日本語字幕:手書き風書体、下、風間綾平/ビスタ・サイズ/ドルビーデジタル
(韓国12指定)
1909年、韓国はハルピンの駅頭で民族運動家、安重根(アン・ジュンクン)が朝鮮総督府の伊藤博文総督を暗殺しようとしていた。しかし日本兵の一人が気付きそれを阻止。その後、日本はアメリカと同盟関係を結ぶと第二次世界大戦に勝利し、韓国は日本領土となっていた。そして2009年、朝鮮総督府の現総督、井上財閥の宝物展がソウルで開催されていた。そこへ民族独立を訴えるテロリストが侵入。JBI(日本捜査局)は特殊部隊を投入、激しい銃撃戦が展開する。はたして彼らの真の目的とは……。 |
2001年の作品がなぜ今頃になって? これけが最大の謎。やはり内容のせいか? 構成的にはエンターテインメントで、アクション満載。ちょっと暗い話だが、なかなか面白い。感動の話でもある。ただ、歴史的事実としてかつて日本が朝鮮半島を支配し、初代総督の伊藤博文(旧千円札の人物)が民族運動家によって暗殺されたというのは、かなり重い。日本人として辛い、というのはある。まあ、この製作に日本も参加しているというのが救いではあるが。 日本の俳優がたくさん参加しているものの、やはり韓国映画界の勢いというのを感じさせずにはおかない。韓国を舞台にしながら、ほとんど全編、日本語というのはスゴイ。主役のチャン・ドンゴン(「スタンド・バイ・ミー」的やくざ映画「友へ チング」(2001・韓)の4人の幼なじみの1人を熱演)は特訓したのだろう、なかなかうまい日本語を最後まで話している。逆に日本人は誰も韓国語を話していないのが寂しい。まあ日本が支配しているという設定なので、話す必要はないのだが。 ただ、肝心なセリフの部分で、チャン・ドンゴンの日本語に字幕を付けるのはどうなんだろう。ボクは字幕が無くてもちゃんと聞き取れたし、必要なかったと思う。失礼な気もするし。付けるんだったら、他の人のセリフにも字幕を付けるべきだろうし。 公式ホームページによれば、本作では2002年大鐘賞助演男優賞を外国人として初めて仲村トオルが受賞したという。日本ではほとんど話題にならなかったようだが、これってスゴイことなんじゃないの。 発想自体は特に新しくはないが、全体の構成がうまい。SFであることはもちろんとして、警察官を主人公としたことでアクションの要素が入り、韓国人と日本人の友情、愛国心、正義感、そして家族愛、男女の愛……かなり盛りだくさんな内容をうまくすべて取り込んでいる。 アクション・シーンは、実銃のプロップ・ガンを取り混ぜながら、実に迫力満点に仕上げられている。ポスターや前売り券などでは、チャン・ドンゴンと仲村トオルはH&KのUSPを構えているのだが、コレよく見るとタナカのモデルガンのようだ。で、劇中で実際に使うのは、グロック(仲村)とベレッタM92(チャン)。当然特殊部隊はMP5、M4、M60などの長モノにSIG P228。中にはデザートイーグルを持っている者も。これって過剰防衛にならないのかね。対するテロリストたちはウージーなどを装備している。 そして、とにかく銃撃シーンはスゴイ。これでもかと撃つ、撃つ、撃つ。弾着もボコボコ、ズボズボ、弾ける、弾ける、弾ける。ちゃんとトリガー・フィンガーも撃たないときはトリガー・ガードの外に出しているし、緊張感があって良い。レーザー・サイトとショルダー・ホルスターはちょっとどうかと思うが、映画的ではある。 公開2日目の初回、新宿の劇場は45分前で9人の行列。7人が女性で、内訳は20代後半くらい4人とオバサン3人。かなりのオヤジが2人。40分前に男性が3人増えて12人に。30分前に開場したときには20人くらいになっていた。2日目プレゼントがあって、なぜか先着で全員にチャーム・ゾーンとかいう化粧品のサンプルをもらった。しかし、女性はともかく男はもらってもちっとも嬉しくない。来週の土曜に配るとか言う「辛」ラーメンの方が良かったなあ。 最終的には指定席なしの300席に4.5割ほどの入り。男女比は3.5対6.5で女性の方が多かった。女性は20代後半くらいが2/3、男性はオヤジと20代が半々くらい。チャン・ドンゴンあてのメッセージ・ノートがロビーにあって、若い女性が書き込んでいたからやっぱりチャン・ドンゴン・ファンが多かったのだろう。 |