日本語字幕:手書き風書体下、栗原とみ子/シネイコ・サイズ(マスク、Super 35)/ドルビーデジタル・dts・SDDS
(米R指定、加18A指定、独12指定)
チームを組んで大金をだまし取るグリフターズ(ペテン師)。彼らがロサンゼルスで仕掛けた詐欺が街を陰で牛耳るキング(ダスティン・ホフマン)の金を奪い、仲間が一人処刑されてしまう。リーダー格のジェイク(エドワード・バーンズ)はキングと取引をし、キングのために大がかりな詐欺を働くことを提案する。 |
映画のラスト(特に主人公が死ぬ場面)から始まるという映画らしいパターン。たとえばデンゼル・ワシントンが主演した「悪魔を憐れむ歌」(Fallen・1997・米)、特異な健忘症の男を描いた「メメント」(Memento・2000・米)、ジョン・フランケンハイマー監督の最後の劇場作品となった「レインディア・ゲーム」(Reindeer Games・2000・米)……すぐ思いつくだけでもこれだけある。しかしあまりにトリッキー過ぎて、よほど中身のある作品でないとこの強烈なイントロに負けてしまう。だからこの手法を使う作品は、中身のない真似映画か、ものスゴイ傑作かどちらかという場合が多い。これはヤバイかもという悪い予感が……。 強引に一言で言ってしまうと、これは出来の悪い「スティング」(The Sting・1973・米)だ。あの2時間9分の名作をバッサリ削って、筋だけを追うとこうなるかと。つまり、どんでん返しは1回限りで、それも注意していなくても「スティング」を見ている人にはたやすく読めてしまう。 なんだか予告編では、セリフの1つ1つ、動作の1つ1つに意味があるとか言っていたが、残念ながらそんなことは全くなく、たいして注意していなくても映画にスレている観客には見え見え。あえて書くと、アンディ・ガルシアが出た時点でオチがわかる。これはイカンでしょ。 紅一点のレイチェル・ワイズは、ついこの前の「ニューオーリンズ・トライアル」にも似たような謎めいた女の役で出ていた。あまり似た役をやるとイメージが固定してしまいがちなので、気をつけて欲しい。もう売れているんだから仕事を選ぶことが出来るはず。まあ、本人が気にしていないのかもしれないけど。余計なお世話でした。 ダスティン・ホフマンもレイチェル・ワイズと同じく「ニューオーリンズ・トライアル」にも出演。似たような雰囲気の作品が、同じ時期に公開されるというのは、どうなんだろう。ダスティン・ホフマンの場合は正反対の役柄で街の陰のボスだが、人の良さが出てあまり悪人としての怖さ、凄み、迫力がない。ミス・キャストじゃないかなあ。そのため無精ひげを伸ばしたり、ガムをわざとクチャクチャと音をさせてかんでいるんだけど、どうも不快なだけで効果は出ていない。 監督はジェームズ・フォーリー。ショーン・ペンの「ロンリー・ブラッド」(At Close Range・1986・米)とかアル・パチーノの「摩天楼を夢見て」(Glengarry Glen Ross・1992・米)、チョー・ユンファの「NYPD15分署」(The Corruptor・1999・米)などで知られる人。うまい人なのかどうか判然としない。 脚本はダグ・ユングという人。もともとはテレビの脚本家で、本作で劇場作品デビューを飾ったらしい。たしかもどんでん返し1回というのはコンパクトにまとめるテレビ向きかも。でもお金を払って見る劇場映画の場合はどうだろう。しかも過去に名作「スティング」があるわけだから。 公開初日の初回、銀座の劇場は40分前で3人。20代後半か30代前半という感じの男2人女1人。35分前にオヤジが2人増えて5人に。そして30分前から25分前に開場になったときには20人弱に。男女比は6対4で男性が多い感じ。若いカップルもいたが中高年の方が多かった。 なぜか都内の公開劇場は人気の低いところばかりで、たぶん一番座席数が多いのが銀座の劇場。ただしウナギの寝床のように細長いので、真ん中より後ろはかなりスクリーンが小さく見えてしまう。とかも座席が古いため、小さくて硬く短時間でお尻が痛くなる。さらに千鳥配列されていないため、どこに座ってもだいたい前席の人の頭がじゃまになってスクリーンの下はよく見えない。ここに字幕が出るというのに。スクリーンも低く、なおそれを助長している。うーん、できれば他の劇場で見たかったが……。 驚くことに、この劇場でも指定席があった。それもスクリーンから遠く、前席の人の頭が特にじゃまになる中央付近、11席×2列×左右に白とカバーが掛けてあった。初回は全席自由だったが座る人がいるんだろうか。混み合う映画の場合は、席を確保するという意味はあるかもしれないが決して良い席ではない。だから全席自由でも、ここの劇場を知っている人は指定席に座らず。ほとんど皆まん中より前に座っている。そんな指定席って一体……。 最終的に746席の3割ほどしか埋まらなかった。しかし目立ったのは例によって映画会社の関係者。20人はいただろうか。多いって、2人で十分。気になるので団体で来るのはやめて欲しい。 |