨大な数の人が存在しないことになってしまうかもしれない。それだというのに、現代人の彼らは中世で戦闘に参加して殺しまくるのだ。それ以外にも英国兵に襲われたり、逃げ出すために殺したりしている。おいおい、世界が変わるぞ。ひょっとしてタイム・マシンの設計に関わる人が末裔にいたら、タイム・マシンは完成しないことになって、話自体が成立しなくなることだってあるのだ。こんないいかげんなことでいいのか。しかも、過去に残っちゃうヤツまでいるし……遺伝子がめちゃくちゃになってしまうんじゃないか? 気絶させるとか、いろいろ手はあると思うんだけどなあ。映画的には大規模な戦闘がないと盛り上がらないからなのか……。 「A.I.」(A.I.・2001・米)で主人公の母を演じた美女、フランシス・オコナーもいいが、地味ながら印象に残るのは、フランスのレディ・クレアを演じたアニー・フリエルという女優さん。ボクは初見で、あまり大きな作品には出ていないようだ。アメリカ映画の本作ではフランス人を演じているものの、イギリス生まれ。皮肉な配役だ。 公開初日の初回、銀座の大劇場は45分前についたら50人くらいの行列ができていた。ほとんどは中高年で、女性は10人くらい。30分前に開場したときは120人くらいの行列に。なかなかの人気のようだ。 初回のみ全席自由で、12席×10列(ちょっと多くない?)の指定席も座り放題。比較的新しい劇場ながら、スクリーンが低くてやや全席の人の頭がじゃまになる。それは指定席であっても同じ。うーむ。 下は小学生くらいからいたが、ほとんど中心は中高年。劇場前にできていた列とほとんど同じ。最終的には948席の7割ほどが埋まった。 |