2004年2月29日(日)「ゴシカ」

GOTHIKA・2003・米・1時間37分(IMDbでは1時間35分)

日本語字幕:手書き書体、下、古田由紀子/ビスタ・サイズ/ドルビーデジタル・dts・SDDS

(米R指定)

http://www.warnerbros.co.jp/gothika/index.html


ウッドワード女子刑務所の精神病棟で働く精神科医のミランダ(ハル・ベリー)は、義父を殺した女囚クロエ(ペネロペ・クルス)の治療に当たっていたが、悪魔がいたと主張していっこうに効果が現れない。そんなある雨の夜、道路の陥没でいつもの道を迂回したミランダは、橋のところでずぶ濡れの少女をあやうく車で轢きそうになる。

75点

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 怖い。と同時に謎の事件を解いていくスリルとサスペンス。IMDbでの評価は5.5と低いが、ボクはかなりのめり込んで見た。恐ろしい惨殺事件の裏に秘められた驚愕の事実。なぜ主人公のミランダの身にこんなことがおこるのか。一枚一枚、薄皮をはぐように次第に明らかになってくる真実。この見せ方、構成、素晴らしいとしか言いようがない。

 まず主人公が科学者というのが良い。刑務所付属の病院の精神科の医師だから、基本的には超常現象なんて信じない。最初は患者の話を聞く立場なので、よけいに客観的に患者の訴えを科学的に分析する。ところが、その現象に自分が巻き込まれ、わけがわからないうちに自分がその当事者となっている。そして超常現象が起こり……。

 観客は主人公と一緒に次第に超常現象を信じ込まされていく。そして、主人公と一緒に事件の謎を解き明かそうとする。こうして映画の中の問題は自分の問題となり、どんどんのめり込んでしまう。うまいなあ。しかもハル・ベリーのようなスレンダーな美人が恐怖にさいなまれる悲鳴を上げるという、どこかSM的な楽しみも……。

 よく見ていると、最初はハル・ベリーはナチュラル・メイクでいきいきとした表情。髪も櫛が通りツヤツヤ輝き、パーフェクトの美しさ。自信に満ちあふれているようだ。一方、患者のペネロペ・クルスはすっぴんで髪もボサボサ。どこか落ち着かない感じで、怯えている。この鮮やかな対比。これが事件が進むに連れて変化してくる。いつかハル・ベリーもすっぴんノー・メークで、髪もボサボサ。俳優ってつらい商売だなあ。

 気になったのは、後半も終わりに近づいたあたりで、画面上にサイコロの目のような赤い点がときどき出ていたこと。あれはなんだろう。ほんとは出なくても良いもの? うーん、よくわからん。目の錯覚?

 素晴らしい脚本はセバスチャン・グティエレスという人。とんでもない話に、キッチリと落とし前をつけてくれる。いままではTVだったり未公開作だったりして日本ではほとんど知られていない。今後注目かもしれない。

 監督は傑作「アメリ」(Amelie・2001・仏)で主人公アメリが思いを寄せる相手を演じたマシュー・カソヴィッツ。俳優としても活躍しているパリ生まれのフランス人だ。他に「フィフス・エレメント」(Fifth Elements・1997・仏米)や「バースデイ・ガール」(Birth Day Girl・2002・米)などに出演する一方、「クリムゾン・リバー」(Res Rrivieres Pourpres・2000・仏)を監督している。かなりの実力の持ち主と見た。

 ちなみに製作は会社はダークキャッスル。ここはあのハリウッドのヒットメーカー、プロデューサーのジョエル・シルバーと、監督のロバート・ゼメキスが作ったホラー専門会社。もちろん2人が本作の製作に名を連ねている。

 公開2日目の初回、銀座の劇場は40分前に着いたら入口のシャッターも閉まっていた。間違ったのかと思ってタイム・テーブルを見に行ったら合っている。まあ他に誰も並んでいなかったが。

 35分前になってやっとシャッターが開き、この時点でオヤジ4人のオバサン人。えー、これってそんな渋好みの映画なの? 30分前になったらようやく人が増えだして、20分前に開場になったときで30人くらいに。

 老若比は6対4で老が多く、男女比は1/3が女性といった感じ。最終的には指定席なしのゆったり360席に4割ほどの入り。怖いのが好きならオススメなんだけどなあ。


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