2004年1月24日(土)「リクルート」

THE RECRUIT・2003・米・1時間55分

日本語字幕:手書き風書体下、松浦美奈/シネスコ・サイズ(マスク、Super 35、with Panavision)/ドルビーデジタル・dts・SDDS

(米PG-13指定)

http://www.movies.co.jp/recruit/index.html
(全国の劇場案内もあり)

MITの学生ジェイムズ・クレイトン(コリン・ファレル)は、就職活動の最中、CIAのリクルーター、ウォルター・バーク(アル・パチーノ)から声を掛けられ、CIAの入局テストを受けるように進められる。行方不明となっているジェイムズの父の消息も知っているような口ぶりに、やはり父はCIAの局員だったと確信を深め、テストを受けることにする。

74点

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 CIAが協力したというCIA映画。ロバート・レッドフォードとビラッド・ピットが競演した「スパイ・ゲーム」(Spy Game・2001・米)のような映画かと思ったら、本当にリクルート、就職活動映画だった。ただ、その会社というのが通称カンパニーことCIAというだけで。非常にハラハラ、ドキドキ、サスペンスいっぱいの独特のスパイ活劇。そう、ちゃんと活劇になっているところがまたすばらしい。ただし、最後はハリウッド映画でよく見るパターンになってしまっているところが気になったが。あとは素晴らしい。

 虚々実々、本当はどれか。騙しているのは誰で、騙されているのは誰か。物語は複雑に絡み合って進展していく。だからといって、仕掛けはどれで、どこで騙されるかと肩肘張って見るとつまらないと思う。主人公と一緒になって騙されれば良いのだ。それを楽しんだ方が良い。映画はそれよりむしろ。そのハメられた状況からいかに脱出し、不利な形勢を挽回するかにあるのだから。

 てっきり「スパイ・ゲーム」のように、話は実務について海外にまで行くのかと思ったら、結局は国内のそれも訓練施設のある町うちだけの話で終わるのが残念だ。アクションもちゃんと用意されていて実戦だが、外で活動するのとは訳が違う。みの話が終わって、いよいよ海外派遣となり麻薬組織とかと戦うともっとスケールも大きくなってもっと楽しめたような気はする。ただ、よりハリウッドっぽくはなってしまうだろうけど。

 コリン・ファレルも、もちろん渋いアル・パチーノも素晴らしい。実生活はどうあれスクリーン上ではとても誠実で観客が信頼して感情移入できるキャラクターに説得力を加えている。さすがの名演技。そして拾いモノだったのは、女スパイを演じるブリジット・モイナハン。派手さはないが、何かこう気になる魅力がある。魅力的なダンス映画「コヨーテ・アグリー」(Coyote Ugly・2000・米)や大人のおとぎ話「セレンディピティ」(Serendipity・2001・米)とか、ジャック・ライアン・シリーズの「トータル・フィアーズ」(The Sum of All Fears・2002・米)でベン・アフレックの恋人の女医さんを演じていた人だが、いずれもあまり印象に残っていない。本作こそが注目作になるのではないだろうか。

 スレスンダーでスラリとしているなあと思ったら、モデル出身なのだそうで。なるほど、納得。今回はなかなかいい役回りだったようだ。

 さて、このうまいまとめ方は……と思って監督名を見ればロジャー・ドナルドソンとある。ケビン・コスナーのリメイク「追いつめられて」(No Way Out・1987・米)、曲も大ヒットしたトム・クルーズの「カクテル」(Cocktail・1988・米)、傑作火山映画「ダンテズ・ピーク」(Dante's Peak・1997・米)、キューバ危機を描いた「13デイズ」(Thirteen Days・2000・米)という大ヒット作がズラリとならぶ名人ではないか。おもしろいわけだ。

 公開8日目の初回、40分前に着いたら銀座の劇場は13人の行列。女性が3人で、20代らしき男性は3人。あとはすべて中高年男性―オヤジ。うーん、みごと。35分前くらいから夫婦が連れ立ってというパターンが増えてきて、25分前に開場したときは30〜40人で男女比半々。下は中学生くらいからいたが、1人だけでほとんどは30代後半以上。

 初回のみ2Fの指定席も自由なので、即2Fに行った。2Fは大変見やすい。見上げるのが好きという人以外は2Fがおすすめだ。初回に行こう。

 最終的に、2Fしかわからないが189席の3/4ほどが埋まった。イスも新しくなり、とても快適だった。同じ料金を払うのなら、やっぱりこういう劇場がいい。


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