日本語字幕:丸ゴシック体、下、戸田奈津子/ビスタ・サイズ/ドルビーデジタル・dts
(米PG-13指定)
亡きロック・スターの忘れ形見モリー(ブリタニー・マーフィ)は、父の遺産で何一つ不自由のない優雅な生活を送っていた。しかし、ある日、使用人に全財産を持ち逃げされ、無一文になってしまう。働いたことのないモリーは、就職してもすぐクビになってしまい長続きしない。そこで、友人にお金持ちの娘のベビー・シッターの職を紹介してもらうことに。ところがその娘、レイ(ダコタ・ファニング)は8歳ながらとても大人びていて、しかも潔癖性で、過去に何人もベビー・シッターをクビにしていた。 |
一言で言えば、過去にたくさん作られたありふれた物語。その上、山の手(アップタウン)のお金持ちだけのお話で、実際のところ庶民(ダウンタウン)とはかけ離れたところでの悩み。ただ、それが面白い。そしてかわいい。ちゃんと感動させてくれる。物語の構成としてはありふれているけれども、エピソードの作り方と演出がうまい。ブリタニー・マーフィーとダコタ・ファニングがぴったりとはまっている。どこに重点を置いて評価するかで正反対の結果になるかもしれないけれど。 「アイ・アム・サム」はヒットして混雑が続いたことともあって結局見なかったのだが、子役のダコタ・ファニングが注目されるきっかけになった作品。その彼女はTVのUFO年代記「TAKEN」で素晴らしい演技を見せつけた。かわいいのに年よりずっと大人びた役どころ、おとな子供を演じさせたら右に出る者はいないという感じの芸達者。いじめにも近いベビー・シッターへの仕打ちは、他の子役がやったらイヤミさばかりが前面に立ってしまうのだろうけれど、ダコタ・ファニングがやるとぎりぎりのあたり、紙一重でかわいさを保つ。 もちろん、お金持ちのお嬢様でベビー・シッターをやることになるモリーを演じるブリタニー・マーフィの、ボジティブでくじけない明るい性格が、この作品を支えている。若くて、金髪で、きれいで、上流階級の白人。 とにかく突っ張っているレイ(ダコタ・ファニング)がいい。父を失った後、哀しみと怒りの持って行き場が無くなったレイはモリーにあたる。彼女を殴って、殴って、そしてしがみついて泣く姿は胸にぐっと来る。ホントは強くないのに、突っ張って大人に負けないようにしている。なんだか身近な話に感じて、ちょっと涙が……。こんな小さな女の子だって、がんばっているんだなあ、と。 仕事一筋でレイをほったらかしにしてしまう母に、TVの人気コメディ「スピン・シティ」のヘザー・ロックリア。ブリタニー・スピアーズになんとなく似ているような気がして、グッド。TVドラマのコメディエンヌぶりは少しもなく、ワーカホリックな感じが良く出ていた。 ありふれた話を巧妙にまとめて面白い脚本に仕上げたのは、ジュリー・ダール、モー・オグロドニック、リサ・デビッドウィッツの3人。いずれもこれまでに大作に関わったことはなく、ほとんど新人に近い人たち。つまりはこれが初めての作品とも言うべきアリソン・ジェイコブスのありふれたストーリーを、3人がいじり回すことによって「窯変」したのではないだろうか。ただし、IMDbでは5.1と引くと評価だが。 公開初日の3回目、銀座の劇場は30分前でロビーに15〜6人の人が。6対4で女性の方が多く、下は小学生くらいからいたが、ほとんどは若い女性とその連れという感じ。 15分前に入れ替えとなったが、行列は作らないまま。これだと離れたところで待っていた人はわからないと思うのだが。まああまり混んでいなかったから良いか。 最終的には50〜60人くらいで、かなり寂しかった。いい映画なのに。全体の7割ほどが若い女性。オヤジは少々。プレミアム・シートには1カップルと中年らしき女性が1人。 |