2004年3月7日(日)「大脱走」

公開40周年記念ニュープリント

THE GREAT ESCAPE・1963・米・2時間52分

日本語字幕:手書き書体、下、佐藤一公/シネスコ・サイズ(レンズ、in Panavision)/アナログ



http://www.cqn.co.jp/escape/index.html


第二次世界大戦末期のドイツ。ドイツ空軍管理の脱走不能という新しい捕虜収容所が完成し、各地から逃亡脱出の回数が多い連合軍パイロットばかりが集められてきた。そして脱走の専門家“ビッグX”バートレット(リチャード・アッテンボロー)が連れてこられるや、一度に250人を脱出させるといういまだかつてない規模の大脱走計画が始まる。

87点

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 伝説的名作だけあって、何回見ても新しい発見、感動がある。テレビ放送を何回も見て、昔発売されたレーザー・ディスクまで持っていても、やっぱり大スクリーンは良い。ただ、ニュー・プリントを作っていると歌っている割には、上映前には「製作から長い時間が経過して……」というお断りが出るし、実際、新作映画と比べるとかなり見劣りする部分もあった。これでニュー・プリントだとすると、オリジナルのネガ・フィルムはかなり酷い状態にあるようだ。

 とにかくスゴイのは、これだけのオール・スターキャストをちゃんと物語の中に無理なく納め、しかもそれぞれに見せ場を作り、ちゃんとキャラクターを立たせて描いていることだ。それぞれの俳優のファンが納得して見ることの出来る作品に仕上がっている。すべてのキャラクターは有機的に結びついていて、ストーリーと渾然と一体化している。1人として無駄なキャストがいないというか。

 しかも実話。キャストにばかりスポットが当たりがちだが、まずは脚本のすばらしさを称えるべきだろう。2人が関わっていて、1人はジェームズ・クラベルという人。古典SFの名作「蠅男の恐怖」(The Fly・1959・米)で脚本家デビューし、わずか6作目でこの「大脱走」を書いている。その後も「633爆撃隊」(633 Squadron・1964・英)やTVドラマ「将軍」(Shogun・1980・米英)を手がけていて片鱗が伺える。

 もう1人は、W.R.バーネット。名作「暗黒街の顔役」(Scarface・1932・米)、「ハイ・シェラ」(High Sierra・1941・米)の原作小説、なんかを手がけた人。2人とも、この時一番のっていたのかもしれない。

 監督は言わずと知れた名匠、ジョン・スタージェス。「OK牧場の決闘」(Gunfight at the O.K. Corral・1957・米)、「老人と海」(The Old Man and the Sea・1958・米)、「荒野の七人」(The Magnificent Seven・1960・米)……たくさんありすぎて挙げきれないが、特にアクション映画では神様のような人。ほとんどハズレがない監督といっても良いかも。

 おもしろいのであまり時間を意識させないが、トイレだけはそうはいかない。19663年のオリジナル上映の時はどうだったんだろう。インターミッション(休憩)は入らなかったんだろうか。休憩があればトイレに行って、それからコーヒーとかポップコーンとか買うのに。

 時間を読み間違えて、公開2日目の初回、銀座の劇場に行ったら、すでに開場済み。30人くらいが座っていた。予想通りほとんどは中年以上で、やや高齢者多めの感じ。しかし意外なことに、やや女性の方が多い。どうも父と母と娘とで来て、父が娘に名作を見せている雰囲気だった。

 指定席なしの全席自由。ただ、すでに開場していたのでベスト・ポジションは取れず。最終的にはゆったり435席に4割ほどの入り。男女比は入れ替わって、なんと7対3で男性の方が圧倒的に多くなった。下は中学生くらいからいたが、ほんのわずか。パンフを買っている人が多いように感じたのは、久しぶりに自分も買ったせい?(でも800円は高い……) ロビーにはリアル・マッコイが用意した1/1のスティーブ・マックィーン・マネキンと、撮影の時ドイツ・バイクに見せかけて撮影に使われたのと同型のトライアンフが飾られ、 


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