2004年2月28日(土)「マスター・アンド・コマンダー」

MASTER AND COMMANDER : THE FAR SIDE OF THE WORLD・2003・米・2時間19分(IMDbでは2時間18分)

日本語字幕:手書き書体、下、林完治・監修:高橋泰邦/70mm(2.2、35mmは2.35、マスクwith Panavision)/ドルビーデジタル・dts

(米PG-13指定)

http://www.movies.co.jp/masterandcommander/index.html
(音に注意。全国の劇場案内もあり)

1803年5月、イギリスとナポレオンに率いられたフランスは全面戦争に突入した。そして1805年4月、イギリスの戦艦サプライズ号はフランスの私掠船アケロン号を阻止せよとの命を受ける。ところが先に発見され、射程圏外から砲を撃ってくるため太刀打ちできず、大きな被害を被った。霧に紛れて逃げたサプライズ号はうまく迂回して、アケロン号の船尾につけるが……。

74点

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 予告編なしでのいきなり上映。これは正直辛い。こちらの心の準備ができていない。予告編で盛り上げていって、それから見たい。どこから本編かわからないということはあるにしても。

 とにかく戦闘シーンがすごい。浴びせかけられる砲弾によって飛び散る破片がものすごい勢いで飛び散る。その痛そうな感じ。振動、煙。昔の戦いって怖いんだなあ。しかも、ラストには敵船に乗り移っての白兵戦まで見せてくれる。これがまた痛そう。そして怖い。

 演出的には、時代を感じさせるように、わざと浅い色にされている。そしてガラパゴス島にさしかかったときだけ色がリッチになる。このへんがうまい。

 そして、手術のようすを克明に見せる。血で床が滑るようになるので砂をまくとか、頭蓋骨の陥没にコインをあてるとか、そのものを見せずに周囲をリアルに描いて怖がらせる。

 ただ、予告編とは全く印象の違う映画だった。予告編は、12〜13歳の少年たちまでが戦場にかり出され、伝説の艦長と共に戦ったという作り。当然、ボクは練習船のような少年ばかりの船を想像してしまった。ところが、実際には年少者も何人か乗っている普通の戦艦だった。大人もたくさん乗っている。というかやはり物語の中心は大人なのだ。ハリウッドの予告編は、別な予告編専門の監督が作るそうなので、仕方ないこともあるのだろうが……。

 「タイタニック」を撮影した特大のプールで撮影したそうで、本当に外洋で撮ったかのような迫力とリアルさがある。大波などはCGなのだろうが、本当にリアルで怖いほどだ。

 同様に砲撃がリアル。薬包を入れ、砲丸を入れ、パッキンの布を詰める。砲尾には燧石式ハンマーが付いており、これで発火する。発射と同時に大砲は反動で後退、次弾を発射するにはいったん大砲を前に押し戻さなければならない。これをすべせてやって見せてくれる。しかも、あえてそれを逆手にとって、決戦の時、大砲の後輪を取り外しリコイルしないようにして精度をあげるという勝負に出る。当然大砲が固定されているので再装填は出来ない。1発勝負。わかっているなあって感じ。

 銃も前装銃なので、あらかじめたくさんのパトローネ(薬包)を穴の開いた板に立てて用意しておく。ここまでちゃんと見せた映画というのは本当に少ないと思う。さあ戦闘が始まるぞと緊張が高まっていくわけだ。

 そして面白いのは、士官と一般水兵との身分差が鮮やかに描かれていること。つまりこの時代、将校はみんな貴族で、庶民は水兵。だからたちえ12歳でも貴族の子は士官候補生で、親のような歳の荒くれたちに堂々と命令する。しかし貴族だから、たとえ腕を切り取らなければならないような場面になっても、平民の前では泣き言は絶対に言えない。また、そうでなければ水兵たちは誰も命令を聞かなくなるし、彼らも自信を持って命令できない。そして、将校と下士官以下は一緒に食事もしないし、居住区も別で、ほとんど世間話をすることさえない。

 これは第一次大戦ものでも、第二次大戦ものでも同様で、特にイギリス軍を描いた映画で顕著に描かれている。タイトルは「艦長と指揮官」という感じで、水兵は入っていない。まあ、そういう映画なのだろう。

 初日初回、新宿の大劇場は45分前で当日券に3人、前売り券に12人。3人は中年が1人に、若い男性が2人。12人は10代から20代と思しき男性が8人、中年4人。そのうち若い女性が5人といったところ。

 30分前になってやっとロビーの明かりがつき、25分前に開場。この時点で当日30人の、前売り30人くらい。初回のみ全席自由で、12席×5列のカバーの掛かった席もOK。

 最終的に1,000席に3.5〜4割ほどの入りはちょっと寂しい。中高年が増えて、老若比は3対2と逆転。男女比はほぼ半々くらいに。

 この劇場はカーテンあり。やっぱり上映の時に開かないと。


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